そうめんと天ぷらは夏の記憶
「お昼なに食べますかー?」
夏の休日。
庭で洗車している夫に問えば、いつも通りのセリフが返ってくる。
「なんでもー。お任せで〜」
暑いし、そうめんでいっか。
ひんやりつるりと喉越しのいいそうめんは、夏のお助け食材だ。
独身の頃、夏バテで食欲がない時にずいぶんと助けてもらった。
薬味は庭のミョウガと生姜をすりおろして、と。
戸棚から乾麺を入れた密閉容器を取り、そうめんを選ぶ。
わたしのお気に入りは揖保乃糸。
細いのにコシがあって美味しい。
ちょっとお高いのが玉に瑕で、他の安い商品を試したけれど、結局はこれに戻った。
3束出して、残りは乾燥剤を入れたジッパーバックへ。
26cmのフライパンに、なみなみと水を入れてIHにかけた。
ミョウガを刻みながら思い出した情景に、自然と口元がゆるむ。
実家の母なら間違いなく、この隙に天ぷらを揚げている。
母は昔から、そうめんには天ぷらが必須!なひとだった。
ナス、ピーマン、玉ねぎに人参と、庭のミョウガ。
あるものをささっと切って、水溶き小麦粉を絡ませる。
無造作かつ適当なのに、からりと揚がった天ぷらになるのが、不思議でしょうがない。
揚げるのも食べるのも、天ぷらがあまり得意じゃないわたしには、絶対にできない芸当だ。
コツを聞いたことがあるけれど、テキトーよ、でおしまい。
冷たい水を使うとか、お酒を混ぜるとか、そんな工夫もなかった。
ミョウガとすりおろした生姜を、薬味皿に入れる。
麺つゆをそば猪口に注いで、昔はこれも手作りだったと思い出した。
しょうゆとみりんに水、鰹節と昆布。
干しエビを使えば、贅沢な麺つゆができあがる。市販にはない味だ。
でも、いまは便利なものがあるから、なかなか作る気にならない。
希釈用の氷水を添えて、箸を用意。
湯が沸いたのを横目に、たっぷりの氷水と大きめのザルを用意して、そうめんを束ねるテープを剥がす。
ここからは時間勝負。
ゆで時間は1分半〜2分。
沸きたつ湯にザザッと入れて、菜箸でかき混ぜたら、タイマースタート。
広口のフライパンを使うのは、一瞬で麺全体が湯につかってゆで加減にばらつきが出にくいから。
タイマーの電子音にIHを止めて一気にザルにあけ、流水で洗ったら、ザルごと氷水にドボン。
キンキンに冷えたところを見計らい、水気を切りながら、ひとくちサイズに丸めてガラスの器に盛りつける。
「お昼ですよー」
窓を開けて声をかければ、ぴかぴかになった車に小さな虹がかかっていた。
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三條凛花さんの企画に今月も参加です。
凛花さん、いつもありがとうございます。
プロフィール
バラと桜と航空機をこよなく愛するとっておき家事ラボ1期生。

