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notebook23
家って不思議な場所 #なんのはなしです家
家。
英語でいうとHOME。
意訳すると居場所。帰る場所。
三十代半ばまで実家で暮らしていた。
事情があって家を出て、ひとり暮らしをした。実家から徒歩五分のマンション。
目と鼻の先だというのに、引っ越したその夜は、寂しさを覚えて泣いた。
それでも、日がすぎるほどに自由を満喫するようになって、マンションの部屋がわたしの『家』になった。
二年ほどで実家に戻って、ふたたび実家がわたしの『帰る場所』になり、十数年がすぎた頃。
結婚して、実家を遠く離れた信州で、夫と暮らしはじめた。
目に見える景色や気候がまるで違う。おまけに、好きな人とはいえ、生活習慣が異なる存在との同居は、いろいろと大変だった。
だからなのか、ずいぶん長く、実家がわたしにとっての『家』だった。
帰省して実家の玄関ドアをあけるたびに、『帰ってきた』と思った。
夫と暮らすこの家の玄関をあけて、ほっとしたのは、十日ほどの旅に出た時だったか。
ああ、帰ってきた。
そんな安堵の気持ちが自然と湧いた。
不思議なことに、そのころから実家に帰省しても『帰ってきた』と感じなくなった。それどころか、信州の自宅に戻った瞬間、肩の力が抜けるような気持ちになる自分がいた。
夫と暮らす家が、『わたしの帰る場所』になった。
家って不思議だ。
関東育ちが親の仕事で関西に転居して『東京に帰りたい。ここはわたしの居場所じゃない』と、思い続けていた時期もある。
あの頃の『家』は、東京の下町にある祖父母の家だった。
いったい、なにをどうすれば、その場所を『わたしの家』だと、『ここがわたしの居場所・帰る場所』だと認識するようになるんだろう。
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