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支援実績:人事課題(評価制度(評価者研修含む)、賃金制度)ー2024年、製造業

 2024年に、某企業B社様(製造業)の人事課題支援を行いました。簡単に内容を紹介します。当内容の公表は支援企業様からの承諾済みではありますが、大枠の内容に止めていることはお許しください。

支援企業・実施概要

 業種、従業員規模:製造業、従業員60名程度
 場所:(自身の居住地である)福島県外の地方企業
 実施期間:2024年7月~12月
 方法:現地訪問(数回)+オンライン(1回/1~2週)
 主たる窓口:社長、人事担当係長(、一部現業部長)
 内容:評価制度(評価者研修含む)、賃金制度構築の助走

最初は直接訪問で企業の立ち位置を知る

 面談時に会社概要を共有いただいたため、およその概要、課題は確認しておりました。ただ、そうはいってもやりたいことは盛りだくさん。どんな順番で、どのような強度で実施していくかを決めなければなりません。

 中小企業に多いのですが、特に評価、給与制度は社長が決定権を握っているということが多いです。その状況を打破したい、という社長は多いのですが、ちょっと待ってください、慌てず、まずは社長の決定権は担保しておいた方が良いと申し上げています。

やりたいことの再確認、優先度(スケジュール)、強弱を決定

 事前面談で、やりたいことのおよその確認はできましたが、最初はやはりオフラインで、やりたいことの再確認、優先度(スケジュール)、強弱を決定になります。社長にも同席いただき、直接確認していきました。

 さて、この企業は事前面談でやりたいことがたくさんありました。賃金テーブルの策定、人事評価制度の構築、評価者・被評価者としてのマインド・スキルの向上などです。

 一方、それら以外に課題感はないかも確認します。それらを事前にしっかり確認しておくことで、種々の角度からの検討が必要になります。一方、この企業の場合は、事前にかなりの情報をいただいていたということもあり、ある程度スムーズに開始することができました。

評価制度(まずは目標設定)

 まずは、評価制度から取り組むことにしました。評価制度を策定ということでしたが、各個人の目標設定~その目標の評価~フィードバックがなされていないので、まずはこちらを実践することからスタートしました。

 まずは、目標といってもどのように設定するのか、はあるのですが、まずは会社や部の目標ということになります。その前に、会社がどのような人材を求めているのかということを、従業員がしっかりと認識する必要があります。

 メンバーがまずは会社や部の目標をきちんと理解するということがなかなかできていない企業も多いです。そこで目標をきちんと設定し、上長がアセスメントを実施する、そして期が終わったら本人が反省する、上長が評価する、フィードバックをする、というサイクルを廻していく必要があるということが重要です。

 とはいえ、すべての部門で一度に、というのは困難ですので、まずはやりやすい部門から取り組み、なかなか難しい部門にという展開を実施しました。中小企業であっても、部門によって温度差がありますので、いかに運用をうまくすすめていくかということは非常に重要になります。

評価者向けの研修(評価者のマインド構築)

 評価の大前提として、評価者の方に共通のマインドを持ってもらうことを実施しています。ここが意外にできていないことが多く、しっかりできていないと運用でつまずくことにもなりかねません。主として評価者の方と、以下の内容をコミュニケーションさせていただきました。

  • 目標設定の重要性
     明確な目標設定は、従業員の業務を効率的に進め、成果を上げるために重要です。目標が明確であれば、従業員は役割や責任を理解し、仕事への意欲が高まります。目標設定がないと、業務の方向性が不明確になり、生産性の低下を招く可能性があります。

  • 人事評価の意義
     適切な人事評価は、従業員の成果を公平に評価し、成長やキャリア形成に影響を与えます。評価基準が明確であることで、従業員は評価に納得し、自己改善に意欲を持つようになります。また、評価を通じて組織全体の生産性が向上し、信頼関係の強化にもつながります。

  • 人事考課の基本プロセス
     人事考課は、目標設定、期中指導、期末評価、フィードバックの4段階で構成されます。これにより、従業員の処遇決定と成長をサポートし、組織の成長にも貢献します。

  • 部下の観察
     正確な評価を行うためには、上司が日常業務や業務外での行動を詳細に観察し、その記録を基に公正な評価を行うことが重要です。観察は部下とのコミュニケーションを円滑にし、モチベーション向上にも寄与します。

  • 期中指導
     期中指導では、目標達成に向けた進捗を確認し、必要なサポートや指導を行います。部下が困難に直面している場合には、適切なアドバイスを与え、必要に応じて目標の修正も行います。

  • フィードバック
     フィードバックは、評価結果を部下に伝え、今後の改善や成長について対話するプロセスです。部下の意見を尊重し、信頼関係を築くことが重要で、成長のための具体的な取り組みを共に考えます。

目標設定シートの説明、考え方のガイド提示

 評価シートの設定と管理者向けのガイドが終わったら、最後に、従業員、管理者向けのガイド、評価シートの説明を提供します。実は、ここがきちんと揃っていないと、目線が合わず、きちんとした運用ができなくなってしまいます。

【従業員向け】なぜ「目標設定」を実施するのか

 このガイドでは、目標設定の重要性を従業員の視点で解説しています。目標を持つことで業務の優先順位が明確になり、効率的に業務に取り組めるようになります。また、目標達成の過程で得られる達成感はモチベーション向上につながり、次の挑戦意欲を生み出します。
 さらに、個人の目標が会社のビジョンや戦略と連動することで、組織全体の成長に寄与し、チームの一員としての達成感も得られます。目標はキャリアアップやスキル向上のための具体的な指針となり、個人の成長を促します。
 そして、目標達成に向けた振り返りや改善サイクルを通じて業務効率や品質が向上するメリットもあります。このように、目標設定は個人の成長だけでなく、組織全体の成果向上にも大きく貢献するものとされています。

【上長向け】なぜ「目標設定」を実施するのか

 このガイドは、管理職が目標設定を効果的に活用するための指針です。目標設定は成果とプロセスの可視化を可能にし、従業員が何を優先すべきかを明確にするだけでなく、進捗確認やサポートをスムーズにします。また、適切な目標は従業員のモチベーション向上や自己効力感の強化に寄与し、長期的な成長意欲を育みます。
 さらに、個人の目標と組織全体の目標を一致させることで、組織全体の方向性を強化し、連携やシナジーを生み出します。目標はまた、自己成長やキャリア開発の具体的な指針となり、従業員のスキル向上や能力開発を支援します。
 加えて、柔軟な対応と改善サイクルの促進を通じて、組織全体の効率性や競争力を高める効果があります。管理職はこれらのプロセスを通じて従業員を支援し、組織の成長を後押しする役割を担います。

目標設定・コミュニケーションガイド

 このガイドは、目標設定の具体的な手順と運用方法を詳細に示しています。目標設定の期間は、上期、下期で設定されています。従業員は組織や部門の目標を基に、自身の目標を設定し、上長の承認を得ます。上長は進捗状況を定期的に確認し、期中コメントを通じて従業員をサポートします。評価期間の終了時には、従業員自身が目標達成度を振り返り、課題を記載し、上長がこれにコメントする形で次期目標設定へとつなげます。この一連のプロセスはPDCAサイクルを基本にしており、従業員の成長と業務改善を繰り返し促進します。このように、目標設定を通じて従業員と上長が効果的に連携する仕組みを構築することで、組織全体の成果向上を目指しています。

 さて、いよいよ本格運用がスタートとなります。引き続き運用サポート、さらなるステージの構築支援を進めて参ります。

実施してみての所感

 「人事制度を作りたい」というオーダーは、多くの企業様から寄せられる要望の一つです。しかし、その背景には実に多様な課題や期待が潜んでおり、一筋縄ではいきません。評価制度および賃金制度の構築を目指し、特に運用面を重視した取り組みを行っておりますが、所感を以下に詳しく述べたいと思います。

制度構築は形だけではなく運用を見据えることが重要である

 人事制度の構築は、企業の成長を支えるための重要な要素の一つですが、その制度がどれだけ緻密であっても、運用が伴わなければ効果を発揮することはできません。特に、中小企業では経営資源が限られているため、制度を運用する際の現場負担を軽減しつつ、最大限の成果を得るための工夫が必要です。
 今回の取り組みでは、評価者および被評価者が制度の内容を十分に理解し、納得感を持てるような設計を心がけました。このプロセスを通じて、制度設計そのものがいかに実際の運用を見据えたものであるべきかを再認識しました。

経営者や幹部のリーダーシップが成功の鍵

 特に中小企業においては、経営者や幹部が意思決定の中心を担っているケースが多く、制度構築の初期段階で彼らの理解と協力を得ることが極めて重要です。今回の支援でも、社長が強い意志を持ち、全社的な変革を推進する姿勢を示していただいたことが、大きな推進力となりました。しかしながら、経営者層がどれだけ制度の必要性を理解していても、それを現場に浸透させるプロセスには、さらなる努力が必要になります。この点では、幹部との継続的な対話や、現場での実践的な支援が重要になります。

部門間の温度差を踏まえた段階的な導入が必要

 どの企業でも見られることですが、部門ごとに制度導入への関心や準備状況には大きな差があります。今回も、現場業務が中心の部門というよりも、比較的スタッフ系の導入を最優先しています。このような温度差を無視せず、部門ごとに適切なペースで導入を進めることが、制度全体の定着と運用の成功につながります。導入が比較的容易な部門で成功事例を作り、それを他部門に共有することで、徐々に全社的な展開を進めていくアプローチが有効になります。

次なる課題と展望

 今回の取り組みでは、評価制度および賃金制度の助走段階として、一定の成果を得ることができました。しかし、まだ課題は残されています。例えば、評価結果を具体的に賃金やキャリアパスにどう反映するか、評価基準をさらに精緻化する必要があるか、また中長期的な人材育成の視点でどのように制度を活用するか、といったテーマが今後の焦点となるでしょう。また、評価の公平性をいかに保ちながら、組織全体の成長を支える仕組みを構築するかについても、引き続き検討が必要になってきます。

まとめ

 今回の支援を通じて、人事制度構築における中小企業特有の課題と可能性を改めて実感しました。制度設計だけでなく、それをいかに運用に落とし込み、従業員と経営陣双方に受け入れられる形にしていくかが最大のチャレンジであり、それが大きなやりがいでもあります。人事制度は、企業の成長と従業員の幸せを両立させるための重要なツールであり、その価値を引き続き広めていきたいと考えています。


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