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AIプロダクトの「探索」と「再現性」を担う2つのデザイナー

こんにちは、sakamotoです。
LayerXのAi Workforce事業部で、デザインマネージャー・デザインリードをしています。

本稿では、Ai Workforce事業部におけるデザイナーの役割を整理します。
Forward Deployed Designer(FDD)Platform Designerという2つの職種について、それぞれの主戦場と連携に焦点をあてます。

デザインが向き合う構造

Ai Workforceは、エンタープライズ企業向けのAIプラットフォームです。AIワークフローとAIエージェントを掛け合わせ、業務プロセス全体の自動化を支援しています。既存ソフトウェアが届きにくい、複雑で固有度の高い業務—そこに踏み込んで顧客の業務成果につなげるのがAi Workforceの目指すところです。

一方で、AIエージェントは万能ではありません。デザインの対象も、ユーザーとデータをつなぐUIから、ユーザーとAIエージェントのインタラクションへと変わります。参照元の付与や人の最終承認、業務をAIエージェントに教えて再現性を高める—こうした任せられるAIの条件づくりが設計の土台になっています。

加えて、エンタープライズの業務は幅が広く、単一ユースケースに閉じません。顧客ごとに異なる業務の文脈を理解して価値を見つける探索と、見つけた価値をどの顧客でも壊れないかたちに落とし込む再現性の両立が求められます。個別最適の体験のデザインと、全体最適のシステムのデザインが常に交差する領域です。

この構造ゆえに、デザインの役割も2つに分かれます。

※職能定義を進めており、職種としても模索中であることにご留意ください。

2つの主戦場

※この2職種に職位の上下はなく、主戦場が違います。
状況に応じて越境しつつも、意思決定を速くするために責任の所在を明確にする意図があります。

Forward Deployed Designer(FDD):価値の核を掘り当てる

FDDは、顧客の最前線に入り、業務課題を定義し、価値の核を掘り当てる役割です。

LayerXではForward Deployed Engineer(FDE)が「顧客の最前線で暗黙知を形式知に変え、実装に落とし込む」役割として位置付けられています。Forward Deployed Designer(FDD)はこの思想をデザイン側に拡張したものと考えています。

具体的には、業務観察やインタビューを通じて一次情報を取りにいき、「解くべき課題は何か」「どこに人の介入が必要か」「成功の最小単位は何か」を定義します。そしてプロトタイプで最短検証し、学びを言語化して次に渡せるかたちにします。さらに、検証で見えた価値を顧客の業務に実装し、定着するまでコミットします。提案や設計で終わりではなく、届け切るところまでが責任範囲です。

自分はこの役割を、ディスカバリー領域でのデザイナーの職能の活かし方と地続きに捉えています。顧客に深く入り込む点はクライアントワークにも近いですが、決定的に違うのは前線での学びがプロダクトに還元されることです。プロジェクト単位で完結するのではなく、掘り当てた価値の核——成功条件、例外の分類、業務用語の構造化——がPlatform Designerの手でプロダクトの能力に変換されます。探索の成果が一社で閉じず、プロダクトに蓄積されていく構造です。

FDDの価値は、現場に入ることでしか見えない業務の核心——本当に困っていること、言語化されていないニーズ——を掘り当てることにあるかと思います。とくにAIプロダクトでは、技術的に可能なことと現場で求められることのあいだに大きなギャップがあり、そこを埋められるのは前線に立つデザイナーの解像度です。見つけた価値が次の顧客にも届いていく手応えは、この役割ならではのものだと考えています。

Platform Designer:価値を再現可能にする

Platform Designerは、前線で見つかった価値を「どの顧客でも壊れないプロダクトの能力」に変換する役割です。

FDDが一社の現場から掘り当てた学びには、他の顧客にも通じる普遍的なパターンが含まれています。それを見極め、プロダクトの構造として定着させるのがPlatform Designerの仕事です。具体的には、情報設計やワークフロー設計でユーザーの迷いと分岐を減らし、精度が揺れる前提でレビュー・根拠提示・例外処理といったガードレールを設計します。

加えて、Deployment Strategist(顧客のAI活用戦略を設計し導入を推進する役割)やForward Deployed Engineer(FDE)といったノンデザイナーでも高品質なUI・体験を組み立てられる仕組みづくりも重要な守備範囲です。Ai Workforceの開発・導入はデザイナーだけで完結しません。デザインシステムやガードレールを拡張しつづけることで、デザイナーの手が直接届かない場面でも体験の質が保たれる状態をつくる。個別最適の体験を全体最適のシステムに変換する、体験のインフラづくりだと考えています。

インハウスのプロダクトデザイナーに近い面もありますが、扱う対象が特徴的です。前線から届く生の業務知見を抽象化し、「この構造なら別の業務でも成立する」という普遍性を見つけ出す。個別の要望に応えるのではなく、多様な業務に耐える"型"を発見するという意味で、これもまた探索だと考えています。

Platform Designerの価値は、自分の設計判断がすべての顧客の体験に影響するところにあるかと思います。プラットフォームの設計が整うほど、FDDの探索が加速し、より多くの顧客に安定した価値が届くようになる。前線の学びを資産に変え、プロダクトの成長を支える土台をつくる手応えは、この役割ならではのものだと感じています。

連携:前線の学びがプラットフォームの能力になる

FDDとPlatform Designerは対立・上下のある関係ではなく、連携がうまいほどプロダクトが強くなる関係です。

  • FDD → Platform Designer:前線の学びを構造化して渡す

  • Platform Designer → FDD:再利用可能な設計基盤を返す

この受け渡しが弱いと、前線の学びが口頭の共有で消え、プラットフォームは推測で設計することになりかねません。逆にうまく回ると、設計基盤が整うほどFDDの動きが加速します。「型」があるから次の顧客ではゼロからではなく始められ、FDDは業務の核心——本当に解くべき課題は何か——の見極めに集中できるようになります。

Palantirは前線の役割を「one customer, many capabilities」(1顧客に多くの能力を届ける)、プラットフォームの役割を「one capability, many customers」(1つの能力を多くの顧客に届ける)と対比しています。Ai Workforceのデザインでも同じ構造と捉えており、この往復のループが回るほど、一社ごとの価値提供の深さと、届けられる顧客の広さが同時に高まると考えています。

おわりに

Ai Workforceでは、このループを一緒に回してくれるデザイナーを探しています。

  • FDDにより向いていそうな方:一次情報に触れたい/曖昧さの中で論点を立てられる/現場で体験を定義し、届け切りたい

  • Platform Designerにより向いていそうな方:構造化が好き/体験を再現するシステムを設計したい/「型」でプロダクト・事業を強くしたい

どちらも共通して、顧客の業務成果にコミットしながら、AIの揺らぎを前提に「人とAIの協働」を体験として成立させる設計が求められます。興味を持たれた方は、ぜひお話しできればと思います。


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