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コーチング・研修・コンサルティングを通じて「人を育てる人」を支えてきました。
最近は、ミドル・シニア期のキャリアや生き方に向き合う一人ひとりにも、
その知見をお届けしています。株式会社ドリームパイプラインの安藤秀樹です。

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比較の話を続けてきましたが、その根っこをたどっていくと、たいてい、ある一つの願いにいきつきます。

「認められたい」

同期と肩書きを比べるのも、SNSの光をうらやむのも、突きつめれば、「自分は価値のある人間だと認められたい」という気持ちの裏返しなのかもしれません。
今日は、この根深い願いと、その先にあるものについて、考えてみます。


承認への渇きは、午後に強くなる

「認められたい」という気持ち・・・
承認欲求は、誰の心にもある自然なものです。
心理学者のマズローも、人には「他者から尊重されたい」という欲求があると説きました。
若い頃は、この欲求が頑張るための強いエンジンになります。
認められたい一心で、必死に働き、そして力をつけていく。
それ自体は悪いことではありません。
私も経験があります。

ところが午後にさしかかると、この渇きがかえって強くなることがあるんです。
理由は、皮肉なものなんですね。
若い頃は「これから認められていく」という期待がありました。
しかし午後になると、地位も評価も、ある程度、頭打ちになる。
「これ以上は、もう認められないのかもしれない」という不安が、承認への渇きを逆に募らせるのです。

満たされないまま年を重ねた承認欲求は、ときに厄介な形をとります。
若い世代への過剰なマウンティング、
過去の武勇伝の繰り返し、
SNSでの「いいね」への執着・・・

周りから少し煙たがられる「困った年長者」の姿の裏には、たいてい満たされなかった「認められたい」が隠れていると思うのです。

他人の評価は、底の抜けたバケツ

ここで、大事なことに気づくんです。

他人からの承認は、いくら注ぎ込んでも満たされることがありません。
まるで、底の抜けたバケツのようです。
昇進すれば次はもっと上を求められる。
「いいね」が百ついても、次は千が欲しくなる。
他人の評価を追いかけているかぎり、その渇きが完全に癒えることはないんですね。

なぜなら、他人の評価は自分ではコントロールできないからです。
どれだけ努力しても、認めるかどうかを決めるのはいつも相手。
その不確かなものに、自分の価値をまるごと預けているかぎり、心が本当に安らぐことは難しいのです。

自分で認め、そして与える側へ

では、その渇きは、どうすれば癒えるのでしょう?

ひとつの答えは、承認を「外」に求めるのをやめて「自分」で自分を認めることです。
他人のものさしではなく、自分のものさしで、「今日の自分は、よくやった」と、自分にうなずいてあげる。
以前に触れた「自分のものさし」を持つことは、この承認の問題とも、深くつながっています。

最初は、照れくさいかもしれませんね。
自分で自分を認めるなんて、甘えではないか・・・と。
でも、これは甘えではありません。

一日の終わりに、頑張った自分を、そっとねぎらってあげる。
ただそれだけのことで、他人の評価に振り回される度合いは驚くほど小さくなっていきます。
自分という土台がしっかりすれば、他人の評価は、あったら嬉しい「おまけ」くらいに受け取れるようになります。

そしてもうひとつ。

午後には、承認を「求める側」から「与える側」へ回る、という道があります。

若い人の頑張りに目を配り、気づき、言葉にして伝える。
誰かの存在をそのまま認めてあげる。
心理学者のエリクソンは、中年期の大切な課題として、次の世代を育て、支えていく「世代継承性(ジェネラティビティ)」を挙げました。
人は認められることでも満たされますが、それ以上に「誰かを認め、育てられた」という手応えによって深く満たされるのです。

考えてみれば、これはごく自然な流れなのかもしれません。
午前のあいだ、私たちはたくさんの人から認められ、支えられて、ここまで来ました。
午後は、その恩を今度は次の世代へ送っていく番なのです。
受け取る季節から、手渡す季節へ。
私自身、「人を育てる人を支えたい」という思いで仕事をしていますが、誰かの成長に少しでも関われたときの充足は、かつて自分が評価されて得た満足とは、どこか質のちがう深く静かなものだと感じています。

「認められたい」という願いの、その先にあるもの。
それは、自分で自分を認める静かな安らぎと、誰かを認めることで得られる温かな充足なのだと、私は思うのです。

次回は少し目線を変えて、「体」と「時間」・・・避けようのない、もう一つの午後の現実に向き合っていきたいと思います。

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