その読書、あなたの脳に合ってますか?──セロトニン・ドーパミン・コルチゾールから考える“読み方の相性”
読書が“しっくりこない”理由
「早く読め」「要点だけ拾え」──そんな言葉をよく耳にします。
特にビジネス書の世界では、「1冊を10分で読める」「マッキンゼー流読書術」など、速読や概要把握に重きを置いた方法論が多く紹介されています。
でも、このスタイルに違和感がありませんか?
飛ばして読んだところにこそ、大事な伏線や本質があるかもしれない。
そう思うと、ページをめくる手が止まってしまうのです。
「読書が遅いのは悪いこと?」
「この読み方って間違ってる?」
「効率が悪い?」
──いいえ、実はそうではないのかもしれません。
もしかするとそれは、あなたの脳の特性と、読書スタイルの相性が合っていないだけかもしれないのです。
今回は、読書スタイルの違いを「セロトニン・ドーパミン・コルチゾール」という脳内物質の観点から見てみましょう。
※各物質の詳細は以下の記事で解説しています:
ドーパミン👉
コルチゾール👉
「速く読まなきゃ」は本当に正解?──その背景にある“コルチゾール的な読書”
「1冊を10分で読める」「マッキンゼー流読書術」など、速さと効率を追求する読書法は、一見スマートで論理的に見えます。もちろん、時間が限られている中で成果を出さなければならない場面では、こうした読み方が有効なのも事実です。
ただしこのスタイルには、**常に成果やアウトプットを求められる環境下で働く人たち特有の“心理的プレッシャー”**が強く関係しています。
「早く読んで、早く使えるようにしなければ」
「情報を取りこぼさず、でも時間はかけられない」
こうした動機は、まさに**“コルチゾール的なモチベーション”**の表れです。緊張や不安をベースにした、ストレス応答的な読書スタイルともいえます。
このような読書が合う人もいれば、そうでない人もいる──そこで次に紹介したいのが、精読スタイルの多様性です。
精読タイプにも違いがある?
一言で「精読」といっても、脳の傾向によってその“理由”も“感じ方”も異なります。
● セロトニン型の精読
このタイプは、順序や全体の秩序を大切にします。抜け落ちや前後の飛ばし読みは不安を誘い、「きちんと読めていない」感覚が残ると安心できません。
特に気になるのは、「読み飛ばした箇所に、実は著者が本当に伝えたいメッセージが潜んでいるかもしれない」と感じることです。読書は“言葉の流れ”で意味を織りなしていくもの──だからこそ、その流れを飛ばすと本質を取りこぼしてしまうのではないかと不安になるのです。
読むことそのものが“心を落ち着ける手段”となっているため、読みながら線を引いたり、ページをめくる感覚を味わう紙の本が向いています。特に絵本やエッセイのように、穏やかで情緒的な内容を好む傾向があります。
安心と安定がベースにあることで、読書のリズムが心のリズムと重なっていく──それがセロトニン型精読の魅力です。
● ドーパミン型の精読
このタイプは、読みながら新たな発見や思考の刺激を得ることに強く惹かれます。著者の意図を推理したり、自分の仮説と照らし合わせたりする読書です。
特に、「この本がどんな構造で何を語ろうとしているのか?」という問いに強い関心を抱きます。全体像や論理構造を掴み、それを自分の中で再構築することに喜びを感じるのです。
そこからさらに「これは別の本とつながるぞ」と発想が飛躍していくことも多く、知的好奇心の連鎖が精読のエネルギーになります。
「これは面白い!」と感じると、そのまま深く掘り下げるため、自然と精読になります。ただし、“全体像”を先に掴みたい欲求もあるため、Audibleや目次読みなどで大枠を押さえた後に読むスタイルもよく見られます。
読書はまるで探検のようなもの──何が出てくるか分からないワクワク感が、ドーパミンを活性化させます。
「読み方」と「読みやすい媒体」は脳の傾向で決まる
あなたがどのタイプに当てはまるかによって、相性の良い読書スタイルは大きく変わってきます。以下は代表的な3タイプの特徴です。

● セロトニン型
読み方:ゆっくり・順序を守って読む
向いている媒体:紙の本、マーカーが使えるもの、静かな環境
好みやすいジャンル:絵本、エッセイ、日記、物語など感情に寄り添うもの
● ドーパミン型
読み方:全体から入る・並行的に読む
向いている媒体:Audible(オーディオブック)、要点読書、図解本
好みやすいジャンル:ビジネス書、思考法、科学、哲学など知的好奇心を刺激するもの
● コルチゾール型
読み方:効率重視・要点優先
向いている媒体:要約記事、YouTubeの解説動画、図解中心の本
好みやすいジャンル:HowTo本、図解解説書、サマリー本などすぐに使える実用系
「あなたに合った読書」を見つけよう
読書には「速く読める人が偉い」「短時間で要点を抜き出すのが賢い」という価値観が広まりつつあります。
特にビジネス書や自己啓発書の多くは、速読や要点思考を推奨します。
ですが、そうした読み方がすべての人に合っているわけではありません。
速読に向いているのは、必要な情報を短時間で処理することで成果を出す環境に身を置いている人です。
一方で、じっくりと行間を味わい、著者の考えの深層に触れようとする読み方には、まったく別の価値があります。
読書の目的は「使える情報を効率よく得ること」だけではありません。
心を整えるためだったり、
世界の見え方を少し変えてみるためだったり、
自分の感性を育てるためだったりするのです。
だからこそ、“この読み方でいいのかな”と不安になる必要はありません。
むしろ、速く読むことを推奨するスタイルに合わせようとして、
本来の自分に合わない読書法を無理に続けた結果、
「本を読むのが嫌いになってしまった」──そんな方にこそ伝えたいのです。
あなたが“読みたくなる読み方”を選ぶことが、一番大切です。
あなたの脳が落ち着く読み方。
あなたが前向きな気持ちになれる読み方。
それが、あなたにとっての「正しい読書法」です。
本当に大事なのは、
「この本、今の自分にちょうどいい」
と思えるような、脳にフィットした読み方です。
速く読まなくていい。
読み飛ばさなくていい。
感情のまま、思考のままにページをめくっていいのです。
焦らず、自分にあった読書スタイルを見つけていきましょう。
おわりに:読書は、あなたと本との対話です
読書は情報処理だけでなく、感情や思考の流れを整える時間でもあります。
読める日も、読めない日もあって当然。
でも、そんな波を受け止めながら、
「読めた自分をちょっと好きになる」
そんな読み方があっていいのではないでしょうか。
自分に合った読書を、あなたの脳と一緒に探していきましょう。
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