たゆ森だよりー159枚めの葉ー🪽トコノハの首元に
ある日の午後
森はいつもより静かで
風も
急ぐ気がなさそうだった
🎩モリトくんは
苔のクッションから立ち上がって
靴の先を
とんとんってそろえてみた
あれ
って
小さく言って
足もとを見た
つぼみの靴飾りは
もう形をしていなくて
代わりに
親指ほどの
なめらかな石が
靴のそばに転がっていた
🎩モリトくんは
それを拾って
手のひらで転がしながら
ふふ
って
ちょっと笑った
歩き方
ちゃんと残ったんだな
⸻
その少し先で
💌ポスのすけは
カバンを下ろして
肩をくるっと回していた
苔のマントは
いつのまにか
羽織っていない
でも
寒くもなく
軽くも重くもない
カバンの横を見ると
ひかるきのこがあった場所に
小さな
やさしい色の石が
ころんと置いてあった
💌ポスのすけは
それを指でつついて
ああ
これでよかったんだ
って
誰に言うでもなく
つぶやいた
⸻
🌿フユリちゃんは
その頃
赤い落ち葉のあった場所で
しゃがみこんでいた
ポシェットは
もう形をしていない
でも
胸の前で
両手を重ねると
そこに
ぬくもりがあるのが
わかる
足もとには
葉っぱの模様が入った
小さな石
🌿フユリちゃんは
それを拾って
あの子
喜んでたなあ
って
🐿️リッカのことを思い出して
やさしく笑った
⸻
🍄マッシュくんは
苔の木の下で
めずらしく
じっとしていた
落ち葉は
もう回っていない
でも
胸のあたりに
ぽんと置かれた
少し光を含んだ石があって
🍄マッシュくんは
それを見て
踊らなくても
楽しいって
こういうことか
って
ひとりで
うなずいた
⸻
🐿️リッカは
走ってきて
みんなの様子を見回した
あれ
って
耳をぴんと立てて
みんな
同じ顔してる
そう言って
自分の足もとを見た
苔のシューズも
風雪のリボンも
もう見えない
でも
足もとには
風みたいな模様の
小さな石があった
🐿️リッカは
それを拾って
胸にぎゅっと抱えて
うん
アタシ
これでいい
って
はっきり言った
⸻
みんなが
自然と集まって
石を
ひとつずつ
見せ合った
誰も
説明しなかったけど
🎩モリトくんが
ぽつっと言った
これ
🪽トコノハだな
💌ポスのすけも
🌿フユリちゃんも
🍄マッシュくんも
🐿️リッカも
同時に
うん
って言った
🪽トコノハは
受け取って
石を首もとに集める
石は
触れ合っても
音を立てず
ただ
澄んだ重さで
そこにあった
💠ありすみは
見えないまま
でも確かに
その輪の中にいて
森は
なにかが終わったとも
始まったとも言わず
ただ
ひとつ
深く息をした
そんな
午後だった
