いまあなたに伝えたいこと
「いまあなたに伝えたいこと」という企画を見かけたので、便乗して、今は亡き友人への気持ちを書いてみようと思います。
私は大学時代を岩手県で過ごしました。
とても自然豊かな場所で、関東で育った私には、初めて経験することばかりの毎日でした。
日常的に鹿や熊が出てきますし、夜空の星の数はまるでプラネタリウム。
海産物の値段も驚くほど安く、毛ガニの小さなオスが100円で売られているのを見たときは衝撃でした。
もちろん娯楽は多くありません。
都会の刺激がないと生きていけない人には、少し過酷な環境かもしれません。
でも、自然が大好きな私にとっては、まさに天国のような場所でした。
そんな大学で出会った友人がいます。
彼は岩手県出身で、気さくで、知的で、とても面白いやつでした。
よく二人でカラオケに行ったり、昆虫採集に出かけたり、山へ山菜を取りに行ったり。
私が今まで経験したことのない遊びにも、たくさん連れて行ってくれました。
本当に、素晴らしい時間をくれた友人です。
しかし彼は、東日本大震災の犠牲者になりました。
彼の地元は陸前高田市。
震災後、「奇跡の一本松」で名前を知った人もいるかもしれません。
でも正直な気持ちを言うなら、
松が一本残るより、彼に生きていてほしかった。
実は震災の半年前くらいに、私は彼に会いに岩手へ行っていました。
もし過去に戻れるなら、あのときの彼にこう言いたい。
「避難場所に逃げるな」と。
彼は避難場所に指定されていた場所で被災し、命を落としました。
未曽有の大災害です。
きっと誰にとっても「想定外」だったと思います。
震災後、私は岩手県を訪れました。
でも、そこにあったのは私の知っている陸前高田ではありませんでした。
音もない。明かりもない。何もない。
正直に言えば、
「ああ、これは助かるわけがない」と思いました。
陸前高田には、とても大きな防潮堤がありました。
でも、その巨大な防潮堤さえも、津波の前ではまったく意味を持ちませんでした。
天災の前で、人間はあまりにも無力です。
そんな彼に、15年たった今、伝えたいことがあります。
Yへ
大学一年生のころから、私と遊んでくれてありがとう。
生き物が大好きだった君は、本当に優しくて面白いやつだったな。
よく一緒に出かけたよね。
今の私を見たら、どう思うかな。
女装した私を見て、惚れちゃうかな。……まあ、それは冗談だけど。
でもさ、また虫取りや山菜取りに行きたいと思っているよ。
いつか私がそっちの世界に行ったら、
また一緒に虫取りや山菜取りに連れて行ってね。
君のことだから、もう向こうでも再開してるんでしょ。
明後日は君の命日だからさ、
一緒にビールでも飲もうや。
私はこっちで一生懸命生きてみるから、
君もそっちで楽しんでね。
ずっと友達だよ。
