映画「レンタル ファミリー」 在日"外国人"が見た、日本のありかた
映画「レンタル・ファミリー」を観てきた。
「ザ・ホエール」のブレンダン・フレイザーが気弱だけど、魅力的なフィリップを演じていた。
STORY
東京で暮らす落ちぶれた俳優フィリップは、日本での生活に居心地の良さを感じながらも、本来の自分自身を見失いかけていた。そんな中、“レンタル家族”として他人の人生の中で“仮の”役割を演じる仕事に出会い、想像もしなかった人生の一部を体験する。「ザ・ホエール」でアカデミー賞®を受賞した俳優ブレンダン・フレイザー、日本を代表する多彩なキャストとともに、注目の日本人監督HIKARIが日本を舞台に贈る、世界が経験したことのない未知の出会いに満ちた、感動ドラマ。
キャスト
ブレンダン・フレイザー, 平 岳大, 山本 真理, 柄本 明, ゴーマン シャノン 眞陽ほか
在日外国人のフィリップがつむぐ優しい物語
フィリップがレンタルファミリーとして、ニセモノになりきるものの、相手との関係を割り切ることが中々できない。
フィリップとその周りの人々に生まれる温かい感情、関係性に癒される話だ。
ブレンダンはこの映画のテーマの"家族をレンタルする"ことについて、こう伝えている。
人々が存在しない誰かを演じることで、真実を捻じ曲げるサービスです。
倫理的な危うさを孕んでいますが、同時に、人に輝きをもたらす価値もある。たとえ短期間のつくりものの関係であっても、誰かの助けになるかもしれない。
まさに自分の感性に響くものであり、きっと多くの人にとってもそうだろうと感じました。
なぜならこの物語には、いま私たちの生活を蝕む冷笑的でデジタル化された価値観に対する、一種の解毒剤のような温もりがあるから。
他者に「あなたを見ている」「あなたが存在していることを知っている」と伝えることや、互いに共感し合えること——それは、お金以上の価値を持ち得るのだと思い出させてくれるのです。

横にいてくれること。
子どもはただ、それだけが欲しい
視点によって、見る景色が変わる。これって、今の日本人に対する違和感?
もう一つの視点から、この映画を見つめてみる。
私は正直に言うと、もっとコメディ色の強い作品かと思っていた。
それが日本人として、考えさせられるシーンがいくつもあった。
「レンタルファミリー」をする会社は、現在日本に約300社ほどあるらしい。(映画パンフレットより)
ということは、それだけ身近な人間に本当のことを言えなかったり、孤独を感じている人達が日本には沢山いるということだ。
心が軽くなるなら、生身の関係を築くより、ビジネスに頼った方が楽だというのも分かる。
でも。
最初の依頼者の女性に思うこと (半分ネタバレ)
フィリップは最初の依頼で、ニセモノの新郎役になりすます。
結婚式後すぐに、フィリップと新婦の2人は「カナダへ移住します」という設定になっている。夫が外国人なら、それは自然な流れだ。
豪華な披露宴では、新婦の両親が2人の姿を見て涙ぐんでいる。
でも、彼女は日本から出ないと幸せになれないと考え、ニセの結婚式を挙げてまで両親に真実を偽ることを決意している。
どうして彼女がそこまで強い思いがあったのか。
それが明らかになった時、映画を観賞していた隣の初老の夫婦から、
'ハッ'という声が聞こえてきた。
無理もない。
親は子どもの幸せより、周りの人の目を見ることはないか。
そもそもこの女性の両親のように、私も、はなから事実を認められる親だと思われていなく、関係を遮断されるのかもしれない。
親と日本を振り切らないと生まれない、自由。
これが、私にはものすごく重かった。
外国人という"よそ者"が伝える、人とのつながり
ニセモノの人に頼んで事を解決しようとすることは、摩擦を起こさないようにしているようで、結局本当のことを伝えていない。
嘘を作り上げた時点で、相手を傷つけてしまう。
相手が、大事な人であればあるほど。
外国人という"よそ者"から日本を見ると、嘘をついても穏便に済ませようとするやり方に違和感があるのだろう。
フィリップは、ニセモノのパパになったり、ニセのジャーナリストになったりするが、そこで心を通わせるものはホンモノの感情だ。
彼の誠実さが周りの人に与える影響は大きい。
ブレンダンは先述のインタビューで言う。
彼が演じることをやめ、出会ったり関わったりした人々に本心をさらけ出せるようになったときに初めて、自分が持つ真の価値に気づくのですから。 そこがフィリップの魅力であり、私が演じるうえで最も大切にしたポイントでもありました。
世の中を良くするというとどうも大袈裟で不可能なように思えるけれど、じつは難しいことじゃないのかもって伝えたいんですよね。(HIKARI監督)
映画の中で、人をレンタルすることに対して、フィリップが抱いた感情こそが真っ当な気もする。
周りの人間もどんどんフィリップに影響を受けていく。
個人的には、平岳大さん演じる社長が抱えている孤独に驚いたが、少しずつ変わっていく姿も見られて印象に残った。アメリカ拠点の方だが、もっと観たい俳優さんだ。
自販機より多い、日本の神様
海外の人から、この映画はどう評価を受けているのかな。
日本は美しい。
朽ちかけた天草の自然。
神楽坂。
浅草の、美味しそうなお好み焼き屋。
あと、「ありえない」と思うほどの孤独を感じるのかな。

フィリップの関係。
信頼とは、こういうことを言うんだろう
フィリップは、柄本明演じる喜久雄から、日本の信仰について学ぶ。
八百万の神(やおよろずのかみ)は、日本古来の神道において、自然や物などの森羅万象に無数の神々が宿るという信仰観。
この映画では、日本での心のあり方も伝えてくれている気がする。
映画「罪の声」での名演技が印象的な
宇野祥平さんが冒頭で、贅沢に使われているよ。笑
[写真引用]
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