アドラー心理学/岸見一郎『嫌われる勇気』哲人と青年の問答会話の再現
人間の悩みは、すべて対人関係の悩み
『嫌われる勇気』では、アルフレッド・アドラーの理論を、平易かつドラマチックに伝えるため、哲学者(哲人)と青年との問答を、対話篇形式の会話によって、その思想を解き明かしています。
「トラウマ」の存在を否定したうえで、
「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言し、
対人関係を改善していくための、具体的な方策を提示して、アドラー心理学を解説しています。
哲人と青年との会話問答は、古代ギリシャのソクラテスやプラトン、アリストテレスが現代の日本に於いて、当時と同じように、
「人間の幸福とは何か」「どうすれば人は幸せに生きることが出来るか」を、問答しているようにさえ見えるのです。
〈会話問答〉
かって、1000年の都と謳われた古都のはずれに、世界はどこまでもシンプルであり、人は今日からでも幸せになれる、と説く哲学者が住んでいた。
看過しがたい理想論を唱える哲学者に、納得のいかない青年は、哲学者のもとを訪ね、その真意を問いただそうとしていた。
悩み多き青年の目には、世界は矛盾に満ちた混沌としか映らず、ましてや幸福など有り得なかった。
【青年】
世界はどこまでもシンプルである、と言うのが先生のご持論なんですね?
【哲人】
そうです。世界は信じがたいほどにシンプルで、誰もが幸福になれる。人生もまた同じです。
【青年】
私にはそうは思えません。先生の、その看過しがたい理想論を、撤回して欲しいのです。
【哲人】
そんなことはありません。自分自身が変われば、世界はシンプルな姿を取り戻します。
問題は世界がどうであるかではなく、あなたがどうであるか、世界を直視するその勇気があるのかと言う、勇気の問題なのです。
人は変われます。のみならず幸福になることも出来ます。例外なく。
さあ、私の書斎にお入りなさい。世界はどこまでもシンプルで自由で、解放されている事をお話ししましょう。
苦悩の解決は原因論→目的論
青年は幼い頃から自分に自信が持てず、出自や学歴、容姿に強い劣等感があり、
過剰なほどに他者の視線を気にし、他者の幸福について心から祝福できず、それが、自己嫌悪となっていました。
『嫌われる勇気』の中では、過去の出来事がトラウマになって、外出することが出来なくなった人の話が出て来ます。
それに対して哲人は、外出が出来なくなったのは、過去の「原因」ではなく、今の「目的」を考える事だと言います。
それは、”外に出たくないから、不安と言う感情を作り出している”、我々は原因論の住人であり続ける限り、一歩も前に進めないと言うのです。
そして、「トラウマ」の存在を否定したうえで、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言し、対人関係を改善していくための具体的な方策を提示します。
人生には色々な苦しみがやって来ます。そのすべての悩みの原因は、対人関係だとマドラーは言い切るのです。
対人関係の悩みの解決法
人の悩みのすべては、対人関係の悩みであり、宇宙に人がいなくなり、自分一人になれば、あらゆる悩みは消えるだろうとしています。
人と比較してしまうから、競争になり、他人を敵だと思う、恐ろしい世界になると言うのです。
これを解決するには、「人生の目標」を持つことを挙げていて、人の行動面と心理面の在り方に言及します。
「承認欲求」
「承認欲求」を否定するものとして、人は他人の期待を満たすために生きているのではない。
そしてもう一つ「課題への分離」として、他人と自分の課題を分離し、相互介入しないとしています。
他人の課題に介入しない。これには、「馬を水辺に連れてゆくことはできるが、水を飲ませることは出来ない」としています。
また、自分の課題に介入させない事が重要だともしています。
何のために生きるのか
そして「何のために生きるのか」の命題に対して「…つまり人は、いろいろと不満があったとしても、「このままのわたし」でいることの方が、楽であり安心なのです。」
「健全な劣等感とは、他者との比較の中で生まれるものではなく「理想の自分」との比較から生まれるもの」だと、しています。
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