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先祖という難問

 はじめましての人も、
 前から知ってる方も、
 ごきげんよう。

 偏光です。

 Pixivで公開してきた小説以外の文章を、
 少しずつnoteに移していきます。

(文字数:約1600文字)


 2019年1月16日、深夜2時半の夢はすこぶる恐ろしかった。
 人生で5本の指には入るだろう、夢見の悪さだった。

 そう。
 Pixivに登録し、
 人生初のネット投稿を始めようと思い立った、
 その翌朝だ。

 やめた方が良いのではないかと疑った。
 と同時にやめない方が良いのではないかとも疑った。

 夢の概要はこうだ。

 私は図書館らしき場所で、一冊の本を借りている。
 背表紙裏の貸し出し履歴を確認すると、相当に古い本らしく様々な書体の人名が、びっしりと並んでいて「怖!」と思う。
 本を読み進めて行くうちに私の前には一人の老人が現れる。
 老人はシワだらけで痩せて骨ばっており、薄暗い中をロウソクの灯りただ一本灯しただけの場所に座っている(古い日本家屋のようだ)。
 序盤は落語か講談のようで面白い。しかし聞いていくうちに少しずつ怪談調になってくる。
 怪談が佳境に入って気が付くと、私は金縛りにあっていて動けない。仰向けに横たわったまま板張りの床に倒れてしまう(板張りの硬さ冷たさが私の後頭部に感じ取れる)。
「おや。こん娘さんは固まらした」
 老人の笑い声がヒャッヒャッと聞こえる。
 ヒャッヒャッと続きながらも遠ざかって行く。
 どこへ行くのか気になるけれども、私は目線すら動かない。声が出せれば動けるはずだと、懸命に押し出そうとするけれども、出て来ない。
 やがて老人は、これほど痩せた身でどうやって、と思えるほど大きく重そうな岩を両腕に抱えて戻って来る。
 その岩で私の頭を叩き潰すつもりだ。
 老人の眼は赤く血走っており、薄暗い中をてらてらと、濡れたように光る様がまた恐ろしい。 
 私は必死に声を上げようとするのだが出て来ない。
 その間にも老人は歩み寄り、私の頭上高くに差し上げた岩を、その重みに任せて振り下ろす。

 目が覚めた後も心臓がバクバクいってはいたが、
 何せ眠かったので再び夢の内に入りかけるも、
 「呪」の文字が大量に目の裏に浮かんできたり、

 「呪いは口から出るもんじゃでなぁ。
  よぉっと気ぃ付けにゃあ」
 などと言いつつヒェッヒェッと笑う老人の声が聞こえたりする。

 あの、貴方取り憑かれてますよ(汗)、

 とでも忠告されそうな感じだが、
 実を言うと老人の正体は分かっている、
 ような気がしている。

 故郷の村で語り部をしていたという、
 私の母方の先祖だ。


 ここでちょっと話は逸れるのだが、
 「ご先祖様を大切に」といった文言に触れる度に、
 私は正直に言って戸惑ってきた。

 誰でも父方と母方、
 二系統の先祖を持っているはずだが、
 どちらかの家系が主軸となって、
 もう片側とは比較的縁が薄い、
 と言った構図が一般的ではないかと思う。

 私の場合は双方とも、
 同じ名字で同じ村落の出身で、
 密接に付き合いがある、と言うよりは、
 語り部をしていた母方の先祖が語っていたのが、
 行商をしていた父方先祖の空想も交えた冒険譚だ。

 小さな農村ではあるが、
 作家兼パフォーマーと、
 ネタ元の関係になる。

 私自身は果たして、
 母方の「語り部系」を大事にすべきなのか、
 父方の「行商系」を大事にすべきなのか、
 分からないままただ周囲からの要求に応じて、
 比較的行商系を重んじてきたのだが、

 ここにきて
 「我が血筋も軽んずるでないわ。馬鹿者め」
 と岩をぶつけられたような気がした。

 また「殺される恐怖」を味わう事も、
 現代の庶民生活には珍しくなった事を思えば、
 夢の中とは言えそれを味わえた経験は貴重だ。

 先祖の世代には身近にあっただろう危機で、
 だからこそリアルに語れもしたのだろうから。

 「御先祖様ありがとうございます」
 と心の内に呟いてからは、
 明け方まで問題無く眠れた気がする。

以上
ここまでを読んで下さり有難うございます。

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