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エミール・ガレ

 だから私の場合は沼ではなく海だと言っているだろう。
 語り出したら止まらないんだ。
 募った側に読んで下さる方々の側でも心して掛かれ。


感覚的には落とし穴

  仕事の都合で大阪に移り住まわされたばかりの、
  右も左もキタもミナミも梅田も難波も分からなかった頃、
  ただフランスはパリのシテ島っぽいという現実逃避から、
  大阪は中之島を散策していたんだが、

  ふと目に留まった美術館の展示内容案内に、
  形も色合いもグニャグニャにゆがみまくった、
  ガラス細工写真が並んでいたので、
  暇でもあったしふらりと覗いてみたわけだ。

  まさかここまで脳内麻薬が噴出しようとは……!

  嬉しくって楽しくって2周、3周しちゃったぞ。
  顔面からニタニタ笑いが止まらないぞ。
  きっと両の目はらんらんと見開いてるぞ。

  特にランプの展示スペースなんか地獄?
  むしろ地獄ですか?
  快楽が過ぎてガチに気が狂いそうなんですけど。
 
  イヤだこの前から離れたくない。
  閉館の時間が来たって居座っちゃっても良い?
  ここにお布団敷いて寝ちゃっても良い?
 
  どうにか理性を総動員して、
  美術館を後にしましたけれども。


底無し沼の恐ろしき

  そこからはもう『アール・ヌーボー』と
  『エミール・ガレ』に出会う度に、
  ポスター前で足を止め書籍を入手しまくる日々。

  しかし写真では残念ながら伝わらないんだ。
  あの現物がこれでもかと置き並べられた、
  容赦の無い存在感の大迫力は。

  日本、否、
  ガレの生誕地ナンシーに匹敵するほどの
  世界随一かもしれない、
  長野県は諏訪湖畔の北澤美術館に所蔵されている、
  ガレ・コレクションも堪能し、
  当時は山梨県の清里にあった別館にまで赴いた。

  みうらじゅん氏が山田五郎氏との対談番組で、
  語っていた考え方を流用するが、

    「フランスの薔薇」と、
    「ひとよたけランプ」は、
    私のものだ。

  もしも白飯が持ち込めたなら、
  周囲をくるくると回り眺めながら美味しく食える!

  美術館に預かって頂き、
  丁重に管理してもらっている。
  当然来訪時には維持費を支払う。
  私のものなのだから堂々と、誇りをもってだ。


マニアが共鳴した

  おそらくだがエミール・ガレ本人が、
  1900年のパリで開催された万博において、
  宮川香山を始めとする日本の陶磁器作品に、
  度肝を抜かれドハマりし尽くしている。

  うわぁ何これ何これ♪
  何なの日本って日本人ってすごーい♪
  お父ちゃんから継がされた、
  僕のガラス工房でも同じ事やりたい♪
  ってか絶対にやってやるんだ♪

  器に文字なんか描いてあるよ?
  和歌って何なに? 日本の詩?
  ポエムを器にくっ付けて、
  ポエムに合わせた絵書き込んじゃうの?

  だったら僕だってやっちゃうもん♪
  ヴィクトル・ユゴーの詩をガラスに線刻して、
  詩の雰囲気に合わせた真っ黒なガラス作っちゃうもん♪
  「もの言うガラス」ってシリーズ名とか付けちゃえ♪

  聴こえる。聴こえるよ。
  日本沼にハマりつつも有頂天になった、
  エミール青年の心の声が。

  あふれんばかりの情熱をほとばしらせた、
  それまでの概念的「器」としては有り得へんデザインの、
  具現化に尽力した職人達が素晴らしいんだけどな。
  正直に言って。

  (余談だが工房では、
   「芸術品」と「販売用商品」とを、
   しっかり分類して制作していたらしい。)

  アール・ヌーボーの旗手として名を馳せたものの、
  エミール本人は、
  「お金たくさん貯まったら貯まったら、
   いつかいつかきっと日本に行くんだ行くんだ♪」
  と思っていたような気がしてならない。
  
  当時はその危険性が知られていなかった、
  放射性物質まで材料に使っていたためか、
  それほど長くは生きられず実現しなかったんだが(涙)。

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岡埜 由木古(偏光) 何かしら心に残りましたらお願いします。頂いたサポートは切実に、私と配偶者の生活費の足しになります!