理由は分からないまま⑥/入ってから、動く。ながらでは、動けなくなった
以前は、
入る動きと次の行動が、
ひと続きだった。
電車。
エレベーター。
店の入口。
入ると同時に、
空いている場所を探して、
身体はもう次へ向かっていた。
今は、違う。
入る。
止まる。
それから、動く。
一拍、間が入る。
その場で立ったまま、
流れが落ち着くのを見ている。
エレベーターでも、
店でも同じだ。
入りながら考えない。
入りながら探さない。
入ってから、改めて動く。
それだけの違いだ。
以前は、
入りつつ空いている席を探していた。
視線を動かし、
身体をずらし、
人の流れに割り込むように進んでいた。
無意識だったと思う。
ただ、
その無意識の中で、
人とぶつかることが多かった。
物理的に、というよりも
精神的に、だ。
帰り道に残る、
理由の分からない疲れ。
小さな苛立ち。
今は自分が一歩待つことで、
相手との間に、
ほんの少しの「間」が生まれる。
遠慮なのか。
危機回避なのか。
目のこともある。
どれが理由なのか、
正直、分からない。
分けられない、という感覚に近い。
ここからは、
なぜ「止まるようになったのか」を
できるだけ言葉にしてみる。
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