映画リング。あの映像とながくらについて。
紅く焼けた光が窓から差し込んで、
まだ電気を消さなくても良い、だけど薄暗い、
夕方と夜の間。
私はリモコンの再生ボタンを押していた。
日本ホラー界における金字塔を建てた映画『リング』
オープニングが映し出されると、
辺りはじわじわと暗くなり、
テレビと部屋の境界線が曖昧になっていく。
陰鬱とした映像が私の目を釘付けにし、
やがて井戸から出てくる、なんか髪が長くて根暗そうなヤツ。
略して【ながくら】と呼ぼう。
私はすっかり暗くなった部屋で、
「井戸からながくらが出てくる映像は誰が撮ったのか?」
その様な事が気になって物語が全然頭に入って来ずにいた。
などという話をしようと思うのだがよろしいか?
まいど俺です!ヘック氏ですよ。
ながくらが井戸から出てくる映像、
いわゆる呪いのビデオと呼ばれているアレ。
アレをカメラで撮ってるヤツが絶対居るはずだ。
学生だった頃から気になっていた事なのだが、
もういい加減答えを出そうと思って考察を踏まえつつ書き記そうと思う。
呪いのビデオは誰かが撮っている。
何故なら、ながくらは怨霊であって役者ではない。
演技に関してはただの素人だ。
あんな良い感じに井戸から出てきて、
カメラに向かって良い感じに近付いてくる映像を素人に撮れるか?
否、撮れない。
プロの手が入らないとあんな良い感じのホラー映像は撮れない。
例えば井戸から手を伸ばしているシーン。
割とゆっくり井戸の淵に手をかけてるだろう。
ながくらは怨霊であって役者じゃないから、
あんな動きは出来ない。
実際に自分が井戸から這い出てくるところを想像してみて欲しい。
凄い必死になってしまうだろう。
じゃないと落ちちゃうから、井戸に。
あれは何回も撮り直して疲れてきて、
体力が尽きてきたからゆっくりな動きになっているのだろう。
「ながくらが自分で撮ったんじゃないか?」
という説も出てきそうだけど俺は否定するね。
何故なら、なんか映像にノイズが多くて、
サブカルに倒錯した者の「どうです?オシャレでしょ?」という承認欲求めいたものを感じるからだ。
ながくらはどう見てもサブカル女子っぽくない。
それに、ながくらは美人である。
美人なのにあんなノイズだらけの映像を自分で撮るだろうか。
なんなら髪で顔見えないし、姿勢も悪い。
そんなの嫌でしょ、美人なんだから。
もっと綺麗に撮って欲しいでしょう。
その証拠にテレビから出てきたら凄いアップになるじゃない。
あれはもっと顔を映して欲しかったから、ああなったんじゃないかな。
特に目に自信があるんだろうね。
目力だけは誰にも負けないっていう自信が。
あのシーンには自分を見て欲しいっていう迫力がある。
自分の顔に自信が無かったらあんなアップに出来ないよ。
なんと言うか、ながくらの自意識というか本音が垣間見える。
つまりながくらが自分で撮ったなら、
確実にもっと自分の顔を映す。
だから自分で撮ったって事はありえない。
これは我ながらある、説得力が。
では説得力が出た所で本題の、
【呪いのビデオは誰が撮ったのか?】について。
ここからは、かなり深い考察になるけど、
俺は寺山修司だと思う。
正直、寺山修司の事はよく知らないけど、
川から突然ひな壇が流れてきたり、
新宿のど真ん中でセットが倒れて親子で飯を食べてるみたいな映画を撮った人って事は知ってる。
奇抜な映像を撮るという一点では呪いのビデオと共通している。
あと寺山修司の事はよく知らないけど凄い有名な監督らしいので、
ながくらもオファーを断れなかったんじゃないかな。
ひょっとしたらながくらも寺山修司の事をよく知らなかったかもしれないが、有名な監督のオファーは断れないと思う。
これは我ながらかなり深い、考察が。
だから寺山修司で間違いない。
これをもって呪いのビデオは誰が撮ったのか?という問いの答えとしたいと思う。
終。
