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【ADHD】過集中で燃え尽きるあなたへ。脳をだまして“省エネ運転”に切り替える、3つの外部装置

なぜ僕の集中力は、「続かない」か「集中しすぎる」かの両極端しかないんだろう――。

深夜2時、静かな部屋にキーボードの音だけが響いている。

「このバグだけ直したら、今日は終わりにしよう」と、ほんの1行の修正で済むはずだった作業は、いつの間にか大規模な書き直しに発展していた。時間の存在をすっかり忘れて、ただ目の前のコードに没頭している。

この"過集中"が翌日の自分を苦しめることに、この時の僕はまだ気づいていない。気づけば窓の外は白み始め、時刻は朝の4時になろうとしていた。

やりきったという静かな高揚感と同時に、身体の芯に居座る重い疲労感に気づく。

あ、またやってしまった……。

慌てて床に入り、翌朝なんとか起きはしたものの、案の定、脳がうまく働かない。PCの前に座っても思考がまとまらず、午前中はまるごと溶けていった。

・・・

僕はこの「過集中と燃え尽き」の繰り返しに、長年悩まされてきた。

タイマーはセットしていた。時計だって途中で何度も見たはずだ。明日の予定も頭に入っている。それなのに、なぜ作業を止められないのだろう。

ずっとこの問題と戦ってきて、これは「意志の弱さ」などという単純な話ではないと感じるようになった。

これは、脳の特性のようなものではないか。だとしたら、精神力で殴り合うのではなく、もっと別のアプローチが要るのではないか。

そうして僕がたどり着いたのは、脳の“外側”に物理的なスイッチを置く、という考え方だった。


止まれないのは、ブレーキが弱いからじゃない

僕はADHDが過集中を起こす仕組みについて専門書を漁ってみた。(この時も過集中だったことについては不問にしてほしい)

それによると、人の脳にはDMN(デフォルトモード・ネットワーク)という「ぼんやりモード」と、ECN(実行制御ネットワーク)という「集中モード」を切り替える仕組みがある。この切り替え役を「サリエンス・ネットワーク」と言うらしい。

ところがADHDの脳は、いったん特定の対象に強く惹きつけられると、このサリエンス・ネットワークが活発になり、他の刺激をシャットアウトして一つのことに集中し続けやすい。

これは、興味のあることに驚異的な集中力(過集中)を発揮する源泉だ。だが裏を返せば、自分の意志でブレーキをかけるのが非常に難しい、ということでもある。

この仕組みを知ると、僕たちにポモドーロ・テクニックがうまく効かないことにも納得がいく。

スマホのアラームが鳴ったところで、ADHD脳の「ブレーキ」は大型コンテナ船なみに止まらない。「あと5分だけ…」が命取りになることを、僕たちは骨身に染みて知っている。

大型コンテナ船はブレーキを掛けてから完全停止するまでに4〜5kmの制動距離が必要と言われている。

ここで僕の見方が一つ、ずれた。

過集中で止まれないのは、ブレーキを踏む力が弱いからではない。そもそもブレーキが、脳の"中"にしか無いからだ。

意志というブレーキは、興奮しきった脳の内側にある。その同じ脳に「止まれ」と命じても、効くわけがない。アクセルを踏んでいる足で、ブレーキも踏もうとしているようなものだ。

だとしたら、必要なのは「意志の力で止まる」訓練ではない。脳の"外側"に、自分の意志とは無関係に作動するブレーキを置くことだ。僕はこれを「外部装置」と呼んでいる。

「頑張って止まる」のをやめて、「勝手に止まる」に切り替える。

これは精神論の放棄ではなく、設計の話だ。壊れていたのは僕の意志ではなく、止まる仕組みが一つも置かれていない作業環境のほうだった――そう考え直したとき、夜中の自己嫌悪が、少しだけ静かになった。

ここから先は、その「外側のブレーキ」を、悪い日でも作動するように生活へ組み込んでいく話になる。

意志を鍛える話は一切しない。徹夜明けで頭が回らない日でも、考えずに開けばいい一枚を渡したい。


ここまでで言葉にしたのは、過集中で止まれないのは意志の弱さではなく、止まるブレーキが脳の外に無いからだ、ということだった。

この先では、その「外側のブレーキ」を実際に組み立てていく。

自分がどの入口から過集中に落ちるかを掴み、悪い日でも勝手に止まる仕組みへ、生活の粒度まで下ろしていく。

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