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朝、やる気が出ない僕を救った“タスク超分解”術

月曜の朝、僕はPCの前に座っていた。

画面は開いている。
コーヒーも置いてある。
タスク管理ツールも開いた。

なのに、手が動かない。

やることは分かっているつもりだった。

進捗報告メールを書く。
先週の作業をまとめる。
請求まわりの確認をする。
ブログの下書きも少し進める。

どれも、言葉にすると大したことではない。

でも、月曜の朝の僕には、それが全部でかかった。

「進捗報告メールを書く」という一行が、机の上に置かれた一枚の紙ではなく、玄関をふさぐ巨大な段ボール箱みたいに見えた。

持ち上げる場所が分からない。
どこから開ければいいか分からない。
中に何が入っているかも分からない。

だから、僕はタスク管理ツールを整え始めた。

期限を確認する。
ラベルを直す。
優先度をつける。
今日やることを並べ替える。

少しだけ仕事をしている気分にはなる。

でも、三十分後も、進捗報告メールは一文字も進んでいない。

僕はまた、自分に同じ言葉を投げる。

甘えている。
やる気がない。
仕事なんだからやれ。
月曜の朝くらい、普通に始めろ。

その声を頭の中に流しながら、僕はまた画面の前で固まっていた。


やる気がない、では説明が足りなかった

僕は十年以上、自宅で働いている。

上司が横にいるわけではない。
始業チャイムもない。
誰かが「そろそろ始めよう」と声をかけてくれるわけでもない。

だから昔の僕は、月曜の朝に動けないことを、自分のだらしなさだと思っていた。

会社員として鍛えられていない。
在宅に甘えている。
気合いが足りない。
仕事への覚悟が足りない。

でも、よく見ると変だった。

本当にやる気がゼロなら、タスク管理ツールすら開かないはずだ。

本当に仕事が嫌なら、期限を確認したり、ラベルを整えたりもしないはずだ。

実際の僕は、仕事から逃げたいだけではなかった。

やろうとはしている。

でも、タスクの前で手が止まる。

やる気がないというより、最初の動作が見えていない。

「進捗報告メールを書く」は、タスク名としては分かる。

でも、身体が最初に何をすればいいのかが分からない。

メールソフトを開くのか。
先週の作業ログを見るのか。
相手の前回メールを読むのか。
いきなり本文を書くのか。
箇条書きから始めるのか。

その入口が見えないまま、「やれ」と命令していた。

これでは動けない。

大きすぎるタスクは、脳の前で固まる

僕はADHDの診断を受けている。

その説明の中でよく聞くのが、「複雑なタスクを前にするとフリーズしやすい」という話だ。

ただ、この言葉だけだと少し遠い。

僕の生活の中では、もっと単純な形で起きる。

タスク名が大きすぎると、手が動かない。

「メールを書く」
「資料を作る」
「請求書を出す」
「ブログを書く」
「部屋を片づける」

どれも、見た目は一行だ。

でも、その中には小さな判断が大量に入っている。

どこを開くか。
何を見るか。
何から書くか。
どこまでやるか。
完了条件は何か。
誰に見せるか。
いつ送るか。

一行のタスクに見えて、実際にはいくつもの扉が詰まっている。

僕は、その扉を全部まとめて開けようとしていた。

だから止まっていた。

問題は、やる気の量だけではなかった。

タスクが、身体の動きに変換されていなかった。

僕に必要だったのは、気合いではなく粒度だった

ある日、月曜の朝にまた固まっていた。

進捗報告メールを書く。

その一行を眺めながら、僕は何もできなかった。

そこで、試しにタスクをばかばかしいくらい小さくしてみた。

PCを開く。
メールソフトを開く。
前回のメールを読む。
先週やったことを三つだけ書く。
質問したいことを一つだけメモする。
下書きテンプレを開く。
箇条書きを本文に貼る。
件名を見る。
送信先を見る。
送信予約にする。

ここまで分けたら、少しだけ変わった。

「メールを書く」は重い。

でも、「前回のメールを読む」ならできる。

「進捗をまとめる」は重い。

でも、「先週やったことを三つだけ書く」ならできる。

やる気が湧いたわけではない。

ただ、手が置ける場所ができた。

僕に足りなかったのは、立派な決意ではなかった。

タスクを、身体が動ける粒度まで下ろすことだった。

これが、僕の言うタスク超分解だ。

この先で書くのは、気合いで月曜を乗り切る話ではない。

大きすぎるタスクを、手が動くサイズまで割る話だ。


ここまでで言葉にしたのは、月曜の朝に動けないのは、怠けややる気不足だけではなかったということだ。

タスクが大きすぎると、最初の一手が見えなくなる。

この先では、タスクを小さくするだけでなく、悪い朝でも動き出せる形まで落としていく。

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