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ワーキングメモリ141なのに、情報で溺れる僕へ――本当の問題は能力不足ではなく「脳内の交通整理」だった

仕事に関係する技術記事を2本、3本と続けて読んだあたりで、妙な疲れが来ることがある。

難しい数式でも、難解なアルゴリズムでもない。なのに、頭の奥がじわじわ熱を持って、急に思考が濁る。

Xを少し眺めただけなのに、脳の中にタブが50個開いたみたいになって、そのあと何も考えられなくなる。

そのたびに僕は、かなり長いあいだこう思っていた。

「自分は記憶力も理解力も、見かけほど大したことがないんだろうな」

でも、数年前に受けたWAIS-IVの結果は、その実感をひっくり返した。
ワーキングメモリ指標は 141。主治医からは、かなり高い数字だと言われた。

正直、笑ってしまった。

僕の実感はむしろ逆だったからだ。
頭のメモリ容量が大きいなら、どうして僕はこんなに簡単に情報で潰れるのか。
どうして新しい情報が一気に来るだけで、こんなに息苦しくなるのか。

この記事は、その疑問を僕なりにほどいていった記録だ。
そして後半では、「情報に弱い自分」を根性で矯正するのではなく、どうやって先に環境を組み替えるか まで書く。

今まさに、

  • 頭は悪くないはずなのに情報で詰まる

  • 読める日と読めない日の差が激しい

  • SNSやニュースで脳が散らかる

  • 速く反応する世界にいるだけで自尊心が削れる

そんな感覚があるなら、たぶんこの話は他人事ではない。



「高いはずの性能」と「使いものにならない実感」が、ずっと噛み合わなかった

WAIS-IVの結果で特に高かったのは、ワーキングメモリ指標だった。

ワーキングメモリは、ざっくり言えば頭の中で情報を一時的に持ちながら動かす力だ。
脳の作業机の広さ、くらいの理解でいいと思う。

数字だけ見れば、僕はそこがかなり強いらしい。

でも僕の生活実感は、そんな感じではなかった。

  • 牛乳を買い忘れる

  • 読んだはずの記事の内容が散る

  • 長いコードを読むと途中で霧がかかる

  • 情報量が増えるほど理解が深まるどころか、逆に壊れる

この噛み合わなさが、かなりつらかった。

能力が低いならまだ分かる。
でも、数値上は高い。なのに実感はボロボロ。
この状態は、単に困るだけじゃない。自分の感覚そのものを信用しにくくなる。

「検査結果が正しいなら、苦しいと感じている僕のほうが甘えているのか」
そんな変な自責まで生まれる。


たぶん問題は、机の広さではなく、机に流れ込む量と流れ方だった

いろいろ調べていくうちに、僕は認知負荷という考え方に引っかかった。

難しい言い方に見えるけれど、意味はそこまで遠くない。
要するに、頭がその瞬間にさばかされている仕事量のことだ。

ここでやっと、少し見え方が変わった。

僕の問題は、
「脳のメモリ容量が低いこと」ではなく、情報が流れ込んだときの交通整理がすぐ破綻することなのかもしれない。

この見方に変わったとき、かなり救われた。
少なくとも、「頭が悪い」ではなくなったからだ。

同じ量の情報でも、

  • すでに整理された形で入ってくる人

  • ノイズを自動で切れる人

  • 必要な前提だけ残して読める人

は、そこまで削られない。

でも僕は、そうならないことが多い。
関係ない枝まで拾う。
前提のズレも気になる。
「この人すごいな」「自分は遅いな」みたいな内省まで同時に走る。
読みながら、読むこと以外の処理も始まってしまう。

つまり僕は、読んでいる最中に、読書以外のタスクも勝手に背負っている

これなら、疲れるのも自然だった。


「集中していない」のではなく、別の回線が切れずに残っていた

ここで、ADHDの脳のモード切り替えに関する話も知った。
専門語はひとまず横に置くけれど、僕なりの理解ではこうだ。

人は何かに集中するとき、
内省したりぼんやり連想したりする回線が弱まり、
作業用の回線が前に出やすくなる。

でも僕は、その切り替えがスパッと行かない。

集中したい場面でも、

  • 自己評価

  • 関係ない連想

  • 今読んでいる情報への過剰な反応

  • 「全部理解しなきゃ」という焦り

みたいな別回線が、かなり残る。

だから見た目は同じように画面を見ていても、
内部では一つの作業をしていない

コードを読む。
その意味を追う。
設計意図を想像する。
自分の理解速度を採点する。
知らない概念に不安を持つ。
前に読んだ別の記事を思い出そうとする。

これを同時にやっていたら、そりゃ熱くなる。

僕は長いあいだこれを、
「集中力がない」
「根性がない」
「情報弱者だ」
と処理してきた。

でも実際には、処理系統の競合みたいな話だったのかもしれない。


テストで点が取れたことと、情報で潰れることは、別に矛盾していなかった

ここで、もう一つ引っかかっていたことがあった。

学生時代、僕はテストがかなり得意だった。
4択問題ならよっぽど外すことはなかった。
だから余計に、「なんで実務や読書だとこんなに消耗するんだ」と混乱していた。

でも今は、ここも少し見え方が変わっている。

テストは、問題の形がかなり整っている。
範囲もある。
答えの置き場所も決まっている。
選択肢まで用意されていることも多い。

言い換えると、散らかった情報を自分で部屋にしまう前に、先に棚が与えられている

一方で、新しいコードやSNSや雑多な記事は違う。
前提がバラバラで、重要度も混ざっていて、読む側が自分で仕分けしないといけない。

僕はたぶん、
その場で局所的に考える力 はかなり使える。
でも、入ってきた情報を長く使える形に整理してしまう力 は、別問題として弱い。

ここを一緒くたにしていたから、ずっと説明がつかなかった。


僕の問題は、「認知の部屋」が散らかりやすいことだった

いちばん腹落ちしたのは、この比喩だった。

僕の頭の中は、部屋としては広いのかもしれない。
でも、整理整頓が弱い。

どこかに知識はある。
読んだ記憶もある。
以前触った概念も、完全には消えていない。

でも、いざ必要になったときに、

  • どこにあるかすぐ出てこない

  • 新しい情報をどこへ置くか決まらない

  • 置き場所が決まらないまま床に積み上がる

  • 積み上がったまま次の荷物が届く

そんな感じになる。

これなら、ワーキングメモリが高くても苦しい。
むしろ作業机が広いぶん、その場しのぎで抱え込めてしまうから、
散らかったまま回ってしまう時間が長い とさえ言える。

ここでようやく、タイトルにある感覚が言葉になった。

僕はたぶん、
「高い作業性能」と「低い情報耐性」が同居している二重の例外
みたいな状態だった。

だから、自分でも自分が分かりにくかった。


ここまで読んで、「自分はそこまでひどくない」と思った人へ

たぶん、その迷い込みも含めてこの構造なんだと思う。

実際、僕も長いあいだこう思っていた。

  • もっと大変な人はいる

  • 仕事は一応できている

  • ただ疲れやすいだけかもしれない

  • 甘えを理屈で飾っているだけではないか

でも、問題は診断名の強さや苦しさの順位じゃない。
日常の運用が、どこで詰まるか だ。

情報を処理するたびに毎回大きく削られるなら、
それは十分に設計の問題だ。

そして設計の問題なら、性格を責めるより先に、
外側を組み替えたほうが早い。


無料部分の結論

僕がやっと受け入れられたのは、
「情報に弱い自分」ではなく、「情報が流れ込む設計に弱い自分」 だった。

この違いはかなり大きい。

前者だと、自分を改造するしかない。
後者だと、流入量、入口、順番、保存の仕方を変えられる。

つまり、勝負する場所が変わる。

ここから先は、有料部分に入る。
後半では、僕がこの構造をどう扱い始めたかを、
速くなる方法 ではなく、溺れないための運用 としてまとめる。

読む価値があるのは、たとえばこんな人だ。

  • 情報制限が大事なのは分かるが、いつもその場で負ける

  • ブックマークだけ増えて、余計に頭が重くなる

  • 何を見ないか決めたいのに、毎回その場の刺激に引っ張られる

  • SNSにいるだけで認知が荒れる

  • 「自分に合う情報の速度」をまだ持てていない

後半は、正論を並べるためではなく、
頭がもう暗くなっている日でも次の一手が見える形 で書く。

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