「スマホ農場」が可視化したSNSの闇
1.偽造される民意と民主主義の危機
6月27日(土)の『報道特集』をご覧になった方も多いのではないでしょうか。
まだ見られてない方は、下記のユーチューブ(TBS公式)からご覧いただけます。
番組で取り上げられていた「スマホ農場(クリックファーム)」の実態は、私たちが日常的に利用しているSNSの根幹を揺るがす、非常に深刻な問題でした。
今回は、この「スマホ農場」問題について、既存メディア、いわゆるオールドメディアとの比較も交えながら、なぜこれが民主主義の危機につながり得るのかを考えてみたいと思います。
2.「スマホ農場」とは何か
「スマホ農場」とは、壁一面に並べられた何百、何千というスマートフォンを専用のプログラムなどで制御し、SNSの「いいね」や「リポスト」、フォロワー数、さらには動画の再生回数などを人為的に、かつ大規模に水増しする仕組み、またはそれを請け負う業者のことです。
そこには、人間の純粋な共感や感情はほとんど介在しません。
あるのは、「お金を払って数字を買う」というビジネスです。
3.オールドメディアとSNSの決定的な違い
近年、テレビや新聞などの「オールドメディア」に対する批判は少なくありません。
特定の権力への忖度、偏向報道、そして時には誤報があるのも事実です。
しかし、オールドメディアには少なくとも「責任の所在」と「自浄作用」が存在します。もし間違いがあれば、社会的責任を問われ、訂正や謝罪を求められます。放送法や新聞倫理といった一定のルールに縛られながら運営されているからです。
一方で、現在のSNSはどうでしょうか。
SNSは、誰もが自由に発信できるという意味で、言論の自由を支える素晴らしいツールです。しかしその反面、現状では「やりたい放題」の無法地帯に近い側面もあります。
フェイクニュースを流す。
対立を煽る。
スマホ農場を使って、存在しない「大絶賛」や「世論の盛り上がり」を作り出す。
こうした行為が行われても、責任の所在は曖昧です。誤情報に対する訂正や謝罪の仕組みも、プラットフォーム側が積極的に対応しない限り、十分に機能しているとは言えません。
4.偽造される「民意」と民主主義の危機
スマホ農場の最大の問題は、「偽のトレンド」を人為的に作り出し、それがあたかも「世の中の総意」であるかのように見せかけてしまう点にあります。
私たちは無意識のうちに、
「多くの人がいいねしている意見」
「たくさん拡散されている投稿」
「再生回数が伸びている動画」
を、正しい意見、あるいは主流の意見だと受け止めてしまいがちです。
心理学では、こうした現象は「バンドワゴン効果」と呼ばれます。スマホ農場は、まさにこの人間心理を悪用していると言えます。
もし、特定の政治家や政党、あるいは特定の思想を持つ団体が、スマホ農場を使って自らの意見を「多数派」に偽装したらどうなるでしょうか。
偽の世論が形成される。
それに影響された人々が、自分の意見を変えたり、同調したりする。
結果として、選挙結果や政策決定までもが歪められる可能性がある。
これはもはや、単なる「ネット上の不正行為」ではありません。
一人ひとりの国民が、正しい情報に基づいて意思決定を行うという、民主主義の根幹に対する重大な挑戦です。
5.おわりに。私たちにできる事。
「バズっているから」
「いいねがたくさん付いているから」
「みんながそう言っているように見えるから」
それだけを理由に情報を信じ込んでしまう時代は、もう終わりにしなければなりません。
オールドメディアには、オールドメディアの役割があります。情報の裏付けを取り、責任ある形で報道する。その価値を、私たちはただ批判して切り捨てるのではなく、健全に監視しながら活用していく必要があります。
同時に、SNS上の数字の裏には、「スマホ農場」のような悪意ある操作が潜んでいるかもしれないという意識を持つことも重要です。
偽造された民意に踊らされないために。
私たち一人ひとりが、情報との向き合い方をアップデートすることが、今、強く求められています。
この記事を読んで、皆さんはSNSの「数字」についてどう感じましたか。
ぜひコメント欄でご意見をお聞かせください。

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