ショートショート 無人島生活福袋
繁忙期がようやく終わって押し入れを開けた。もう12月なのに冬服を出せないままでいた。
衣装ケースを引きずり出す。ふたを開けると衣服が盛り上がった。ダウンやらマフラーやらが団子になっている。畳んで欲しかったなと春の自分に思うが、確か春も立て込んでいた気がする。
中に見慣れないセーターがあった。なんだっけ。値札がついたままだ。思い出した。福袋に入っていたやつだ。買って着ないままになっていた。
「勿体無いな」
苦笑いする。お得だと思うとつい買ってしまう。しかもろくに中を確認しない。今年は他に文房具の福袋と家電の福袋。それと新生活の福袋を買った気がする。
リモートワーク用の机を見る。付箋は文房具の福袋のものだ。ぴいと電気ケトルが台所で鳴る。あれは家電の福袋。
「新生活?」
首を傾げる。何が入っていたか記憶がない。セーターの埃を払うとひらりと紙が落ちた。「無人島生活」と大きく書いてある。
ざぶうん。外では波音がしていた。
ショートショート No.743
たらはかに(田原にか)さんの「毎週ショートショートnote」に参加しています。今週のお題は「無人島生活福袋」です。
先週のお題は「長距離恋愛販売中」。小粋でポップなヒスイさんはSFテイストです!
地球でも宇宙でもいつも恋に落ちる時は不意打ちですね。
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