ショートショート 変身磁器
陶器の皿は毎夜夢に見ていた。自分がいつか磁器に変わることを。すべすべの白い肌、軽やかな薄さ、触れたときのコーンと澄んだ音。
どうせなら絵付けの皿がいい。輝くような青色、目の覚める赤色、そして金の縁取模様。
ちらり、とソファで居眠るこの家の老婆を見る。自分が華やかな磁器に変わったら彼女の毎日がどんなに華やぐだろう。野暮ったい陶器の自分が呪わしい。神様お願いします。
いつの間にか眠ってしまったようだ。目が覚めて驚いた。陶器の皿は目にも鮮やかな赤の絵付の九谷焼変わっていた。
「おやおや」
老婆が目を丸くする。手にとって昨日の残りの肉じゃがをよそう。小さな食卓に絵のような皿。陶器だった皿は誇らしく思った。ところがどうだ、箸を伸ばし、肉じゃがを口にした老婆の顔が曇った。陶器の皿は悟った。
「覚めちゃったんだ」
かん。鈍い音。目を覚ました陶器が棚に当たった音だ。夢だった。きまり悪そうにまた目を閉じる。今度は少し誇らしげに。
ショートショートNo.783
田原にかさんの毎週ショートショートnoteに参加しています。
今週のお題は「変人式」。裏お題は「変身磁器」です。
本日1月17日(土)20時から、星々ラジオやってます。
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