【カターレ研究所note支店】奇跡の価値は?
※前置き※
このタイトルを見ただけで、「コイツ、エヴァ好きだろ?」と思われた方は…鋭いです、仰る通りのエヴァ好きです。確か「奇跡の価値は」の回は、「作戦成功率0.001%のほぼ失敗しそうな作戦に賭ける」…というお話しだったと思います。今作はそれにならって、「サッカー界の奇跡」についてお話ししたいと思います。
①私が目にした奇跡
私が一番最初に目にしたサッカー界の奇跡は…
「1999年天皇杯横浜フリューゲルスの優勝」
です。消滅が決まっていた横浜フリューゲルスが、どんな気持ちで最後の天皇杯を戦っていたのかは正直わかりません。ただ裏話としては「優勝して横浜フリューゲルスという名を歴史に刻みたい!」という話がチーム内から出て来たと聞いています。負けたら即消滅という残酷なトーナメント戦で、彼らは決勝まで進み清水エスパルスと対戦します。先制点を許したものの、2得点して大逆転を起こして優勝。私はこの優勝に歓喜と涙と…そして失望しJリーグから離れました。結局Jリーグも、スポンサー企業の経営が怪しくなったら、スポーツクラブもあっさり切り捨てるんだな、天皇杯優勝という名誉な結果を残してでも…という失望です。バブル崩壊後に、大企業のスポーツチームが廃部に追い込まれた事例をたくさん見て来たので、サッカーもそうなのか、と。
次の奇跡は…
「2011年女子W杯なでしこジャパン優勝」
です。恥ずかしながら私、当時は女子にもW杯がある事を知りませんでした。2011年は誰もが忘れる事が出来ないであろう、東日本大地震の年です。当たり前ながら辛く重苦しいニュースが続く中、ふとワイドショーが、なでしこジャパンが準決勝まで勝ち進んでいるニュースが流れて来ました。そして決勝まで勝ち進み、対戦相手は世界一の強豪国アメリカ。世界的な活躍をしている選手が3人くらいいて、その選手に早くボールを回して決めてもらうアメリカに対し、なでしこは組織的パスサッカーで応戦。どうやらこの時代の女子サッカーでは組織的サッカーは珍しかったようで、個人対組織の様相を呈していました。アメリカが点を取るもなでしこが追い付きを繰り返し、延長後半のCKで澤の飛び蹴り?のようなゴールで追い付きPK戦に。そして結果はご存知の通り日本の優勝。重苦しい雰囲気に包まれていた日本に、あまりにも奇跡的なニュースが飛び込んで来て、数年女子サッカーブームが訪れるのは至極当然でした。
3つ目は…
「2013年?2014年?富山第一高校全国高校サッカー選手権優勝」
です。富山第一高校は、私立高校でありながら寮を持たず、通学出来る選手だけでチームを作り上げていました。なので後の日本代表にも選ばれる事になる西村拓真は例外として(事情を話すと長くなります)、ほぼ富山県民だけで構成されたチームです。他の強豪私立高校のように全国からスカウトしたり、ハーフの選手を重用したりは出来ないのでした。そんな富山第一高校は、色々ありながらも決勝戦まで進み、石川県の星稜高校と戦う事になります。ところがその1週間ほど前に、星稜高校OBと呼んで良いのかわかりませんが、本田圭佑がセリエAのACミランの移籍が決定。このニュースもあって、雰囲気的には「星稜が勝つ」みたいな感覚に包まれていた事を覚えています。そして試合は前半で1-0で星稜リード、そして後半70分にも追加点をあげられ、残り20分で2-0。これはさすがに厳しいと思っていたのですが、87分に1点を返し、そして後半ATに PK獲得。5万人以上の観客が固唾を飲む中、キャプテンでありながら監督の息子でもある大塚翔が PKに成功しそのまま延長戦へ。そして延長後半に富山第一が得点し、奇跡の大逆転劇優勝で幕を閉じました。富山第一高校の監督、大塚一朗の指導法やマネジメントに強く共感し、私もすっかり富山第一高校サッカー部のファンに。いや私も富山第一高校に受験し合格していた経緯もあるので、自分の事のように嬉しかった記憶があります。
4つ目は…
「2024年カターレ富山J2昇格」
です。これは記憶に新しいでしょう。J3にもプレーオフ制度が決まった2024年、大宮と今治が自動昇格を手にして、カターレ富山は3位でリーグ戦をフィニッシュし、プレーオフでは「ホーム開催&引き分けなら勝ち」という有利なレギュレーションで挑む事になります。準決勝はFC大阪に1-1の引き分けで決勝進出、決勝の相手はJ1経験もある松本山雅との対戦に。しかし前半はまさかの2失点で2点差をつけられてしまいます。後半80分まで来てやっと碓井聖生がヘッドで1得点をあげ、後半ATが訪れます。しかし後半AT、またしても碓井聖生のヘッドで得点。そのまま試合終了し11年ぶりのJ2復帰を果たし、碓井聖生はもちろんカターレの救世主やエースやアイコンである事を印象付けました。
②奇跡はそこそこ起きる
私がTVや生観戦しただけでも10年に一度以上のペースで起きているのだから、奇跡が起こる事に驚いてはいけませんね。あと私が観ていなくても、10年ほど前のレスターのプレミアリーグ制覇(ミラクル・レスター)、一昨年のレヴァークーゼンのブンデスリーガ無敗優勝、昨年のJ2プレーオフのジェフ千葉対RB大宮(0-3から4-3の逆転勝ち)など、奇跡はそこそこ起きています。ペースとしては
「5年に1回くらいは、奇跡が起きている」
という肌感覚でしょうか。そして昨年末の
「カターレ富山、奇跡のJ2残留劇」
ですね。私の分析では、「カターレ富山が秋田に2-1で勝って、熊本が甲府に1-0もしくは2-1で破れてJ2残留」というシナリオでしたが…私の現実的な分析を嘲笑うかのような、まさかの4-1での勝利(熊本対甲府は0-0のドロー)で、得失点差1で残留決定でした。一昨年の奇跡的J2昇格劇を目にしておきながら、カターレ富山の「出来る限り自力で残留」という闘う覚悟を信じきれていませんでした。
③奇跡を信じられない理由
この記事を書こうと思った理由は「えとみほ」さんのnoteの一つの記事がキッカケでした。
えとみほさんはサッカー界では、知る人ぞ知るマーケティングのスペシャリストな方のようです(色々な肩書きをお持ちの方なので、断言出来ないのです)。私も数年前から彼女の名を聞く機会がありました。上記のnoteを読んで、「言われてみれば、私も奇跡を何度も体験しているハズなのに、どうしてカターレ富山の残留劇を信じられなかったのか?」という疑問にぶつかりました。
そして答えはすぐにわかりました…
「私が戦術を勉強するようになったからだ!」
と。戦術を勉強していくと、「裁判の判例主義的な思考」になります。例えば「カターレは3得点以上取った事がないから」4点取る確率は奇跡的な出来事になる。私は秋田の前節の仙台戦で「仙台相手に0-0のドローだったから、カターレは得点出来ても2点までだろう」という確率論になる。この思考では絶対に「奇跡が起こる」なんて発想には永遠に辿り着けない、と。奇跡が5年に一度くらいの確率で起こるものだとしたら、それは競馬で「100万馬券(100円が100万円になる倍率1万倍)」を買うようなものだと。確か上記したミラクル・レスター時のブックメーカーの優勝確率オッズも5000倍だった記憶があります。この「天文学的な倍率に賭ける勇気」…ありますか?しかし奇跡を信じるのなら、データや分析などを捨てないといけなくなります。そうでなければ、カターレ富山の残留劇も、最低人気の馬から馬券を購入する事も、絶対に出来ないのですから。時には「データや分析など捨てて、奇跡を信じる勇気が必要」なんだ…と、えとみほさんのnoteから考えさせられました。
④奇跡は「起こる」ものではなく「起こす」もの
とはいえ、奇跡はあり得ない状況から逆転をするから奇跡なのであり、データや分析の視点から見れば、「確率には1%以下」の事象だと推測出来ます。
しかしその奇跡を起こす人達は、だいたい似たような言葉を口にします。確かフリューゲルスの天皇杯の時は「負ける気がしなかった」。なでしこジャパンの優勝は「東日本大地震の被災者を勇気付けたい」。富山第一高校の前半のミーティングで大塚監督は「お前達はまだ成し遂げていないものがある、それは逆転勝ちだ!」と選手に声掛け…などなど、奇跡に関わった人物は皆、「奇跡を信じて自ら起こそうとしている」と。
私はスポーツが大の苦手なのですが、そんな私にも一つだけわかる事があります。「イメージ出来ない事は絶対に実現出来ない」と。今でこそ数人いるであろうが、数年前までは「日本人選手が100m走で10秒を切るのは無理」だったハズ。それを桐生祥秀は、おそらく「10秒を切る」イメージが持てたのでしょう。それ以降数人が10秒を切る選手が現れたのは、間違いなく桐生祥秀が10秒を切った事で、他の選手にも10秒を切るイメージが出来たのだと推測出来ます。だからこそ言いたい…奇跡を「待つ」者に奇跡は絶対に訪れない…
「奇跡を起こそうとする者だけに奇跡を起こすチャンスが訪れる」
のだと。ましてやサッカーは手が使えない、不器用な足で行うため「ミスをする事が前提」なので、「ジャイアントキリングが起こりやすい」スポーツなのだ。どんなスポーツよりも奇跡は起こりやすいスポーツである事を忘れてはいけないのです。
⑤奇跡の価値は
ではスポーツ界やサッカー界の奇跡を観られた事は良しとして、それは日常生活にどんな影響があるのか?仕事、学業、人間関係などなど、様々な生活のスタイルの中で、奇跡を目撃した事はどう活かせば良いのだろうか?受験生であれば、最後の最後まで努力し続けて、後は結果を待つのみ…まさに
「人事を尽くして天命を待つ」
という精神が心に宿るだろう。もしも挫けそうになった時、苦しくなった時…なでしこジャパンの澤は
「苦しい時には私の背中を見なさい!」
とチームメイトに話していた、と。つまり澤は
「私は最後の笛がなるまで絶対に足を止めない、だからみんな最後まで諦めるな!」
というメッセージを、キャプテンとして背中で後押ししていた…という事になります。これもまさに「人事を尽くして天命を待つ」と同義です。私も38歳の時に一年間かけて丸暗記の国家資格を取得したり、48歳の時は半年かけて専門用語が堅苦しい資格を取得しましたが、苦手なジャンルの資格を取得した事で「俺、結構デキるじゃん!」なんて自信を持ちましたが…心が折れかかった時には、澤の言葉を思い出しながら猛勉強した記憶があります。
人間誰しもが順風満帆に生きられる人はいないと思っています。例え自分が順風満帆であったとしても、天変地異や流行病や大事件などで、これまでの自らの価値観や実績や評価などが全否定される可能性すらあります。そんな時にこそ、
「奇跡を信じて諦めずに最後まで走り続けた試合やチーム」
の事を思い出して欲しいのです!私も時々日本代表の試合を観ている時に、ドーハの悲劇時代の日本代表ユニを着て応援する中高年サポを観ると、「この人は最後の1秒まで諦めるな!というメッセージを送っているんだな」と感じます。また、なでしこジャパン、カターレ富山、富山第一高校の試合に関しては、「彼らは最後の最後には必ず何かやってくれる!」という期待を持って試合を観ています!だから日常生活で苦しい時、挫けそうな時は、奇跡の試合やチームの事を思い出して下さい。きっと「まだやれる!」「諦めるな!」という気持ちが湧き上がりますし、そういう気持ちを思い起こさせてくれる事に、スポーツやサッカーの存在意義があると感じています。
私はまだ富山第一高校が優勝した試合の録画を消していません…10年以上経っても、一年に1回観たくなる時があるからです。私にとっての奇跡の価値は…
「人事を尽くして天命を待つ」
それを思い出させてくれる。だからスポーツ、特にサッカーは面白い…そう思いながら、戦術眼を上げる勉強をする時も、苦しい時や挫けそうな時に「苦しい時には私の背中を見なさい!」という澤の言葉が刺さるのです。そして戦術をたくさん勉強したからこそ「頭でっかちになってはいけない」と澤の言葉を戒めの言葉として胸に留めています。
皆様にとっての「奇跡の試合、奇跡のチーム」
はありますか?それは
「心の支え」という財産
ですので、大切に胸にしまっておいて欲しい…と願うばかりです。
※①この記事で挙げさせていただいた方々の事を敬称略してしまい、大変失礼な事をしている事を謝罪致します。「さん」「様」「選手」「元選手」「監督」などなど、どの敬称でお呼びすれば良いのかわからず、失礼をはたらいてしまい、大変申し訳なく思っております。
※②人名、クラブ名、年度などに間違いなどがありましたら、大変申し訳ありません。間違いがないよう、怪しい所はネットで調べながら書きましたが、それでも間違いがありましたら、ただただ平謝りするしかありません。
