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劇団四季『ウィキッド』感想&考察

傑作ミュージカルの一つ、『ウィキッド』は是非とも見なくてはと思っていました。子どもの頃『オズの魔法使い』の演劇を見て、オズが怖くて泣きながら途中退室した思い出…。それから中学校に入ったとき、先輩たちが演奏していた『ウィキッド』の音楽がかっこよくて吹奏楽部に入部した思い出。そして、大人になってから仕事で『オズの魔法使い』を扱う機会があったり。
何かとご縁があるのに、きちんと舞台を見たことがなかったのですが、なんと父親が大阪公演のチケットをゲットしてくれたので、二人で見にいきました!


あらすじ

人も動物も同じ言葉を話し、ともに暮らす自由の国・オズ。
しかし動物たちは少しずつ言葉を話せなくなっていた。
緑色の肌と魔法の力を持つエルファバはシズ大学に入学し、
美しく人気者のグリンダとルームメイトに。
見た目も性格もまるで違う二人は激しく反発するが、
お互いの心に触れるうち、次第にかけがえのない存在になっていく。
ある日、オズの支配者である魔法使いから招待状が届いたエルファバは、
グリンダとともに大都会エメラルドシティーへ。
そこで重大な秘密を知ったエルファバは、一人で戦うことを決意。
一方のグリンダは、オズの国を救うシンボルに祭り上げられる。
心の内では相手を想い合うエルファバとグリンダ。
しかし、運命は二人を対立の道へと駆り立てていく――。

制作・監督など

・2003年初演のブロードウェイミュージカル
・原作:グレゴリー・マグワイア
・脚本:ウィニー・ホルツマン
・作詞/作曲:スティーヴン・シュワルツ

感想

エルフィーの歌声、演技、圧巻でした!
ストーリーは未習で行ったので、最後エルフィーが生き延びて良かったと大泣きして拍手してしまいました(笑)。
「オズの魔法使い」の通り、最後は死んじゃうのかと思ってたから、可哀想で胸が痛すぎたけど、いい意味で裏切ってくれて嬉しかったです。

エルフィーは生い立ちからセンセーショナルで、強烈な悲しみを纏っているのだけど、信念のある強い女性。人並みに美しくなり、人々に愛されたいという願いは、遂に叶うことのない運命だったけれど、自らの才能を磨き、自分自身の力で愛する人を守ることもできたのですね。

グリンダは、美しく誰からも愛される人気者である一方で、自分の内側と向き合ったり、才能を伸ばしたりする機会を失ってきたともいえます。決定的なのは、愛した男性フィエロには選ばれなかったこと、親友と決別する道を選んだこと。一見全てが順風満帆に見える彼女の人生ですが、大きな悲しみを経験することとなります。

対照的な二人だからこそ、互いの才能・魅力を羨んで、時には妬んで、愛おしく思ってきたんですよね。ようやく素直になれたときに、「グリンダにはこれからも愛される人でいてほしい」と願うエルフィーの言葉がめちゃくちゃ胸に刺さりました。

主役二人だけでなく、登場人物それぞれが、それぞれの悲しみや虚しさ、信念を抱えて生きていて、かなり大人向けの物語だったなと思いました。フィエロや、オズや、ディラモンド教授や、ボック、猿のチステリーに至るまで、短時間でこんなにいろんな人物の内面を掘り下げることができるんだなと感心しました。

偽の魔法使いオズも、実はエルフィー母の浮気相手で、エルフィーの実父というとんでもない過去まで明かされたけども、誰かに必要とされたい気持ちを拗らせてしまっている悲しい人間なわけで、根っからの悪人ではないですよね。

エルフィーの妹ネッサローズは、正直いちばん気の毒な役回りだったかも‥。自分を心から好いてはいないボックに縋ってしまい、自分の人生を生きられないでいました。それを足が不自由なせいにしていたので、ようやく自分の足で立つことができたときも、心は彼に依存したまま、さらなる悲劇を生んでしまいました。

これを見ると、大事なのは目に見える行動や結果などではなく、心のあり方なのだと気付かされます。それにしてもドロシーの家の下敷きになって亡くなったのは、この子だったんですね。こんな仕打ちはやめてあげて😭

最後にはグリンダが、表向きの歴史を造る者として、"善い魔女"としての自らの運命を引き受けて、「オズの魔法使い」の物語は生まれました。"ウィキッド(悪い魔女)"はドロシーに水をかけられて溶けてしまったのだと、誰にも愛されることなく死んだ哀しい魔女であると、人々には語り継がれることになります。

エルファバは、人知れず生き延び、自らの魔法でカカシとなった愛するフィエロと共に、ひっそりと生きていくのです。

グリンダとエルファバ、どちらの人生も本人達の希望が叶ったとはいえないですが、それぞれが背負った運命のもと、たどり着いたものだなと納得感がありました。

グリンダには、本当のことを知っていてほしいと願っているエルファバ。
いつかお互いが再会する日が来るのでしょうか?
途中までは、悪役としての運命を背負ったエルファバがひたすらに可哀想に思えましたが、得難い親友グリンダと愛するフィエロがいる彼女の人生は幸せだともいえるかもしれないですよね。

人がなんと評価しようとも、彼女は、彼女にとっての真実を知っていれば、それでいいのだと思いました。すると、偽魔法使いオズの言っていた、「現実なんてすべてがまやかし」という言葉もわりと的を得ている気がします。幸せは、目に見える結果ではなく、いつも自分の心が決めるのです。この後も、それぞれが、それぞれの幸せと悲しみの両方を抱えながら生きていくのだと思いました。

ミュージカル『ウィキッド』を楽しむ方法

劇団四季の公演は本当に特別な体験で、『ウィキッド』の世界を全身で体感することができるので、都合が合えばぜひ行ってみてくださいね…!

とはいえ人気のミュージカルなので、思うように予約が取れなかったり、価格の面で手が出しづらかったりということもあるかと思います。
そんなときわたしのおすすめは、小説版を読むことです!
もちろんミュージカルを楽しんだあとに、文字でもあらためて物語を味わうのもいいですよね…。

それから、なんといっても音楽が素晴らしいのでサウンドトラックも必聴ですよね。公演が終わった後は『Defying the Gravity(自由を求めて)』を何回も聞いて口パクして、エルファヴァになりきってました。
なぜ口パクかというとあんな高音とパワーは出せないので…。
劇団四季の俳優陣は本当に圧巻の歌声で、日本語の訳も自然なので、普段原曲派のわたしでも、日本語版(劇団四季版)は大好きです。

公演を見た方も、そうでない方も、ぜひいろんな方法で『ウィキッド』を楽しみましょう!
最後まで読んでくださりありがとうございます。
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