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「税理士さんが大丈夫って言ったのに…」物流経営者が信じてはいけない試算表の言葉

「税理士さんに試算表を見てもらったら、大丈夫って言われました」

財務相談に来る経営者から、この言葉をよく聞きます。そして多くの場合、実際の財務状況を確認すると「大丈夫ではない」ことが見えてきます。

これは税理士が悪いのではありません。「大丈夫」という言葉の意味が、経営者が思っているものと違うのです。

税理士の「本来の仕事」を知っていますか

税理士の独占業務は3つだけ

税理士には法律で定められた独占業務があります。「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つです。

つまり、税務申告を正確に行うことが税理士の本業です。月次試算表を確認して「大丈夫」と言うとき、それは「税務申告上、今のところ問題ない」という意味であることがほとんどです。

経営財務アドバイスは「別の仕事」

資金繰りが数ヶ月後にどうなるか、銀行との借入余力はあるか、どの取引先が赤字を生んでいるか——これらは「経営財務」の領域であり、税務とは別の専門性が必要です。

税理士の中にも経営財務に強い方はいますが、それは個々の税理士の付加価値であり、税理士資格が保証するものではありません。「税理士に丸投げすれば財務も大丈夫」という前提が、そもそも危険なのです。

信じてはいけない試算表の「4つの言葉」

①「大丈夫」——何が大丈夫なのか

「大丈夫」は最もあいまいな言葉です。申告上の問題なのか、資金繰りの安全性なのか、銀行評価なのかで意味がまったく変わります。

この言葉を聞いたとき、必ず「何が大丈夫なのか」を具体的に確認してください。

②「黒字」——黒字でも会社は潰れる

運送業では「黒字倒産」のリスクが特に高い業種です。売上が増えると、先行して燃料費・ドライバー賃金・車両費を支払う必要があります。しかし荷主からの入金は翌月末払いや翌々月払いが多い。

損益計算書が黒字でも、手元の現金が底をつく——これが黒字倒産の構造です。試算表の「黒字」だけを見ていると、この罠に気づけません。

実際、私が相談を受けた運送会社の社長が「売上も増えて調子いい、税理士にも黒字と言われている」と言いながら、翌月の支払いが危うい状態だったことがあります。試算表の黒字と手元現金は、まったく別の話なのです。

③「問題ない」——誰にとって問題がないのか

「問題ない」という言葉も要注意です。税務申告上は問題なくても、借入金月商倍率が4ヶ月以上に膨らんでいれば、銀行から見ると「追加融資が難しい会社」です。

運送会社の売上総利益率(粗利率)の規範値は**約20%**とされています。この数字を下回っている会社は多く、「問題ない」という言葉の陰で原価構造が悪化していることがあります。

④「今は関係ない」——今に関係しない財務情報はない

「減価償却の話は今はいい」「借入金の詳細は次でいい」——こうして先送りにした財務情報が、数ヶ月後に突然問題として浮上することがあります。財務に「今は関係ない」情報はありません。

経営者が自分で確認すべき「3つのポイント」

①キャッシュフロー——手元の現金は来月も続くか

月次試算表と合わせて資金繰り表を作成し、3ヶ月先までの現金の流れを把握することが最低限必要です。

「試算表は見ているが資金繰り表はない」という会社は、黒字倒産リスクに気づけない状態です。資金繰り表は、税理士に依頼してもよいですし、エクセルで簡易的に作ることも可能です。「今月末に何円あって、来月何が入って何が出るか」を数字で書き出すだけで、見えてくるものが大きく変わります。

②売上総利益率——粗利が適正かを確認する

売上から運送原価を引いた粗利率が、業界の規範値である**20%**を維持できているかを毎月確認します。この数字が下がり続けているなら、コスト構造の改善が急務です。

③借入金月商倍率——返せる借入かどうか

総借入金を月商で割った「借入金月商倍率」が2ヶ月以内なら健全、4ヶ月以上なら銀行評価が下がります。この数字を自分で計算できていない経営者は、銀行との交渉で必ず不利になります。

まとめ

税理士は税務のプロです。しかし経営財務のアドバイザーとは、本来別の役割です。

  • 「大丈夫」「黒字」「問題ない」は税務申告上の言葉——経営財務の安全を意味しない

  • 黒字倒産は運送業で特に起きやすい——試算表の黒字だけを見ていては危ない

  • 経営者自身がキャッシュフロー・粗利率・借入金月商倍率の3つを毎月確認する習慣を持つ

財務は「他人任せ」にできません。まず月次の資金繰り表を手元に持つことから始めてください。

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