【街で見かけたシリーズ 35話】
炭火の音に、足が止まった日。しんぱち食堂の話
この前、街を歩いていたら
ふと鼻をくすぐる匂いがした。
魚が焼ける匂い。
それも、ただの焼き魚じゃない。
炭火の、あの香ばしいやつ。
思わず顔を上げると、
そこにあったのが「しんぱち食堂」だった。
ガラス越しに見えるのは、
炭火で魚を焼いているライブ感たっぷりの光景。
ジュウ…という音と、立ち上る煙。
まだ食べてもいないのに、
もう「勝ち」を確信してしまうやつ。
最近、魚がブームらしい。
とはいえ、
家で焼くのはちょっと面倒だし、
匂いも残るし、
つい肉に逃げがちになる。
でも、
こうして目の前で丁寧に焼かれている魚を見ると、
「やっぱり、こういうの食べたかったんだよな」
って、素直に思った。
店内は、思った以上ににぎわっていた。
サラリーマンも、
一人で来ている女性も、
年配の人も、
みんな黙々と魚を食べている。
静かなんだけど、
満足感だけはしっかり漂っている空間。
派手さはない。
でも、ちゃんと日常に必要な食事って感じがした。
あとで知ったんだけど、
しんぱち食堂のコンセプトは
「日本の食文化を取り戻し、進化させたい」らしい。
なるほどな、と思った。
流行りの映えでも、
がっつり系でもなくて、
「ちゃんとした定食」。
それを、
気軽に、毎日でも食べられる形にしている。
炭火で焼いた魚。
ごはん。
味噌汁。
たったそれだけなのに、
食べ終わったあと、
なぜか背筋が少し伸びていた。
「ああ、ちゃんとしたものを食べたな」
そんな感覚。
街を歩いていて、
足が止まる店には理由がある。
しんぱち食堂は、
派手に主張はしないけど、
炭火の音と匂いで、
ちゃんと語りかけてくる店だった。
「たまには、こういう食事しようよ」って。
重く考えなくていい。
投資の話もしなくていい。
ただ、
日本の街に、こういう定食屋が増えている
それ自体が、ちょっと面白いなと思った。
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