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みんなの意見を尊重したら、業務がカオスになった!

人の話を尊重しましょう。
人権の文脈でこれに否定をする人は(建前っぽい人はそこそこいますが)まずいないでしょう。

しかし、オペレーションの領域で、人の話を尊重しだすと業務が複雑化します。組織にとって、もっといえば個人ごとに「こうしたい」と思うものが違うからです。

例えば、東京駅から新宿駅まで電車で荷物を運ぶオペレーションがあって、スタートとゴールは確定しているとします。

ここで、「どうせ途中を通るなら、ほかの荷物も一緒に運べたら効率的じゃない?」という案が出ました。
とても良いアイデアです。

そこでAさんが切り出します。「私が抱えている池袋の荷物を一緒に持っていってもらえると助かります!」

そしてBさんも言いました。「品川駅には、この会社で一番のお客さんのための荷物があるので、それを拾って新宿まで行ってほしいです!」

要件が真逆になりました。どちらかがあきらめてもらう必要があります。しかし、どちらも引き下がりません。どちらも「こちらの荷物の方が重要だ!!」というのです

Aさんの荷物は「完成品を池袋に届ける」もの。
一方でBさんの荷物は「製品の材料を品川で受け取る」もの。

目的も優先度の考え方もまったく違うため、どちらが会社として有益か判断がつきません。そして困ったことに、どちらの要望(=今回の主題でいう“意見”)も、たしかに尊重すべき内容なのです。

そこでCさんが言いました。

「だったら、まず池袋まで行って、そのあと湘南新宿ラインで品川に向かい、最後に新宿へ戻ればいいんじゃないですか? 湘南新宿ラインなら主要駅しか止まらないし、そこまで時間はかからないでしょう!」

おお、ナイスアイデア!!やんややんや。

そしてその運用が始まって半年・・・
Dさんが言います。
「品川まで行ったなら、青物横丁にある支店の請求書・領収書ももらってきてよ!近いし、問題ないでしょ」

え・・・それはバックオフィスと仕事でしょ。うちがやるの?

するとDさんは、やや怒ったように続けます。「総務は2人しかいないんだよ。しかも経理の締め切りが早すぎて、青物横丁まで毎回ギリギリで取りに行ってるんだよ。事情を察してよ!」

そうなんだ……。さすがにその事情(=意見)は尊重したほうがよさそうだ。ということで、品川に行ったついでに、京浜急行で青物横丁にも寄ることになりました。

そして、さらに1年後――。

Eさんが、申し訳なさそうな顔で言います。
「噂で聞いたんだけどさ、“電車回遊オペレーション”って、いま青物横丁まで行ってるんでしょ? だったら……ちょっと羽田にも寄ってくれない?
実は、うちの部署、海外出張の荷物の受け渡しで毎回トラブっててさ……羽田で受け取れたらすごく助かるんだよ」

もう説明は不要でしょう。
それぞれの事情を尊重し続けると、業務は複雑化するどころか、非効率の極みになります。

そして冗談でもありません。どこの会社でも必ずこういう事情が発生しています。それはなるべく意見(要望)を尊重しよう、というイマドキの空気感がそこに横たわっているからです

その空気の中で、「池袋から品川に行くなんてムダでしょ!」と合理的に切り捨てようとすると、下手をすれば “ハラスメント扱い” にされかねない

ではどうするか。

その業務が “直感的に理解できる状態かどうか” を、定期的に確認することです。

当初の業務は、非常にシンプルでした。
「東京から新宿に荷物を運ぶ」――誰が見ても、一言で内容が理解できます。

しかし、意見を尊重し続けて複雑化した結果、業務名は「電車回遊オペレーション」と呼ばれるようになりました。
もはや、手段がそのまま業務名になってしまい、「結局この仕事は何をしているのか?」が直感的に理解できなくなっているのです

そして、要件と意見を継ぎ足し継ぎ足しで作られた“オバケ業務”は、やがてアンタッチャブルになります。
誰も中身を説明できず、誰も反対できず、誰も止められない

だからこそ、そうなる前に “この業務は直感的に理解できるか?” の定期点検 が必要なのです。

え、もうすでにアンタッチャブル化していてどうにもならない?
――ご愁傷さまです。処方箋はありません。外科手術あるのみです。


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※ 本note記事はすばる舎さまとは関係ありません。

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