縫いぐるみとペットは何が違うのか
昔流行ったこの本。
この本を読んだのはかなり前だが、
生物という概念についてとても科学的に書かれた
面白い本だという印象が残っている。
私はどちらかというと理系寄りなタイプなので
こういう議論はとても好み。
その反面、理論よりも感情論的な内容は
正直苦手意識がある。
そんな私が先日、とある疑問に遭遇した。
それは「縫いぐるみとペットは何が違うのか」
という疑問である。
この疑問に至ったのにはとある背景がある。
うちの妻と娘は少し前からペットを飼いたいと
いうようになった。
イヌやネコ、ウサギなどその都度提案してくる
生き物は違うのだが、
いずれにしても全身に毛が生えているフワフワした
哺乳類を飼いたいという共通点があるらしい。
私は趣味で昆虫は育てているものの、
動物を飼うのはとても嫌である。
明らかに生活に制約がかかるし、
今以上に日常の手間が増えるのは正直辛い。
なので、妻と娘のこの提案に対して
ずっとNoをつきつけてきた。
そんなある日の休日。
ここ最近話が出てこないと気を抜いていた時に
おもむろに妻と娘がこの交渉を
持ち出してきた。
突然の話に驚く私。
いかに動物がいる生活が良くて
子供たちの成長にもプラスになるかを
力説する妻。
娘も動物をなでてやりたいと言う。
そこで、私は半ば冗談めかして
「なら、縫いぐるみを触ったらいいやん」と
娘に言うと、
「動物と縫いぐるみは違うもん」という。
こちらも本気で言っているわけではないと
娘も理解しているので、
お互い笑いながらこのやり取りは終わったのだが、
私の中には冒頭にあげた疑問だけが残り続けた。
言うまでもなく縫いぐるみには命がないので、
自分の意思で動くこともなければ
エサを食べたりフンをしたりすることはない。
理論的にこれらが違う部分などは
言わなくても山ほど出てくる。
だが、それらのどれもペットを飼いたくて
縫いぐるみでは嫌な理由としては
成り立たないような気がするのだ。
例えば、エサを食べないという点で
考えてみると、
ペットにエサをやるのは動物を飼う上での
楽しみ要素なのだろうか。
長らく飼育しているので感覚がマヒしている
節は否めないものの、
私は決して昆虫にエサをやるプロセスは
好きではない。
クワガタなどは1週間に1回ぐらいしか
エサの交換をしないので、
それでも面倒だと感じるのに
1日2回もやる動物となるとその面倒さは
計り知れないだろう。
ただ、これはあくまで私の感覚なので、
ペットにエサをやる事に楽しみを覚える人は
いるのかもしれないが、
妻や娘から説得される言葉の中には
どうもこのエサをやるプロセスは入ってこない。
では、他に考えられる要素は何か。
一つは動くということである。
動物は自分の意思で動くので
私たちに人間にとってはランダムで読めない
動きをする。
それを見るのが楽しみならば
縫いぐるみではなくペットを飼う理由として
成り立つ気がするのだが、
これも別に自分で飼う必要などないと
思うのだ。
イマドキ動画で色んな動物の動く姿は
見ることができる。
動画ならば好きな時間に好きなだけ
見ることができるのに、
自分で飼ってリアルタイムに見たいという
理由にはならない気がする。
では、一体縫いぐるみとペットの違いの中で
ペットを飼わなければ得られない最大要素は
何なのだろうか。
結局その答えがでないまま、
我が家はウサギを飼い始める事になった。
要は私が押し切られたわけであるが、
飼い始めてからの妻や娘の様子を見ていて
あることに気が付いた。
時折、彼女らはウサギと気持ちが
通っているかのように話しかけたりするのだ。
もしかすると、この感覚こそ
ペットを飼わないと得られない
感覚なのかもしれない。
もちろん縫いぐるみでもやろうと思えばできる。
だが、無生物に対してするのと
生物に対してする場合の心理的なハードルの違いは
私でも十分理解できる。
相手が生物であるほうが明らかに
感情移入はしやすくなるし、
お互いに感情を理解しているかのような
気分に入りやすいのは間違いない。
残念ながら私はまだその境地には至れておらず、
ただただ世話をするだけだが、
私の姿を見るとケージの中から
「エサちょうだい」とアピールするウサギを見ると、
「しゃあないな」と言いながらエサを入れたりする。
この感覚は縫いぐるみでは得られない。
まだ飼い始めて1~2か月。
妻たちに押し切られたことを後悔する日が
いつか来るのかもしれないが、
我が家に来たからにはしっかりと世話をして
妻たちに長くこの感覚を味わってほしいと思う。
実際うさぎを飼い始めてわかったが、
うさぎは鳴かないし、匂いもないので
イヌやネコに比べるとかなり心理的な
ハードルが低い。
私にはエサをねだるしかしないが、
妻たちには「撫でてほしい」と
アピールもするらしく、
彼女ら曰く、それがかわいいらしい。
とは言え、手間はかかるので
決してオススメはしないが、
家族がイヌネコを飼いたいと言い出した時の
最終的な妥協案の一つとしてはアリな
気がしている。
