あなたの経験は、この先も価値になりますか_過去の実績を、未来の側から見るという考え方
Project「経験を、次の価値へ。」
セカンドキャリアを考え始めたとき、多くの人が最初に向き合うのは、
「これまでの経験を、この先どう活かせるのだろう。」
という問いではないでしょうか。
このシリーズでは、「経験を積むこと」と「経験が価値になること」の違いを考えながら、経験を次の価値へつなげるための視点をお届けします。
あなたの経験は、この先も価値になりますか。
セカンドキャリアを考え始めたとき、私が最初に考えたのも、この問いでした。
長く働いてきた。
経験も積んできた。
今の仕事には自信がある。
それでも、ふと考えます。
「この経験は、この先も通用するのだろうか。」
私は50歳頃、転職支援会社に登録しました。
転職するためではありません。
今の経験が、この先も社外で通用するのか。
それを知りたかったのです。
実際に転職するつもりはありませんでした。
ただ、自分の経験が会社という枠を離れたとき、どんな価値として見てもらえるのか。
それを一度、確かめてみたいと思いました。
期待と同時に、不安もありました。
長く一つの会社で働いてきた経験は、本当に市場で評価されるのだろうか。
今振り返ると、この問いが、その後の私のセカンドキャリアの出発点だったように思います。
過去を扱う仕事
私は長く、経理・財務の仕事に携わってきました。
決算を締める。
数字を分析する。
改善策を考える。
経営層へ報告する。
どれも責任があり、やりがいのある仕事でした。
ただ、振り返ってみると、私が向き合っていたのは、すでに起きた事実でした。
経理とは、過去を正確に記録し、その意味を読み解く仕事です。
私は長い間、その見方で数字と向き合ってきました。
見方が変わった日
その見方が変わったのは、MBAでファイナンスを学んだときでした。
そこで学んだのは、企業価値は、将来生み出すキャッシュフローをもとに評価するという考え方でした。
投資とは、過去だけを見て判断するものではありません。
未来の可能性を考えながら、
GOなのか。
WAITなのか。
あるいは見送るのか。
複数の選択肢を比較し、意思決定します。
その考え方に触れたとき、私は初めて気づきました。
会計は過去を見る。
ファイナンスは未来を見る。
数字は変わっていません。
変わったのは、私自身の見方でした。
そして、ふと思いました。
この考え方は、企業だけの話ではないのではないか。
経験も、同じではないか。
ある日、そんな考えが浮かびました。
同じことが、自分にも言えるのではないか。
経験を過去の実績として見れば、それは変わらない事実です。
けれど、未来の側から見れば、違う景色が見えてきます。
「この経験は、この先どんな役に立つのだろう。」
「そこには、どんな可能性が眠っているのだろう。」
そんな問いが生まれるようになりました。
あの講義を受けた翌日に、人生が変わったわけではありません。
でも、その考え方は少しずつ私の判断基準になっていきました。
50代になって実務家教員育成プログラムを受講したこと。
キャリアコンサルタントを目指したこと。
そしてAIを学び始めたこと。
一つひとつは別々の挑戦に見えます。
けれど今振り返ると、どれも同じ方向を向いていました。
未来の選択肢を増やすための投資。
今思えば、私は無意識のうちに、未来から現在を考えるという基準で学びや経験を選んでいたのだと思います。
経験の価値は、まだ決まっていない
過去の事実は変えられません。
でも、その経験が未来にどう生かされるかは、まだ決まっていません。
だから私は、
経験の価値は、過去ではなく、未来との関係で決まる。
そう考えています。
もし今、
「この経験で、この先も通用するのだろうか。」
そう感じているなら、一度だけ未来の側から自分の経験を眺めてみてください。
そして、
「これからどんな経験を積めばいいか」
ではなく、
「今ある経験を、未来にどうつなげられるか。」
そんな問いを、自分に投げかけてみてください。
見え方が、少し変わるかもしれません。
おわりに
セカンドキャリアとは、過去を捨てることではありません。
経験を未来から見直すこと。
私は、そう考えています。
この記事を読み終えた今、あなたは自分の経験をどう見ていますか。
少しでも、
「自分の経験も、まだ終わっていないのかもしれない。」
そう感じていただけたなら、とてもうれしく思います。
経験を、次の価値へ。
