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「ミッキーズカフェ」 春日坂のケーキ屋はんで東京ネイティブする——本郷を京都の歩幅で

前回は東大キャンパス内にある欧風カレー屋さんでお昼を紹介させてもらいました。
カレーの後にはやっぱり甘いもんが恋しゅうなりますわ。ほなら、次はケーキ屋はんのご紹介しまひょか。春日駅の近くで地元の方にずっと愛され続けとる小さなケーキ店 『ミッキーズカフェ』(Micky's Cafe)さん。

春日の住宅街にある細い路地裏にひっそり佇む、文京区らしいプライベート感と東京ローカルな空気感が漂っているお店です。保存料も添加物も一切使わんと作った安心安全のスイーツを出してはります。

創業1988年、地元に根付くケーキ屋はん

『ミッキーズカフェ』は、もともと文京区シビックセンターのあたりに店を構えてはりましたんやけど、シビックセンター建設に伴う立ち退きで、近くの春日坂の途中にお引っ越ししやはった経緯がおす。お店の前にはちいちゃな公園もありましてな、そのベンチに腰掛けてひと休みするんも気持ちよろしおす。創業は1988年どすさかい、今から数えてもう38年ほど経つ老舗ですわ(元の小石川で28年営業しはって、今の場所に移ってからは9年になります)。

春日から本郷にかけて坂が多うて、細い路地もようさん入り組んどりますさかい、土地勘のあらへん方はちょっと迷わはるかもしれまへんな。しかしミッキーズカフェへ行きはるんやったら、都営三田線春日駅のA2出口から出てすぐ右後ろにヘアピンカーブの坂道をぐぐっと登っていきなはれ。ほしたら、その先の右手にお店が見えてきますえ。

店名がミッキーズカフェいうだけあって、店内にはミッキーの置物も飾られてますえ。せやけど、その店名の由来は店長さん姉妹のお名前(ファーストネーム)から来てるんやそうどす。
それから、お店に飾ってあるテニスプレーヤーのロジャー・フェデラーや猫の絵は、店長姉妹のお姉さんが描かはった作品なんやそうどす。

素材のお味

ミッキーズカフェのケーキは、どれも家庭的で優しい味わいやのに、品質はピカイチなんどす。素材の良さがしっかり光っとって、昨今よう見る「見た目だけ立派で肝心の味が大したことあらへん、小さなケーキ」とはひと味もふた味も違いますえ。

ケーキやから言うて、これでもかと値段をつり上げる昨今の東京のケーキ屋とは違ごうて、ここのケーキはどれも400円台とお財布に優しい良心価格どす。それでいて何ひとつ手ぇ抜いてへんさかい、ひと口食べればパティシエさんの愛情がふんわり伝わってきますなぁ。

実は、ぼくの父は元々ケーキ屋をやってはってんけど、ぼく自身は父のケーキを一度も食べたことがあらへんくらいケーキに無関心な人間やった。いちごなんかも別に好きっちゅーわけやないからな。
せやのになぜか、このミッキーズカフェのケーキだけは、時間が空いたらついついふらっと足を運びとうなってしまうんどすわ。京都でこんなお気に入りのケーキ屋さんはまだ見つけたことあらへんから、今のところぼくにとって日本一好きなケーキ屋さんどす。

優しい甘さ

世間には砂糖どっさりの甘~いお菓子が溢れてますけど、ここミッキーズカフェでは素材本来の美味しさがちゃんと感じられる優しい甘みのスイーツが楽しめますのや。甘いもんを食べとるいうのに不思議と罪悪感をこれっぽっちも感じへん…そない驚きがあります。

ケーキそのものはひとつひとつボリュームがあって、見た目の可愛らしさ以上に奥深い味わいがおます。添えられとるジャムやホイップクリームもどうやら自家製らしいし、日によって変わるジャムの種類や風味も楽しみのひとつやわ。ホイップクリームは砂糖の甘さで誤魔化すようなことはせんと、ミルク本来のコクと風味がよう出てますんや。薄味の中にある上品さがわかる京都人の舌をようわかってはりますなぁ。

アメリカンパイが名物

ミッキーズカフェでは、店長さんがアメリカンパイをメインにいろんなケーキを焼いておいでやす。

  • チーズケーキ、チェリーパイ、レモンパイ、パンプキンパイ(店長さんの気分次第で新作ケーキが登場することもおまっせ。自家製のジャムやホイップクリームが美味しい)

どれもこれもほんまによろしおすえ。アメリカンパイが名物なだけあって常連さんにも評判がええようどすなぁ。なお、ペット連れもOKどすさかい、可愛いワンちゃんと一緒にお店に来てはるお客さんもよう見かけまっせ。

ちなみにこちら、ケーキ屋はんやけどお昼のランチメニューもありまっせ。まぁ、ぼくはあんまり甘党やおまへんさかい、ケーキしか注文したことあらへんのやけど…。店内ではBGMの代わりにラジオが静かに流れていて、このゆったりした雰囲気がまた心地よろしおすなぁ。

常連さんに愛されるアットホームな空間

ぼくはいつもこちらではケーキを注文して店内でいただきます。ケーキ一つだけでもゆっくり腰を落ち着けて過ごせる雰囲気なんどす。店員さんはぼくにもよう話しかけてくれはりますし、見とりますと、お店の方と常連の地元のお客はんが楽しそうにおしゃべりしてはるんですわ。そんな微笑ましい光景を目にして、ますますこの店のファンになりました。郵便屋さんも配達の合間にひょっこり立ち寄らはるし、この辺に荷物を配ってはる宅配便の方までここで一息ついていかはるんやさかい、なんとも印象的どしたなぁ。ほんま、心の通ったアットホームなお店どす。

お客さんは常連さんがようけいてはって、地元のニュースや共通の知り合いの話なんかがあちこちで聞こえてきますわ。東京ちゅうたら「人間関係が希薄で地域コミュニティなんて無いんやろ」なんて思われがちやけど、古くからの街である文京区・本郷あたりでは、こうしてええ意味での地元の繋がりが今も固う残っとるんやと、この店に来るとよう分かりますえ。

限られた席数が生む特別感

店内にはカウンター3席と2人掛けテーブルが2つあるだけで、全部で9席ほどしかおまへん。せやさかい、店内で食べていけるかどうかは「運次第や」と書いてはるレビューもありましたわ。この極端なまでの小ぢんまりした空間が、かえって店内に居られることの特別感を高めて、お客さんと店主さん、さらにはお客さん同士の間にも自然な親密さを生み出してるんどす。日当たりも良うて、明るくて居心地のええ空間やと評判どすえ。

店内で感じる地域のぬくもり

そない長い年月をかけて地域にしっかり根を張り、常連さんとの絆に育まれてきたお店やさかい、ミッキーズカフェの経営は上から押し付けるような事業計画やのうて、お客さんとの共生関係で成り立ってるんやとよう分かりますのや。移転した後も昔からの常連さんが後を追うように訪れはって、その声がお店のメニューを形作ってきはったんどす。
ミッキーズカフェの商売は、単なるお金のやり取りやおまへん。地域コミュニティいう目に見えへん財産の上に成り立っとるお店なんどすなぁ。

お店に居るだけで、その土地の雰囲気がよう伝わってくるんどす。
店員さんと地元のお客はんとの何気ないやりとりを聞いてるだけでも、心がほっこり温もりますえ。
カウンター席とテーブル席が少しあるんやけど、もしカウンターに座らはったら、昔小石川にお店があった頃の写真がぎょうさん載ったアルバムが置いてあるさかい、再開発の前にこのお店がどんな構えやったか確認できますのや。さらに、むかし本郷界隈を特集した年代物の雑誌なんかも置いてあって、当時の街の様子と今との違いにはびっくりどしたわ。特に、赤門前に「落第横丁」ちゅう飲食街があって雑誌で特集されるほど賑わっとったそうやけど、恥ずかしながらぼくはその存在すら知らんかったんどす。

Web記事にて

ちなみに、2024年3月30日公開の雑誌『POPEYE』Web版の記事でも、こちらのミッキーズカフェが取り上げられておりましたえ。その記事に載っとった姉妹の写真は、おそらく店内でお客さんと楽しそうにお話ししてはる様子をお店の外から撮らはったもんやろうとぼくは思いますのや。普段のミッキーズカフェの温かい雰囲気がよう出とって、実にええ写真や。

「もともとここはお父はんがトロフィーやメダルを扱う徽章屋を営んではった場所で、急にカフェを始めることになったさかい、趣味で焼いてたパイやケーキぐらいしか思いつかへんかった」「特に辞める理由もあらへんさかい続けている」ともおっしゃっています。商売っけのなさが特徴ですな。
なお、1996年発売の雑誌『Hanako』第396号でも「あんずタルト」が紹介されています。

京都人のぼくが惚れこんだ東京・春日の小さなケーキ屋はん、ミッキーズカフェ。皆さんも春日界隈にお立ち寄りの際は、ぜひ一度訪ねてみとーおくれやす。きっとはんなりしたひとときを過ごせることでしょう。おおきに。