【夫・失踪の話②】失踪の原因・動機別行方不明者数|女性の失踪理由についての調べ・まとめ
夫・失踪の話の2回目です。
今回は私の夫のことについてではなく、
女性失踪者についての調査とまとめをお届けしたいと思います。
用いる資料は「令和5年6月・令和4年における行方不明者の状況」で、
警察庁生活安全局人身安全・少年課から発表されたものです。
1.失踪で考えられる最も多い理由
1-1.警察庁統計で最も多かった「疾病関係」とは何か
警察庁が公表した「令和4年における行方不明者の状況」を見ると、
最も多かった原因・動機は「疾病関係」でした。

うち大多数を認知症が占める。
疾病関係の行方不明者は24,719人。
うち認知症が18,709人と大多数を占めています。
疾病関係での行方不明には、
認知症の症状によって自宅へ戻れなくなったケースや、
精神的不調が背景となったケースなど、
病気や健康状態が関係しているものが含まれます。
一方で、「疾病関係」に関わらず、
失踪原因の内訳や性別までの詳細は公表されていません。
この統計から分かるのは、
「行方不明者では、疾病関係が最も多い原因・動機だった」
という事実までです。
その背景については、
一人ひとり事情が異なることを忘れずに読み進めることが大切だと感じます。
1-2.認知症や精神的不調が行方不明につながるケース

警察庁が公表している「疾病関係」には、
病気や健康状態が関係するさまざまなケースが含まれています。
その中でも、社会的によく知られているのが、
認知症による行方不明です。
認知症になると、自宅へ帰る道が分からなくなったり、
外出をし「家に帰ろう」と、道に迷ってしまったりすることがあります。
本人には「行方をくらます」という意思はなくても、
結果として家族が行方不明届を提出するケースがあります。
また、精神的不調を抱えている方の中にも、
突然家を出てしまったり、
連絡が取れなくなったりするケースがあります。
ただしこれらも、
警察庁の統計では「精神的不調」による人数や性別、割合は
公表されていません。
「疾病関係」のカテゴリ内で、
どの程度を占めているのかは分かりません。
そのため、この統計から読み取れるのは、
「行方不明者では疾病関係が最も多かった」という事実までです。
一人ひとりがどのような経緯で行方不明になったのかは、
統計だけでは分からないことも忘れてはいけないと感じました。
1-3.女性の失踪と家庭問題の関係
資料には男女別の原因・動機の内訳は記載されていませんが、
全体の原因・動機別統計は示されています。

「疾病関係」の次に「家庭関係」が多い
行方不明者全体の原因・動機で「家庭関係」は12,899人(15.2%)と、
疾病関係の次に多い要因です。
一般的に女性の失踪理由として
家庭関係が大きな割合を占める傾向があると考えられます。
若年女性や主婦層での失踪理由の具体例
・家庭内トラブルやDVによる家出
・高齢女性の認知症による失踪
・若年女性の学業・異性問題、一時的な衝動による家出
しかし、女性の失踪が全て家庭の問題に起因するのではなく、
・疾病関係
・その他(事故や犯罪被害など)
・不詳
なども大きな割合を占めています。
より詳細な分析には男女別・年齢層別の詳細なデータが必要ですが、
現状の資料から、全体傾向として家庭関係が重要な要素であることは明らかでしょう。
2.「家庭関係」とは何を意味するのか

2-1.届出時の申告内容をもとにカテゴリー分けされる
警察庁の統計を見ていると、「家庭関係」というカテゴリーが出てきます。
この言葉だけを見ると、「家庭内でトラブルがあった人」と
捉えてしまいそうですが、
失踪者の約6人に1人が該当(※)し、実はそう単純ではありません。
「家庭関係」カテゴリーとは、
家庭内の人間関係や環境に起因する問題全般を指しています。
~ 一般的な考えられるケース ~
・家庭内トラブル(夫婦、親子、兄弟姉妹など)
・家庭内暴力(DV)
・家庭環境への不満やストレス、環境要因
・家族内の不和や葛藤
さらに、以下のような問題もあるようです。
・家庭内での孤立感
・家族からのプレッシャー
・将来に関する家族との意見の相違(進路や結婚など)
資料からは、家庭関係が失踪の大きな要因のひとつであることと、
その内容は多種多様であることが分かります。
【ここで知っておきたいこと】
この原因・動機は、
行方不明になった本人が警察に説明したものではないということです。
多くの場合、警察は、
家族などから提出された行方不明届や受理した時点で、
把握している情報をもとに原因・動機を分類しています。
そのため、「家庭関係」と分類されていても、
それが本人の本当の失踪理由とは限りません。
本人しか分からない事情があった可能性もあり、
この統計だけで背景を断定することはできないのです。
(※ 令和4年および令和5年のデータでは、行方不明の原因・動機のうち「家庭関係」が占める割合は約15.2%。分数に換算すると約6.5分の1にあたり、「約6人に1人」という表現は、統計データの実態をかなり正確に反映していると考えました。)
2-2.「家庭関係」は失踪理由で2番目に多かった
令和4年の警察庁統計で「家庭関係」は、
行方不明者における原因・動機の中で、
「疾病関係」に次いで2番目に多いカテゴリーでした。
この結果から分かるのは、
「家庭関係」は決して珍しい理由ではないということです。
家族との関係に悩んでいた人もいれば、
介護や同居生活の負担を抱えていた人もいるかもしれません。
しかし、警察庁の統計では、
男女別の割合・その背景までは公表されていません。
そのため、「家庭関係」が2番目に多かったという事実は分かっても、
「男性何割・女性何割」
「どのような家庭の事情が多かったのか」までは、
この統計では判断できません。
統計を読むときは、数字が示している事実を受け止めると同時に、
その数字だけでは見えてこない部分があることも
意識しておきたい事柄だと思います。
2-3.一言では語れない…家庭内で起きるさまざまな事情
「家庭関係」という言葉は、とても幅広い意味を持つカテゴリーです。
家族と一緒に暮らし、その家庭の形や抱えている事情は
一人ひとり異なります。
だからこそ、この資料を読むときは、
「家庭関係」という言葉だけで一つのイメージを持たないことが大切です。
机不明者の一人ひとりが置かれていた環境や状況は異なり、
その背景まで含めて読み取ることは、この統計だけではできません。
統計では、社会全体の傾向を把握できるよう、
一定の分類に整理されています。
そのため、「家庭関係」という失踪理由の一つのカテゴリーの中にも、
さまざまな背景が含まれていると考えられます。
そのことを理解したうえで統計を見ると、
「分かったこと」と「分からないこと」の境界が、
より見えてくるように思います。
2-4.数字だけでは見えない、一人ひとりの家庭の事情
警察庁の統計は、行方不明者全体の傾向を知るための大切な資料です。
しかし、統計から分かるのは、あくまでも、
「何人いたのか」「どのような原因・動機に分類されたのか」
ということまでです。
例えば、「家庭関係」と分類された一人を見ても、
その人がどのような暮らしを送り、
何に悩み、どのような経緯で行方不明になったのかまでは分かりません。
だからこそ、数字だけを見て
「きっとこういう理由だったのだろう」と決めることはできません。
一方で、このような統計があるからこそ、
私たちは「どのような原因・動機が多いのか」という
社会全体の傾向を知ることができます。
数字を正しく受け止めること。
そして、その数字の向こうには、
一人ひとり異なる家庭の事情や人生があることを忘れないこと。
その二つの視点を持つことが、
この統計を読み解くうえで大切なのではないかと感じました。
3.統計から女性が行方不明になる背景について考える

3-1.女性が行方不明になる理由は、一つではない
警察庁が公表した令和4年の統計を読み進めていくと、
人が行方不明になる理由は多種であることが分かります。
失踪した女性に限らず、
女性を取り巻く環境や問題には、複雑な面があります。
若年女性や主婦層での失踪理由の具体例
・家庭内トラブルやDVによる家出
・高齢女性の認知症による失踪
・若年女性の学業・異性問題、一時的な衝動による家出
このことからも、
「女性の行方不明は家庭の問題が原因」「女性はこういう理由で失踪する」
と、一つの理由だけで説明することができないことが分かります。
繰り返しになしますが、
統計では、その多様な背景の一つひとつを説明することはできません。
しかし、「女性の行方不明にはさまざまな背景がある」
という事実を、私たちは知ることができます。
今回の統計を通して私は、
「一つのイメージだけで行方不明者を見てはいけない」ということを、
改めて感じました。
3-2.女性を取り巻く環境は、一人ひとり異なる
女性が行方不明になる背景を考えるとき、大切なのは
「女性だから同じ理由で行方不明になる」と考えないことです。
女性を取り巻く環境は、一人ひとり大きく異なります。
学生、社会人、子育て中の母親、一人暮らしの高齢者など、
年代や生活環境が違えば、抱える悩みや課題も変わってきます。
内閣府の男女共同参画白書でも、女性を取り巻く課題として、
・仕事と家庭の両立
・生活上の困難
・配偶者等からの暴力
・高齢期の課題
など、さまざまな社会的背景が示されています。
だからこそ、警察庁の統計を見るときも、
「女性だからこういう理由で行方不明になった」と
一つのイメージで考えるのではなく、
その人ごとに異なる背景があることを忘れてはいけないと感じます。
3-3.女性の行方不明を、一つの理由だけで考えないために
警察庁の統計は、
行方不明者全体の原因・動機の傾向を知ることができる資料です。
一方で、女性一人ひとりが、
どのような思いで家を離れたのかまでは分かりません。
また、女性が置かれている状況も人それぞれ異なります。
家庭の中での役割、仕事や学業、健康状態、人間関係など、生活の中にはさまざまな要素があります。
たとえば私・初穂は、高校生のころ、
家が厳しくて家出をしたことが1度あります。
厳格な父に対しての反発です。
・成績上位から外れると和室で正座、理由を聞かれる
(当時はクラス便りに上位生徒の名前が出ていた時代)
・「彼氏」という存在自体にいつも怒る
・部活動以外の活動はNG(塾やお稽古はOK、バイトや学校帰りに友人と遊ぶはNG)
なので、思い切って市外にJRで出て行きました。
持ってるお金は、1万円もなかったと思います。
家に帰らないつもりではなく、
今思うと、もっと自由に外を見たかっただけ、でした。
翌日お昼頃帰ると、
「おかえり。警察に行方不明の届け出を昨日の夜遅くに出してたんだよ」
と母から言われました。
正直、超ビビりました!!
父は、
「おう、飯食ったか。まだならお母さんに言って食え」と。
「おう、警察に電話だ。娘帰って来たって」
ーーーーー ごめんなさい ーーーーー
だから私は、一人ひとり異なる背景があることを前提に、
この統計を受け止めたいと思いました。
統計は社会全体の傾向を知るための大切な資料です。
しかし、その数字だけでは語れない現実もあることを忘れずに読みたいと思います。
・注釈:
「女性を取り巻く状況は多様」は男女共同参画白書の趣旨と整合。
「統計は傾向を示す資料」は警察庁資料から導き出したものである。
男女共同参画局ホームページ
4.カテゴリーだけでは、行方不明の背景は分からない

4-1. 統計で「人数」は分かっても、「事情」までは分からない
統計は、社会全体の傾向を知るために作られた資料です。
そのため、「家庭関係」が何人、「疾病関係」が何人という人数は分かります。
しかし、その一人ひとりがどのような人生を歩み、
どのような思いで行方不明になったのかまでは知ることができません。
同じカテゴリー内に分類された人たちであっても、
置かれていた状況はまったく異なるかもしれません。
私は今回、警察庁の統計を読み進めながら、
「数字は事実を教えてくれる。でも、その人の人生までは語ってくれない」
ということを何度も感じました。
統計を読むときに大切なのは、数字を正しく受け止めること。
そして、数字だけでは分からない部分があることも忘れないことです。
その二つを意識することで、統計は単なる数字の集まりではなく、
社会の現状を知るための大切な資料として
見えてくるのではないでしょうか。
4-2.数字の向こうにある「それぞれの人生」
警察庁の統計では、
行方不明者は人数や原因・動機ごとに分類されています。
資料として見ると、一つひとつはただの数字です。
しかし、その数字には、一人ひとりの人生があります。
家族と暮らしていた人もいれば、一人暮らしだった人もいます。
仕事をしていた人もいれば、療養中だった人もいたかもしれません。
その人がどのような毎日を送り、
どのような出来事を経験してきたのかは、
統計から知ることはできません。
私は、この資料を読みながら、
「○人」という数字だけではなく、
その一人ひとりに人生があったことも忘れたくないな…と思いました。
その数字の向こうには、それぞれ異なる人生があり、
それぞれを大切に思う家族や友人がいる。
これこそ、
同じように大切な事実なのだと感じています。
4-3.統計を正しく読むことが、行方不明者への理解につながる
今回、警察庁の統計を読み進めていく中で、
私が何度も感じたことがあります。
それは繰り返しなのですが、
「統計は事実を伝えてくれる資料である」ということです。
行方不明者で最も多かった原因・動機は「疾病関係」でした。
また、「家庭関係」は2番目に多いことも分かりました。
こうしたカテゴリーと数字から、
行方不明者全体の傾向を知ることができます。
一方で、統計だけでは分からないこともあります。
例えば、「家庭関係」と分類された人が、
どのような暮らしを送り、どのような出来事を経験し、
どのような思いで家を離れたのか。
その背景までは、この資料から読み取ることはできません。
だからこそ統計を見るときは、
「数字が教えてくれること」と「数字だけでは分からないこと」の
両方を意識することが大切なのだと思います。
事実を正しく受け止めながら、
その数字の向こうには、一人ひとり異なる人生があることも忘れない。
そのような視点で統計を読むことが、
行方不明者や、その帰りを待ち続ける家族への理解につながるのではないでしょうか。
5.「数字」と「一人の人生」の両方を見つめる

今回、私が夫の事案以外で真剣に探ろうと思ったのは
「女性はどのような理由で行方不明になるのだろう」
ということでした。
実際に資料を読み進めてみると、
数字から見えてくる事実がたくさんありました。
一方で、「行方不明の女性が、どういった理由でいなくなったのか」は、
カテゴリと数字だけでは、わかりませんでした。
たとえば。。。
妻が「もう限界だ」と思って家を出たとします。
でも、夫の認識は「最近ケンカが多かった」であり、
そのように届出をするかもしれません。
実際、妻は、「精神的に追い詰められていた」のかもしれなくても、です。
本当の失踪理由は、本人にしかわからないことが、
この調査でよくわかりました。
だから私は、この統計を読みながら、
「数字」と「一人の人生」の両方を見ることも大切なのだと感じました。
その数字の一つひとつは、
誰かの人生であり、誰かの大切な家族でもあります。
これからも私は事実を大切にしながら、
この「夫・失踪の話」シリーズを書き続けていきたいと思います。
もし、この記事が、
行方不明という問題について考えるきっかけになったなら、
とても嬉しく思います。
この記事・調査を最後までお読みいただき、
誠にありがとうございました。
次回は、
「【夫・失踪の話③】年齢層別行方不明者数と所在確認等の状況についての調べ・まとめ+年次別行方不明者届受理状況」についてお届けしたいと思います。
▼【夫・失踪の話①】はコチラ▼
