今年の夏、どんな音楽を聴こう?小さな夏のための60曲。
朝、洗濯、支度中、夕方の遠回り、コンビニまでの夜、外が暑すぎる日。小さな夏のための60曲。
夏のプレイリストというと、海、フェス、ドライブ、ビール。そういう景色がすぐ浮かぶ。もちろんそれもいい。でも、夏ってもっと細かい時間でできている気がする。
朝、冷房をつける前の10分。洗濯機が回っているあいだ。シャワーのあと、服を選ぶ時間。仕事の帰りに駅まで遠回りする夕方。アイスを買いにコンビニまで歩く夜。外が暑すぎて、今日はもう部屋でいいやと決めた午後。
そういう小さな夏のために、プレイリストを6つ作ってみた。ブラジル音楽も、邦楽も、R&Bも、アンビエントも入っている。ジャンルはあまり気にしていない。大事なのは、その時間にちゃんと鳴るかどうか。
今年の夏、プレイリストを少し入れ替えよう。
あなたなら、どの時間の曲から探しますか?
朝、冷房をつける前
起きた瞬間から、もう暑い。でも、すぐ冷房をつけるのも少し負けた気がする。水を飲んで、カーテンを開けて、窓の外を一度見る。その10分くらいに流したい曲を集めた。元気すぎない。でも、ちゃんと今日が始まる。
Marcos Valle — Estrelar
ブラジルの夏の曲として、ビーチサイドで親しまれてきたブギー。窓を開ける前にまずこれ。体が少しだけ動く。
Haruomi Hosono — Sports Men
スポーツの曲なのに、全然体育会系じゃない。朝からちゃんと起きなくてもいい感じがするところがいい。
João Donato — A Rã
水を飲んで、カーテンを開けて、この曲。跳ねているのにうるさくない。夏の朝が少し丸くなる。
cero — Orphans
東京の夏の湿度を、音楽にしたらこうなるのかもしれない。まだ何も始まっていない時間に。
Men I Trust — Show Me How
まだ話しかけないでほしい朝に。ベースと声だけが、静かに部屋を動かしてくれる。音量は小さめで。
Benny Sings — Big Brown Eyes
晴れているけど、少し眠い。そういう朝にちょうどいい軽さ。ちゃんと起きる前の、小さな助走。
Kiefer — Superhero
ジャズとビートと鍵盤。歌がないぶん、部屋にすっと入る。朝のコーヒーに合う。
Sven Wunder — Magnolia
観葉植物に水をやる時間に似合う。少しだけ異国の朝になる。
Sam Gendel — Afro Blue
ジャズをほどいたような音。朝から歌ものが重い日は、こういう音が助かる。
Ichiko Aoba — Porcelain
冷房をつける前の、まだ静かな部屋に。青葉市子の声は、朝の空気にかなり合う。
洗濯機が回っているあいだ
夏の洗濯は、ちょっとした行事だ。汗を吸ったTシャツ、タオル、昨日の靴下。洗濯機が回っているあいだ、部屋に音楽を流しておく。家事というより、休日の準備みたいになる。
Cleo Sol — When I'm in Your Arms
ソウルフルでやわらかい。洗濯機の音と一緒に流しても、ちゃんと気持ちいい。
Erykah Badu — Didn't Cha Know
掃除してるだけなのに、ちょっといい休日っぽくなる。日曜の午前中に。
asuka ando — ゆめで逢いましょう
ラヴァーズロック。洗濯物を干す時間が、少しだけ南の方へ行く。
Lianne La Havas — Green & Gold
家事の途中で、ふと手が止まるような声。明るいけど、軽すぎない。
KIRINJI — エイリアンズ
生活感と浮遊感が同時にある。ベランダに出るだけで、少し夜の気配がする。
Joyce — Aldeia de Ogum
白いシャツを干しながら聴きたい。ブラジル音楽、爽やかでちゃんとリズムがある。
Bibio — Lovers' Carvings
やわらかくて、部屋のBGMにかなり強い。掃除中にかけて、気づいたら口ずさんでいる。
Nujabes — Feather
窓を開けて流すと、風が少しだけリズムを持つ。夏の昼に重くなりすぎない。
Yasmin Williams — Sunshowers
ギターインスト。洗濯機が止まるまでの数分にちょうどいい。
Sly & The Family Stone — Hot Fun in the Summertime
ベタな夏曲も、1曲くらいは入れたい。1969年からずっと、夏の空気を保存したまま。
洗濯しながら聴きたい曲、ありますか?
支度中にかける
シャワーを浴びた。さて、何を着るか。黒いTシャツか、白いシャツか。サンダルで行くか、スニーカーにするか。そうやって迷っている時間には、少しだけ派手な音楽があるといい。
Róisín Murphy — Overpowered
服を選ぶ時間に合う、少しモードな華やかさ。シャワーのあと、鏡の前でかけたい。
Kylie Minogue — Padam Padam
出かけるか迷っている日を、少し外側へ押してくれる。短くて、すぐ気分が切り替わる。
Charli xcx — Von dutch
今日は黒い服で行こう、みたいな気分になる。支度中にかけると、少しだけ強気になれる。
Dua Lipa — Houdini
大きな窓のある部屋で、出かける前に流したい。わかりやすく、前に進む。
Peggy Gou — It Makes You Forget (Itgehane)
韓国語のボーカルと90sハウス。サングラスを持っていくか迷っている時間に。
Towa Tei — Luv Connection
部屋が少しだけ90年代の東京になる。洒落ていて、古びない。
Pizzicato Five — Twiggy Twiggy
服を選ぶ時間に、少しだけ冗談を足してくれる。夏の支度は真面目すぎない方がいい。
Phoenix — If I Ever Feel Better
予定がなくても、少し外に出てもいいかと思える。フレンチタッチの軽さ。
Kaytranada — Lite Spots
靴を履く前の最後の1曲に。R&Bにもハウスにも寄りすぎず、流しやすい。
Moloko — Sing It Back
これをかけたら、もう出かけるしかない。
夕方、遠回りする
帰るだけの日だったのに、空がよかった。そういう日は、駅までの道を一本変えてみる。コンビニにも寄らず、ただ少しだけ歩く。夕方のギターは、暑さを少しやわらかくしてくれる。
Alvvays — Dreams Tonite
帰るだけの日を、少しだけ映画っぽくする。夕方のインディーポップ。
The Radio Dept. — Heaven's on Fire
駅までの道を一本変えたくなる。ローファイで少し冷めた感じが、夏の夕方にちょうどいい。
Real Estate — Talking Backwards
汗はかいているのに、音だけは涼しい。アメリカの郊外感なのに、日本の夕方にも合う。
Fishmans — ナイトクルージング
夜になる少し前に聴くと、街の輪郭がぼやける。夏の夕方から夜にかけての定番。
Cornelius — Star Fruits Surf Rider
普通の帰り道に、ちょっとだけ編集が入る。軽くて、細かくて、変。
ゆうらん船 — サブマリン
川沿いを歩くなら、たぶんこれ。現行邦楽インディーのゆるいサイケ感。
TENDRE — RIDE
車でも電車でも、自転車でもいける。夕方の移動にちゃんと馴染む。
Turnover — Dizzy on the Comedown
夕方に聴くと、ちょうどよく寂しい。重すぎないのがいい。
Khruangbin — Time (You and I)
帰るだけじゃもったいない日に。暑い国の空気と、ゆったりしたグルーヴ。
Kings of Convenience — Misread
遠回りしても、別に誰にも怒られない。アコースティックで軽い。肩の力が抜ける。
帰り道、どんな曲をかけますか?
コンビニまで歩く夜
アイスを買いに行くだけ。炭酸水でもいい。でも、イヤホンをするとちょっと違う。自販機の光、ぬるい風、遠くの車の音。コンビニまでの10分が、少しだけ映画になる。
Burial — Archangel
街灯と自販機の光に合う。ただのコンビニ行きが、少しだけ別の夜になる。
Kelela — Contact
夜道だけど、少しだけ身体が前に進む。R&Bとクラブのあいだ。
Tirzah — Gladly
帰り道に小さく鳴っているくらいがいい。派手ではないけど、夜の空気に馴染む。
Overmono — So U Kno
ただのコンビニ行きが、少しだけ夜遊びの続きになる。UKクラブの空気。
D.A.N. — Sundance
日本の夏の夜に、ちゃんと低音がある。コンビニに行くだけなのに、少しだけクラブ帰りみたいになる。
坂本慎太郎 — まともがわからない
アイスを買って帰るだけの日にも、少し変な余韻が残る。
STUTS — 夜を使いはたして feat. PUNPEE
夜を少しだけ長く使いたい日に。タイトルがもう、コンビニ帰りに似合っている。
Nourished by Time — The Fields
知らないのに、どこかで聴いたことがある感じがする。夏の夜道に懐かしい光が差す。
PinkPantheress — Pain
コンビニまでなら、1曲で行って帰ってこられる。短くて軽い。
DJ Seinfeld — U
帰り道を少しだけ伸ばしたくなる。切なくて、夜道に合う。
外が暑すぎる日のアンビエント
今日はもう外に出ない。そう決めた午後のための音楽。冷房の音、グラスの氷、カーテン越しの光。アンビエントは、夏から少しだけ逃げるための音楽でもある。
Hiroshi Yoshimura — GREEN
外に出ない夏の定番。暑すぎる日は、外に出ない。これでいい。
Brian Eno — An Ending (Ascent)
冷房の部屋が少しだけ宇宙船になる。暑すぎる日は、地上にいないことにしてもいい。
Laraaji — Introspection
昼寝するつもりがなくても、少し目を閉じたくなる。音がやわらかく広がる。
Green-House — Find Home
観葉植物が少し元気に見える音楽。生活空間のために作られている。
Ana Roxanne — It's a Rainy Day on the Cosmic Shore
雨が降っていなくても、窓の外が少し曇って見える。声とアンビエントのあいだ。
Satoshi Ashikawa — Still Space
何もしない時間に、ちゃんと音を置く。静かな空間を作るための音。
Ryuichi Sakamoto — Aqua
氷の入ったグラスの横に置きたい曲。ピアノ、透明感、少しの寂しさ。
Midori Takada — Mr. Henri Rousseau's Dream
外は暑いのに、部屋の中だけ少し森になる。マリンバの涼しさ。
Visible Cloaks — Valve
冷房の部屋で、少しだけ知らない場所へ行く。電子音の粒が細かい。
Chihei Hatakeyama — Starlight and Black Echo
暑さで何も考えたくない日に。音だけがゆっくり動く。
外が暑すぎる日、部屋でどんな曲をかけますか?
まずはこの3つから
夏のプレイリストは、海やフェスだけじゃなくていい。朝の10分、洗濯機が回るあいだ、コンビニまでの夜道。そういう小さな時間に音楽を置いてみると、いつもの夏が少しだけ違って見える。
まず作るなら、この3つから。
朝、冷房をつける前のプレイリスト。まず Marcos Valle の "Estrelar" をかけてみてください。夏の朝の始め方が、少し変わります。
コンビニまで歩く夜のプレイリスト。Burial の "Archangel" から入ると、ただの住宅街が少し違って見えます。
外が暑すぎる日のアンビエント。Hiroshi Yoshimura の "GREEN" を流したら、今日はもう外に出なくていい。
あなたの夏の一曲、教えてください
ここまで60曲を選んできたけれど、夏の音楽って人によって全然違うと思う。
海派の人も、冷房の部屋で本を読む派の人も、フェス派の人も、夜のコンビニまで歩くくらいがちょうどいい派の人も。朝の1曲目が大事な人も、帰り道だけイヤホンをする人も、それぞれに「なんかこれ、夏に合うな」という曲がある気がする。
毎年戻ってくる曲でも、今年はじめて出会った曲でも、誰かに教えたくて仕方ない曲でも。
よかったら、コメントかXで教えてください。
朝に聴く曲でも、夕方の曲でも、夜道の曲でも。季節でも時間でも場所でも、なんでもいいです。
来年の夏、こっそりプレイリストに入れているかもしれません。
この夏、イヤホンの中が少しだけ変わりますように。
