PVを諦めたら、4つのツールが繋がった|おはようカノジョ #91
KITAcoreさんが、noteのダッシュボードを「眺めたくなる画面」に作り変えた記事を公開した。
数字の並びを、Spotify Wrapped風のビジュアルに変換する。
データは同じ。でも見え方が変わると、毎日開く理由ができる。
PVを含むフル機能のダッシュボードを自分で構築したい人には、KITAcoreさんがデータ収集の手順を有料記事で、ダッシュボードの設置方法を無料記事で公開してくれている。
⭐️データ収集(有料)
→ Noteの閲覧数・スキ数を自動で収集する方法
⭐️ダッシュボード設置(無料)
→ note運営を"感覚"から"見える化"へ|GitHub Pagesでダッシュボードを作る
この記事では、それとは別の話をする。
「環境構築をしない人にも届けられる、もっと手軽な入り口は作れないか」——そう考えたとき、設計がまるごと変わった話。
はじめに
「おはようカノジョ」は、毎朝7:30に彼女がいってらっしゃいを言ってくれるXアカウント。このnoteでは、その裏側の設計や試行錯誤を記録している。
今回は、noteのデータを可視化する「wrapped」を自分用に作った後、それを他の人にも使えるようにしようとしたとき、何が起きたかの記録。
そしてこの話を整理していて気づいた。これまでバラバラに作ってきたツールが、1つの循環になり始めている。
自分用のwrappedを作った
KITAcoreさんのダッシュボードに触発されて、自分でも作ってみた。
👉 https://hasyamo.github.io/note-stats-tracker/wrapped.html

noteのダッシュボードAPI(cookie必須)を使えば、記事ごとのPV・スキ数・フォロワー推移が全部取れる。GitHub Actionsで毎日データを蓄積し、HTMLで可視化する。
KITAcoreさんのwrappedをベースにした部分もある。KPI表示、PVランキング、勢い分析など、note運営の状態が一目で分かるダッシュボードの骨格はKITAcoreさんのおかげで、ここへのリスペクトは忘れたくない。
その上に、自分の課題に合わせて独自のセクションを足していった。
カテゴリ別のスキ率比較、フォロワー推移チャート、次に何をすべきかの提案。
中でも一番大きかったのは、2つの独自要素だった。
1つ目は、スキしてくれた人のファンランキング。全記事のスキデータを集計して、「誰が一番多くスキしてくれているか」を7人並べるセクション。KITAcoreさんのwrappedにはスキのユーザー集計がなかったので、自分でスキ一覧APIを叩いてデータを蓄積する仕組みから作った。

2つ目は、おはようカノジョの7人のキャラクターによるナビゲーション。
セクションごとにその日の担当キャラがセリフで語りかける。データの状態に応じてセリフが変わる仕組みも入れた。ダッシュボードというより、毎朝の報告会のような体験になった。

ここまでは順調だった。
「これ、他の人にも渡せないか」
自分で使ってみて、思った。
noteで毎日書いている人は、スキの数字は見ているけど「誰がスキしてくれたか」「どの記事がいま伸びているか」を俯瞰する手段がない。noteのダッシュボードはあるけど、数字の羅列で、毎朝開きたくなるものではない。
自分用のwrappedは、cookieを使ったダッシュボードAPIで動いている。KITAcoreさんの有料記事で公開されている方法と同じ構成。でも、GitHubやcookieの設定は、noteクリエイター全員ができることではない。
もっと手軽に、URLを開くだけで使えるものにしたい。
PVが消えた
他のユーザーのデータを取得するには、cookieを使わず、公開されている仕組みだけで動く必要がある。
noteの公開APIを1つずつ調べた。フォロワー数、記事ごとのスキ数やコメント数、スキしてくれた人の情報。思った以上にデータは取れた。
でも、1つだけ取れないものがあった。
PV(閲覧数)。
PVが消えるということは、自分用wrappedで最も使っていた指標が全部消えるということだった。
η(スキ率)= スキ数 ÷ PV → 計算できない
PV上位ランキング → 作れない
記事の「勢い」分類(PV差分ベース) → 判定できない
リライト候補(PV高いがη低い記事) → 抽出できない
自分用のwrappedから、4つのセクションがごっそり消える。
代わりに見えたもの
でも、消えたものだけを数えていても仕方がない。
PVは消えた。でもスキの周辺データは残っている。そしてそのデータは、匿名の数字ではなかった。
誰がスキしてくれたのか。いつスキしてくれたのか。
ここで気づいた。自分用のwrappedで独自に足した「ファンランキング」——あのセクションは、PVに依存していなかった。最初から、PVがなくても成立するセクションだった。
PVは「何回読まれたか」を示す数字。匿名の数字。
一方、スキの周辺データは「誰が読んでくれたか」を示すデータ。
名前のある数字。
PVが見えない世界では、代わりに「人」が見える。
人にフォーカスしたダッシュボード
この制約から、公開版wrappedの設計方針が決まった。
PVは、匿名の数字だった。でもスキには名前がある。
このツールは「数字を見るツール」から「人を見るツール」に変わる。
「何回読まれたか」ではなく「誰が読んでくれたか」を見る。
具体的には、こんな機能を構想している。
ファンランキング。全記事のスキを集計して、誰が一番多くスキしてくれているかを可視化する。自分用wrappedで作ったセクションの延長線上にある。
昨日のスキ速報。朝開いたら、昨日誰がスキしてくれたかが分かる。
疎遠検出。「以前は毎週スキしてくれていたのに、最近来ていない人」が見える。名前のあるデータだからこそ、「来なくなった人」にも気づける。
そしてもう一つ。積み上げノートでは毎日ボタンを押してデータを記録する設計だったが、wrappedでは毎日自動でデータを蓄積する。ユーザーはURLを開くだけでいい。蓄積の手間をゼロにした。
制約が設計を変えた
振り返ると、PVが取れないことは「できないこと」ではなく「見る方向が変わる」ことだった。
自分用のwrappedは「数字の分析ツール」だった。PV、スキ率、カテゴリ別の効率。数字を比較して、次に何を書くかを判断するためのもの。
公開版は「つながりの可視化ツール」になる。誰があなたの記事を読んでいるか。誰が離れたか。誰が一番近くにいるか。
数字を手放したら、人の顔が見えた。
制約は、設計の敵じゃない。設計の方向を決めてくれるものだった。
4つのツールが、1つの循環になる
wrappedを設計していて気づいたことがもう一つある。
これまで作ってきた3つのツール——積み上げノート、おはヨミ、おへんじ帖——の意味が変わる。
積み上げノートは、毎日ボタンを押してフォロワー数を記録するツールだった。wrappedが自動で蓄積するなら、この役割はwrappedに吸収される。
おはヨミは、推しクリエイターの新着記事を読みに行くためのツールだった。でも「誰の記事を読みに行くか」の優先順位はなかった。
wrappedの疎遠検出があれば、「最近スキしてくれなくなった人の記事を読みに行く」という判断もできる。
おへんじ帖は、自分の記事へのコメント返信を管理するツールだった。wrappedでスキしてくれた人の顔が見えるようになると、おへんじ帖は「スキしてくれる人との関係を維持する装置」になる。
バラバラに作ってきたツールが、wrappedを中心に1つの循環として繋がり始めている。
wrapped ── 誰が読んでくれているかを見る
おはヨミ ── 誰の記事を読みに行くか決める
おへんじ帖 ── 読んでくれた人との関係を維持する
積み上げノート ── wrappedに吸収され、役目を終える
見る → 行く → 返す → また見る。この循環が回り始めたら、noteの運営は「感覚」ではなく「設計」になる。
おわりに
KITAcoreさんのダッシュボードがきっかけで始まった実装が、PVという壁にぶつかって、別のものになろうとしている。
制約がなければ、この設計には辿り着かなかった。
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るなの一言

バラバラだったものが つながる瞬間ってさ、なんか… 嬉しくなっちゃうよね。
👉「おはようカノジョ」は @ohayo_kanojo で毎朝7:30に投稿しています
