【#マスクドnote2副賞①】骨皮筋衛門の亜麻布亭みゆ救出大作戦
こちらは亜麻布みゆさんに捧げる#マスクドnote2の「はそやm賞」です。くだらなさを追求しています。広い心で笑ってお読みください。
副賞発表の順番はコメント欄の記載順となっております。
「なに?国宝がさらわれた?」
令和の万能ヒーロー骨皮筋衛門が眉根をひそめる。
「はい。帳面町の人間国宝亜麻布亭みゆさんが……」
不安を隠しきれない部下が骨皮筋衛門に報告した。しかし、その瞳は安堵に満ち溢れている。骨皮筋衛門ならこの難事件を解決できる……彼はそう信じて疑わないのだ。
「……大丈夫だ」
誰をも心穏やかにする笑みを筋衛門は浮かべると、すっと暗闇に溶け込んだ。
「きゃー!!!筋衛門様が潜られた!」
「もう亜麻布亭みゆさんは安心ね!」
「これで事件は解決よ!」
署内の女性陣から黄色い声が上がった。
☆彡☆彡☆彡
「さあ!ボスに芸を見せるのだ!」
目玉をギョロつかせながら悪華亭エン太がすごむ。
「……」
しかし、毅然とした態度を崩さない落語家の亜麻布亭みゆ。ソフトな語り口に潜む鋭い観察眼で、若くして人間国宝となった彼女は帳面町が誇る落語家だ。どのような脅しにも姿勢を崩さない。彼女は納得しない場では決して芸を披露しないのだ。
生まれながらのエンターティナー
そんな彼女を帳面町の人々は敬愛を込めて呼んでいる。
「お高くとまりやがってぇぇぇ!」
いきり立つ悪華亭エン太は悪の組織イービル・フラワーの幹部。笑いで世界征服するために落語家となったのだが、芸はイマイチ。落語会を開くほど赤字を叩き出すので、イービル・フラワー内でお荷物と囁かれていたのだ。
「いつになったら面白い噺を創作するんだ!」
とボスから責められて自分が修行するよりも、人間国宝の亜麻布亭みゆ誘拐を思いついた。亜麻布亭みゆを悪華亭一門にすれば、笑いで世界征服ができると考えたのだが。
「家に帰してください」
その一言しか発しない。
ボスのイライラを感じる悪華亭エン太。他の幹部や手下達からの冷ややかな視線も注がれイラつきMAXの悪華亭エン太は叫んだ。
「ええい!こうなればお前の子どもを拉致して!」
「そ、それだけはやめてください!」
表情を崩さなかった亜麻布亭みゆの顔色が変わった。天才的創作落語家として、芸を磨くことを常に優先している彼女だが、愛らしいポージングで母の創作タイムを邪魔しにくる我が子は、何者にも代えがたい尊い存在なのだ。
「卑怯よ!子どもは関係ないじゃない!」
「ひっひっひ。それ、いつも落語で見せる人情物の表情そのものだな。そうか!そうやってお前は落語を磨いているのか!」
急にメモをしだす悪華亭エン太に亜麻色亭みゆは「信じられない」という表情を浮かべる。落語家としてより人としての感情を磨かないといけないのではないか?
「お前の創作の源は子どもなんだな!お前の子どもが欲しくなった!」
「ちょっと意味わかんない!」
と叫ぶ亜麻布亭みゆ。
「俺達もちょっと意味わかんない!」
ボスもイービル・フラワーの面々も思わず突っ込む。
そんな空気を全く読まずに悪華亭エン太は走り出す。
「やめてぇぇ!」
亜麻布亭みゆが悲痛な叫びをあげた時だった。
「もう大丈夫だ!」
涼やかな声と共に暗闇からふくよかなボディラインが浮かび上がる。
「お、お前は!」
と顔が青ざめるボス。ざわめく部下達。
「ああ?なんなんだよぉ!どけよこらあ!」
亜麻布亭みゆの芸の源が子どもと勘違いし頭に血が上った悪華亭エン太は、状況を判断できなくなっていた。今、彼の心の中は落語家として大成することでいっぱいなのだ。
「芸を磨きたいという気持ちはよろしい!ただ、人を貶めてまで得る我欲を持つ限り芸は身につかん!真実と向き合え!」
そう言い放った瞬間、骨皮筋衛門の丸みを帯びたシルエットが宙に浮かぶ。
ヒラリ・クルリ・プルン・ボスン♪
ヒラリ・クルリ・プルン・ボスン♪
軽やかなリズムと共にイービル・フラワーの面々が倒されていく。
「秘技だわ!これが有名な骨皮筋衛門の秘技なのね!」
頬を紅潮させた亜麻布亭みゆが叫ぶ。もう彼女の顔に浮かぶのは安堵の色のみ。骨皮筋衛門が登場すれば彼女と子どもの安全は確実なのだ。
「お、俺の精進の道を邪魔するな!」
「お前は間違っている……」
静かに諭すが悪華亭エン太は耳を貸さない。奇声を発しながら骨皮筋衛門に飛びかかったのだが。
ヒラリ・クルリ・プルン・ボスン♪
あっという間に骨皮筋衛門の秘技に倒されてしまった。ただ、部下としての忠誠心は最後まで捨てなかったらしく、ボスを緊急脱出させるボタンを押すことだけは忘れなかった。
「今回は俺、誘拐の指示は出してナインダケドナ~」
ピカーン☆彡
イービル・フラワーのボスは遥か彼方へと飛んで行き、亜麻布亭みゆ誘拐事件は骨皮筋衛門の活躍で無事解決した。
☆彡☆彡☆彡
「先日はありがとうございました」
丁寧に頭を下げる亜麻布亭みゆの腕の中には愛らしい幼児がいた。
「シュジえもん!」
そう叫びスルリと母の腕を抜け、飛びついてきた子どもを慈愛に満ちた
ヒラリ・クルリ・プルン・ボスン♪
であやす筋衛門。
「は!秘技!」
生まれながらのエンターティナー亜麻亭みゆはモレスキンのノートを取り出す。今、彼女は帳面町で開かれる「祝人間国宝!亜麻布亭みゆ独演会」の新作落語への準備の真っ最中なのだ。
ヒラリ・クルリ・プルン・ボスン♪
子どもをあやしながら骨皮筋衛門がほほ笑む。
「新作は上手くいきそうですか?」
「はい!秘技のおかげで!」
「私を題材にするのは良いのですが……」
秘技だけは内密にとお願いする骨皮筋衛門。
「大丈夫です。大切な部分はぼかします。私、根っからのエンターティナーですから」
モレスキンのネタ帳を閉じながら亜麻布亭みゆが微笑んだ。
☆彡☆彡☆彡
モレスキンのノートが活躍するお話はこちら👇
亜麻布みゆさん!全身全霊でふざける機会をくださり、ありがとうございました!
素晴らしい企画を仕切ってくれたすのう工場長と波さん、ありがとうございました!
