見出し画像

理系論文と文系論文の構造的差異

今回、文系論文が査読を通ったことによって、理系論文(*今回は心理学の論文を理系論文とみなす)と文系論文の双方の査読付き論文を書いたことになるので、その差異を考えてみたいと思う。

理系論文も文系論文も先行研究を批判する形で始まるのは同じであった。

理系論文    文系論文
1.問題     はじめに

2.目的     第一章

3.方法     第二章

4.結果     第三章

5.考察     おわりに

と五つのパートで構成されているのも同じであった。

ただ、各パートの構造化の程度、そして各パートの流れの構造化の程度が異なっていた。

理系論文は各パートの中身まで構造化されているため、型が掴みやすい。反対に、文系論文は、はじめに、以降の型を自分で構想する必要があるのである。ここが最大の差異だと思われる。

この差異があることで、論文の書き方みたいな本が理系用ばかりになっているのも頷ける。その手の本の文系用のは抽象的すぎてほとんど参考にならない。型があってないようなものなので、そうなってしまうのだろう。

理系論文は構造化の程度が高いので、英語でも表現が決まっており、英語でも書きやすいのではないか。文系論文が構造化の程度が低いので、定型表現が理系論文ほどにはなく、その分、英作文力が必要になってくるだろう(DeepLである程度はカバーできるようになってきているとは思うが)。

投稿先の雑誌も理系の場合は多く存在するためリジェクトになっても他の雑誌に出せば良いのだが、文系の場合は、その他の雑誌自体の数が少なく、リジェクトになった場合はかなり苦しい展開になる。また文系の雑誌は1年間で1回しか発行されないものが多く、その点でも厳しくなる。

また文系の雑誌は理系の雑誌に比べて採択率が10%から20%くらいしかなく、理系の論文が50%くらいだとすると、その掲載難易度は高い。もちろん、各雑誌で掲載率は異なるとは思うが、イメージ的には理系雑誌で学会賞を取れるような論文だけが掲載可になるような感じである。

ここから文系の博士号取得まで平均で数年かかったり、そもそも取れない人が多くいることになる。文系の博士号取得率が極端に低いのはこの辺りが原因だろう。この差異は、理系論文だったらデータで説得度合いが上がるのに対して、文系の場合、データはなく論理構成だけで押すしかないところから出てくるような気がする。

ただ、文系論文の場合は、データを集める必要がないため、思いついたら直ぐに書けるというメリットがあるので、結局、どちらも一長一短なのだろう。差異云々よりも、例によって目的に応じて手段を選択する(理系論文で書くか文系論文で書くか)という、例の話に収束するのかもしれないが。

いいなと思ったら応援しよう!