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「14歳年下の彼」第16話 幸せなのに不安だった

「この人なら大丈夫。」


あの日は、心からそう思っていた。


恋人になれた喜びで胸がいっぱいだった。


だけど、人の心は不思議なもの。


幸せになればなるほど、その幸せを失うことが怖くなっていった。


2日後、会社で彼に会った。


この前と何も変わらないはずなのに、何となく恥ずかしくて目を合わせられなかった。


結ばれて幸せなはずなのに。


また、不安になっている自分がいた。


彼が悪いわけじゃない。


そんなことは分かっている。


ただ、主人との別れを経験した私は、「大切な人は、いつかいなくなる」という怖さを、心のどこかで抱えたままだった。


だから私は、幸せを素直に信じることができなかった。


彼を失うことが怖くて、気づけば束縛するようになっていた。


「会社の女の子とは連絡先、交換しないで。心配だから。」


彼は少し困ったような表情で聞いた。


「LINEはいいの?」


「LINEも電話も同じでしょ。」


その瞬間、彼は小さくため息をついた。


自分に自信がなかった私は、不安になるたびに彼へ色々と求めるようになってしまった。


不安が大きくなるほど、喧嘩も増えていった。


それでも彼は、話し合うためにいつも私の家の近くまで来てくれた。


「何が不安なの?」


「一緒に解決しよう。」


彼が静かに言った。


そう言われると、うまく言葉が出てこない。


伝えたいことはたくさんあるのに、何から話せばいいのか分からなかった。


黙っている私を見て、彼はバッグから一冊のノートを取り出した。


「これから、不安なことや解決したいことは、このノートに書いて共有しよう。」


その言葉に胸が熱くなった。


うまく伝えられず、モヤモヤしている私の気持ちを、彼はちゃんと分かろうとしてくれていた。


そして彼は、テーブルの上にあった私の両手をそっと握った。


その温もりが、張りつめていた心を少しずつほどいてくれた。


私は、こんなにも私を大切にしてくれる人を、ちゃんと信じられていただろうか。


彼は、私の不安を否定する人ではなかった。


一緒に向き合い、一緒に乗り越えようとしてくれる人だった。


その日から私は、少しずつ「信じる」ということを覚えていった。

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