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【経営層の皆様へ】社員は「動かない」のではない、「動けない」のです。―― 挑戦を阻む「ひし形の設計不全」

「うちの社員は主体性がない」 「挑戦しろと言っているのに、誰も動こうとしない」
もし、あなたがそう感じているなら、それは社員のやる気の問題ではなく、マネジメントシステムという「設計図」の欠陥かもしれません。


1. 「行動」は指示できても、「判断」を丸投げしていないか?

業務フロー図を思い浮かべてください。 「◯◯をする」という長方形(活動・行動)は細かく定義されていますが、分岐点であるひし形(判断)の設計はどうでしょうか。
VUCA時代の今、過去の経験知という古いOSでは、ひし形の中にある「判断アルゴリズム」が作動しません。判断基準が曖昧なまま「自立しろ」「挑戦しろ」と叫ぶのは、霧の中で「全力で走れ」と言っているのと同じです。 社員は動かないのではありません。視界不良で「動けない」のです。

2. 承認の「二重基準」がスピードを殺す

年度計画で投資予算を承認したはずなのに、いざ執行段階になると、また稟議書を回し、役員会で細かな注文がつく。 この「手戻り」が発生するたびに、現場の熱量は奪われ、時間は溶けていきます。
「小さく生んで早く試す」べき案件にまで、数億円の投資と同じ精度の「完璧な根拠」を求めていないでしょうか。 投資額に応じた「判断の自動化(権限委譲)」をシステムに組み込まない限り、組織の俊敏性は失われる一方です。

3. 「見えない力」を解除する「場づくり」

ルールを変えても、「忖度」や「失敗への恐怖」という組織のあり方(Being)が古いままでは、誰もリスクを取りません。 「制度上は自由だが、失敗したら詰められる」という心理的負債を抱えたままでは、現場は「現状維持」という最も安全な選択肢を選び続けます。
経営層がすべきは、単なる号令ではなく、「安心して判断できる場」を設計することです。

4. 「清々しい失敗」を見せるという儀式

この閉塞感を打破するには、理論ではなく「成功体験(または称賛される失敗体験)」の積み重ねが必要です。
まずは社長と強固な信頼関係にあるリーダーが、率先して「空気を読まずにルール通りに動き、小さく試す」姿を社員に見せてください。 もしそれが失敗に終わっても、「良質な学習データを得た」として社長が公に称賛する。
この「ルール通りに動いて、失敗してもお咎めなしどころか称賛された」という前例こそが、形骸化したシステムに血を通わせ、止まっていた現場の「ひし形」を動かすスイッチになります。

結び:経営者の仕事は「走らせること」ではなく「道を整えること」

社員を動かそうとする前に、彼らの行く手を阻む「曖昧な判断基準」や「重すぎる承認プロセス」を取り除いてください。 マネジメントの本質とは、社員のWill(意志)を解き放つための「システム設計」そのものなのです。