『水に託す』:毎週ショートショートnote:お題【かもしれない弁天】
たらはさん、お題をありがとうございます。貼付記事以下、参ります。
「かもしれない」は日々、日常の中に紛れている。
明日はあのひとが振り向いてくれるかもしれない。
明日はこの案件が認可されるかもしれない。
明日のレポートこそ優が取れるかもしれない。
可能性はゼロではなく、100になることもない。
人が生きる上で欠かせぬもののひとつに水がある。ことわざにも曰く、
水は方円の器に従う
水心あれば魚心
流るる水は腐らず
等々。
水を求め、水に流し、流れのままに、ひとは生きる。諦めながら、それでもひとかけらを握りしめて。
その想いを束ねるかのような存在がある。古の言葉で「水を持つもの」という名を冠した女神が。
サラスヴァティーは柔らかな弧を描いた瞳そのままの声音で問わず語る。
「全ては流れゆき、ひとところには留まらぬ。なれば、祈りも願いも、届くかもしれぬし、そうでないとも言える。わたくしはその行方を知らぬ。ただ、淀まぬように注ぐのみ」
下界の者に聞き取れるや否や。彼の女神の祈りを遠くに仰ぎ、今日も祈りを捧げるものが歩んでいく。その地で弁財天と呼ばれる女神へ捧げる祈りを。
(了)
拙稿題名:水に託す
総字数:446字
よろしくお願い申し上げます

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