雨が色を持つとき【毎週ショートショートnote:お題「来襲の運勢」】
たらはさん、お題をありがとうございます。貼付記事以下、参ります。
ある日、空から降る雨が、水であってもただの水ではなくなった。それはまるでカラーインクのようであり、絵の具を水で溶いたようなものでもあった。人々は空から降る色水に戸惑い、思案を巡らした。
「窓や壁が汚れて敵わない」
「掃除が大変だ。この妙な雨、何とかならないのか」
そんな声を上げるものは少なからず。人々にとって色のある雨は天からの恵みではなく、厄災の来襲そのものだった。
そんな中、この色雨を楽しむ者たちも出始める。
「うわぁ……綺麗」
「撒いたら虹みたいになる」
そう言いつつ色雨を楽しむのは若者たち。
色ある雨に対する人々の思いは二分されていた。しばし時が流れた後、ある声が聞こえてくる。
「一番綺麗な雨の色を見た日は、決まって良いことが起こる」
勘違いだ、子供だましだ、そう言いながら、大人も子供も色雨を忌み嫌うのを止めて、じっと見つめはじめた。
やがて、雨上がりの空に大きな虹が架かった。
それに色を渡したように、街に降る雨は透明な水に戻っていた。
これは、いつの時か知れぬ、何処とも分からぬ場所で起きたのかもしれない、お伽噺という名の奇跡である。
(469字)
よろしくお願い申し上げます。
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