刻印を塗り替える【毎週ショートショートnote:お題「勘当ガイドブック」】
田原さん、お題をありがとうございます。貼付記事以下、参ります。
父から一冊の本を渡された。「読む頃合いだ」とだけ言って、俺に背を向けた。本の表紙には太いロゴで題名が書いてある。この本、なんのつもりなんだ。
腹が立ってきた。部屋に戻ると、俺は本を床に放り出した。
今時、run awayなど、外国映画の題名にしか出てこない。いい歳をして子供じみたことはしない。腹が立つから会話をしないだけだ。
会話断絶初日、二日目。変わったことはない。男親と息子じゃ会話の話題もない。
3日目にベーカリーにパンを買いに出かけた。マグやソーサーも売っている。好きそうだな、と思い、アプリを立ち上げようと端末に手を伸ばし、現状を思い出す。
苦笑いしてスマホをバッグの定位置にしまったとき、隣りに入れていた財布が目に入る。忍ばされていた栞に、小さく書かれていた。
「最終章:本当に困ったら、この本を持って相談に来い」
苦笑いしながら帰宅し、リビングの入口に立つ。パラリと、ページをめくる音がした。
俺は口を開く。
「ペアのマグ買ってきた。あと、あの本だけど—」
「感動ガイドブック」、題名の上に俺は、そう書いたマステを貼り付けた。
「それはお前が書け」。父はそう言って笑った。
493字
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©2023-2026Harunaga Mutsuki
サムネ画像に使うか迷い、インパクトがあるので逆効果かな、と次点にした画像を以下にそっと貼っておきます(サムネ共々、Midjourney α V8.1にて生成)

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