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花に潜むもの「毎週ショートショートnote【紫陽花男子】」

たらはさん、お題をありがとうございます。貼付記事以下、参ります。

( 本文479  字)


石段を一歩ずつ上がっていく。しばらく行くと階段は曲り、梅雨時の雨模様も手伝って、進む先がよく見えない。雨に滑りそうな足元を気にしながら、1段、また1段と上がっていく。

石段を上がりきると、草が伸び荒れた様子の小さな神社が見えてくる。参道の両端には埋められた石と紫陽花。雑草と交互に生える梅雨の花たちは、人の手が入れられず、そのままに伸びていた。

やあ、遅かったじゃないか。待ちくたびれた、もう逢えないかと思ったよ。

私を捉える声は、音ではなかった。
鼓膜を震わせず、脳内に響く声だった。
伸びた後で、巻き取られたかのような声だった。

「私にも野暮用はあるの。これでも精一杯急いだのだけど、待たせてしまったかな?」

告げた言葉に返事は返らず、「シャー」と小さな音だけが微かに聞こえていた。


私は梅雨が来て紫陽花が咲くと、毎日早朝にあの寂れた神社を訪れる。願掛けでもしているのか、毎日とは物好きだ、周囲にそう言われながら。

神社の参道、紫陽花の隙間から鎌首をもたげてこちらを見てくる一匹の白蛇。彼の眼差まなざしに、少女の日、恋した人の面影が見えるから。
私は彼に逢いに行く。


参考(イメージとして)


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