石のうんちく伯父さん【毎週ショートショートnote】お題【隕石の伯父さん】
たらはさん、お題をありがとうございます。貼付記事以下、参ります。
( 520 字)
「今の俺は世を忍ぶ仮の姿なんだ。本当は「令和の石ころ稔さん」と呼ばれるべき男なんだ」
稔伯父さんの戯言がまたはじまった。ツッコミは入れない。話が長くなると経験上よく分かっているからだ。
「おい、これを見てくれ。美しいじゃないか、花崗閃緑岩。水晶のような結晶を内包している。地球は芸術家だなぁ」
「花崗岩って言っていなかったっけ。前にその石と同じのを拾ったとき」
まるで宝石の原石を掘り当てたような顔をして、頬ずりしそうな勢いで石を愛でる伯父。その姿につい言葉を掛けてしまった。私に向き直ると、伯父はひとくさり石語りをはじめる。
「花崗岩と花崗閃緑岩の主な違いは、長石の種類の割合だ。花崗岩にはカリ長石が多いんだ。花崗閃緑岩にはカリ長石が少なく、斜長石が多い。日本に産する「花崗岩」は、実際には花崗閃緑岩であることが多い」(*注1)
長石(*注2)って何だ。
そのツッコミはしなかった。しないであげたのだと言っておこう。「次は隕石だ」と言ったなんて、私は聞いていないったら、いないのだ。
とりあえず、稔伯父さんが「日本一、地質学に詳しいタレント」に並ぶのは無理な話だ。私は伯父に聞こえぬよう、そっと静かに息を吐き出した。
*注1:花崗閃緑岩(Wikipedia)
*注2:長石
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