晴れ女の惑い【毎週ショートショートnote:お題「雨乞い難民」】
田原さん、お題をありがとうございます。貼付記事以下、参ります。
大切な用事があるとき、イベントが開催されるとき。
そんな時には必ずといっていいほど、空は晴れていた。
人生にまつわるそれは歩みを助けてくれるものであり、また時として障りになるものでもあった。
晴れが続けば地は乾く。乾いた地に植えられた作物が乾きを訴える。水甕の蓄えが少なくなれば、民草は不安に駆られる。
「降るなと願ったり、降って欲しいと祈ったり。身勝手だと思うでしょうね、空の上から見れば」
生まれてからずっと「晴れ女」と呼ばれた女は、そんな問わず語りをもらした。
“さあ?それはどうだろう。こちらは、人心はそのようなものだと思うだけなのだが”
それは声ではなく、意識に直接響く言葉だった。
「……出かける時は晴れがいい。畑の実りには恵みの雨を。やっぱり、それが正直な気持ちです」
女は空を見あげてそう言った。自分に言葉を告げた存在は見えなかった。雨乞いの方法を問えば良かっただろうか。そう思う女の頬を、ひとすじの風が吹き抜けただけだった。
— Fin —
428字
#毎週ショートショートnote
#雨乞い難民
#お題で書いてみた
#ショートショートnote
©2023-2026 Harunaga Mutsuki

いいなと思ったら応援しよう!
拙稿をお心のどこかに置いて頂ければ、これ以上の喜びはありません。ありがとうございます。