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マンガ「さいごの恋」野原広子(@集英社)を読んでみた。

マンガ「さいごの恋」野原広子(@集英社)を読んでみた。

発行は2024年10月。野原さんの本書のことは中条省平(ちゅうじょうしょうへい)氏のコラムで知った。中条さんの書かれた、朝日新聞の2024年12月14日の夕刊の記事だった。詳細はhttps://www.asahi.com/articles/DA3S16106506.html

 中条氏のマンガに対する愛が素晴らしい。そして彼の言葉で紡がれた漫画のことについて書かれたものを読むと実際に手に取って読みたくなる。本人がいいと思ったものをちゃんと選んで紹介してくれる。野原広子さんは第25回手塚治虫漫画賞の短編賞を2021年に受賞されたらしい!『消えたママ友』『妻が口をきいてくれません』の二作。この記事を読んで図書館に「妻が口をきいてくれません」を読んだ、私たちの生活の中にあるリアルな気持ちをえぐるように描いている。本音と本当の感情をあらわにすることで、生きていることの意味を問うような仕立てが怖くも魅力的。演劇では露悪的な手法の物語などがあり、その感覚に近い!ドラマでも向田邦子や山田太一、最近の作家だと坂本裕二などのある種のヒリヒリした人間関係を描く世界。そのヒリヒリさが前面に出ないのが向田さんであり、前面に出てくるのが山田さんと書くと誤解を招くだろうか?

 野原広子さんはイラストレーターをされながら40代になってマンガを描き始められたらしい!40代でプロデビューした安倍野郎さん(「深夜食堂」など)みたいなキャリア?年齢を重ねてからの表現をすることで物語に深みが出てくるのではないか?と思うのだがどうだろう?
 
 本作は46歳の高校教師、独身。更年期を迎えホットフラッシュに苦しみながら日々を過ごしている。ヨガ教室に通ったりしているのだが、思い切ってマッチングアプリに登録をする。何人かの男性とやりとりをし!カツオを称する頭髪が薄くなった冴えない男性と定期的に会うようになる。ここでは見た目やセックスのさらに先にある人と人同士のつながりの愛おしさを描いている。マッチングアプリで結婚詐欺のようなことを働く人もいるので慎重になっている高校教師だが、実際に会うことで、その時間をただ共有するだけで幸せな気持ちになっていることがシンプルな絵柄で伝わってくる。書き込みを極力排したシンプルな絵柄が読者の想像力を喚起する。

 本書では「愛するということ」と同時に貧困問題についても考えさせられる。貧困を救うう制度を知らない方がいちばん苦しんでいるというこの世界の現状をなんとかできないか?と読んでいて強く思うのだった。淡々とした中での本質が40代後半の「さいごの恋」を滋味深いものにしてくれる。図書館で予約して半年が経ってようやく読むことが出来ました。


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