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トランプ関税が日本株を直撃〜7月24日に何が起こるのか

2026年7月24日、米国の新たな関税政策が大きな節目を迎えます。
トランプ政権が通商法122条を根拠に導入した、一律10%の関税。その150日間の期限が迫っているからです。
一方、日本株に目を向けると、日経平均株価は6月25日に終値で7万2,366円34銭まで上昇しました。
「関税問題が続いているのに、なぜ日本株はこれほど強いのか」
その答えを探るうえで重要なのが、次の"ねじれ"です。

日経平均は強い。しかし日本企業すべてが好調なわけではない。


AI・半導体関連株が指数を押し上げる一方、関税の影響を直接受ける自動車メーカーは、厳しい状況が続いています。
今回は、複雑化する米国の関税制度と、日本の自動車産業、そして今後の日本株を見るうえでのポイントを整理します。

まず押さえたい「2つの関税」


トランプ関税を理解しにくくしている最大の理由は、複数の関税が同時に存在していることです。
2025年4月、トランプ政権は日本からの幅広い輸入品に対し、24%の「相互関税」を提示しました。
それとは別に、自動車には25%の追加関税を導入。従来からあった2.5%の関税と合わせ、日本車にかかる税率は合計27.5%となりました。(The White House)
つまり、

  • 日本からの幅広い輸入品にかかる相互関税

  • 自動車・自動車部品にかかる個別関税

は、別の制度です。
その後、2025年7月の日米合意により、日本からの輸入品に対する基準税率は原則15%となりました。
自動車・自動車部品についても、従来の2.5%を含めた合計税率が15%に引き下げられています。(内閣府)
27.5%から15%への引き下げは、自動車メーカーにとって大きな負担軽減でした。
しかし、関税発動前の2.5%と比べれば、現在も6倍です。
「関税問題が解決した」というより、正確には痛みが少し和らいだと見るべきでしょう。

最高裁判決でも、自動車関税は消えなかった


関税制度は、2026年2月に再び大きく動きます。
米連邦最高裁は2月20日、国際緊急経済権限法、いわゆるIEEPAについて、同法は大統領に関税を課す権限を与えていないと判断しました。
ここで注意したいのは、IEEPA自体を「違憲」としたわけではない点です。
あくまで、IEEPAを関税の根拠として使うことはできないという判断でした。(最高裁判所)
判決を受け、トランプ政権は同日、通商法122条を根拠とする代替措置を発表しました。
2月24日から、一部の例外品目を除く輸入品に一律10%の関税を課すという内容です。
この措置は150日間の時限措置で、議会による延長がなければ、7月24日に期限を迎えます。(The White House)
ただし、自動車関税の根拠はIEEPAではなく、通商拡大法232条です。
そのため、最高裁判決によって相互関税の仕組みが無効となっても、日本車に対する15%の関税は自動的には消えません。
相互関税がなくなっても、自動車関税までなくなるとは限らない。
ここが今回の関税問題で、最も間違えやすいポイントです。

日経平均7万円台でも、自動車業界は楽ではない


関税問題が続くなか、日経平均は驚くほど力強く上昇しました。
6月25日には、終値で7万2,366円34銭に到達しています。(日経指数)
しかし、翌26日にはAI・半導体関連株を中心に売りが広がり、日経平均は一時7万円を割り込みました。
指数への影響が大きい一部の銘柄が上昇すれば日経平均は大きく上がり、反対に売られれば急落する。現在の相場は、AI・半導体関連株の値動きに強く左右されています。(Reuters Japan)
つまり、日経平均が上昇しているからといって、日本の上場企業すべてが同じように恩恵を受けているわけではありません。
現在の日本株では、
AI・半導体株が指数を押し上げる一方、関税負担を抱える自動車株は伸び悩む
という二極化が起きています。
日経平均という「平均点」だけを見ていると、業種ごとの大きな温度差を見落としてしまうのです。

決算に表れた関税の重さ


関税の影響は、自動車メーカーの決算にはっきりと表れています。
トヨタ自動車の2026年3月期の売上高は、前期比5.5%増の50兆6,849億円となりました。
一方、営業利益は前期比21.5%減の3兆7,662億円です。
売上高が増えたにもかかわらず利益が大きく減少し、米国関税による営業利益への悪影響は、通期で1兆3,800億円に達しました。(トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト)
SUBARUも厳しい決算となりました。
2026年3月期の売上収益は前期比2.1%増えたものの、営業利益は401億円と、前期から90.1%減少しています。
同社は減益要因の一つとして、米国の追加関税を挙げています。(株式会社SUBARU(スバル)企業情報サイト)
売上高が伸びていても、関税分を企業側が負担すれば利益は減ります。
販売価格へ転嫁すれば、今度は販売台数が落ちる可能性があります。
自動車メーカーは今、

  • 関税コストを自社で吸収する

  • 車両価格へ転嫁する

  • 米国内での生産を増やす

  • 部品会社や販売会社と負担を分ける

  • 車種や販売地域の構成を見直す

といった難しい選択を迫られています。
どの方法にも費用や時間がかかるため、15%への引き下げだけで業績が元に戻るわけではありません。

新たに浮上した「最大12.5%」の追加関税案


さらに2026年6月、米通商代表部、いわゆるUSTRが新たな追加関税案を公表しました。
対象は、日本を含む60の国・地域です。
強制労働によって生産された製品の輸入を、各国が十分に規制していないことを理由に、最大12.5%の追加関税を課す案が示されています。
USTRは7月7日に公聴会を開き、対象となる国や企業などから意見を聴取しました。(United States Trade Representative)
ただし、この関税はまだ決定事項ではありません。
現段階ではあくまで「提案」であり、対象品目、税率、開始時期などは確定していません。
それでも企業側から見れば、将来の負担額を見積もりにくくなるため、追加関税が実際に発動されるかどうかは大きな不確実性になります。
関税の厄介さは、税率の高さだけではありません。
いつ、どの商品に、どの制度が適用されるのか分からないこと自体が、企業経営の重荷になるのです。

7月24日に何が起きるのか


目先の最大の注目日は、2026年7月24日です。
通商法122条に基づく一律10%関税は、この日までの時限措置とされています。
今後は、大きく分けて3つのシナリオが考えられます。

1.一律10%関税を失効させる
期限どおりに関税が終了すれば、対象となっていた一部品目の負担は軽くなります。
日本の輸出企業にとっても、短期的にはプラス材料です。

2.議会の承認を得て延長・変更する
通商法122条の措置を150日を超えて続けるには、議会による延長が必要です。
税率や対象品目を変更したうえで、制度を継続する可能性も考えられます。(The White House)

3.別の関税制度へ移行する
政権が通商法301条など、別の法律を根拠とする関税へ移行する可能性もあります。
この場合、関税を巡る不透明な状況がさらに長期化するかもしれません。
ただし、どのシナリオになっても、自動車に対する15%関税は別枠です。
7月24日を過ぎれば、日本の自動車メーカーが一気に関税負担から解放される、というわけではありません。

今後の自動車株を見る3つのポイント


自動車株の先行きを考えるうえでは、関税率だけでなく、次の3点を見る必要があります。

1.値上げ後も販売台数を維持できるか
関税分を価格へ転嫁すれば、1台当たりの採算は改善します。
一方、値上げによって消費者が購入を控えれば、販売台数が落ちてしまいます。
今後の決算では、単なる売上高だけではなく、米国での販売台数や販売奨励金、1台当たりの利益を見ることが重要です。

2.米国生産をどこまで増やせるか
米国内で生産すれば、日本から輸出する車両に比べて関税の影響を抑えられます。
ただし、工場の新設や増強には巨額の資金と数年単位の時間が必要です。
短期的な業績対策というより、中長期の事業構造改革として見る必要があります。

3.日経平均と自動車株を分けて考える
AI・半導体株が上昇すれば、日経平均は自動車株が低迷していても上がる可能性があります。
逆に、日経平均が下落していても、自動車メーカーの関税負担が軽くなれば、自動車株だけが上昇することもあります。
今後は「日本株が上がったか」ではなく、どの業種に資金が向かっているのかを見る視点が、これまで以上に重要になります。

まとめ:日経平均だけでは、日本株の実態は見えない


トランプ関税は、日本株全体を一様に押し下げているわけではありません。
AI・半導体関連株が日経平均を押し上げる一方、自動車メーカーは15%の関税負担を抱え続けています。
トヨタやSUBARUの決算を見ると、その影響はすでに利益の数字にはっきり表れています。
7月24日に一律10%関税が期限を迎えても、自動車関税が自動的に消えるわけではありません。
さらに、強制労働対策を理由とする最大12.5%の追加関税案も残っています。
日経平均が高いことと、日本企業の経営環境が良いことは同じではない。
これが、現在の日本株を見るうえで最も重要なポイントです。
見出しに表示される日経平均の数字だけでなく、その裏側で利益を伸ばしている業種と、関税負担に苦しんでいる業種を分けて見る。
その視点が、これからの「関税相場」を読み解く鍵になりそうです。

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