【読書感想】まだまだ仕事を引退できない人のための50代からのキャリア戦略/元永和宏
会社を辞める決意をした瞬間、呼吸が少し楽になったような気がした。
新しい年が明けたばかりの駅前は人通りが少しまばらだった。人と待ち合わせていて少し早くついたものだから、木枯らしが吹く駅前にある、大きな商業施設の中にある本屋に入った。まだ新年が始まっていない静かなビルの中で、本屋だけは煌々と灯りを灯していた。
悩んだときは本屋に言ってヒントになる本を探すことが多い。
キャリアの悩みなどはそれこそ平積みになって売っているから関連本を探すのに苦労することはないし、思わぬ本との出会いのきっかけもある。
目下の悩みは、会社勤めを続ける(普通に転職)か、独立してフリーで仕事するか、派遣になって仕事量と責任を落として働くかの選択だった私は、ビジネスコーナーを物色しすることにした。
そんな中、「まだまだ仕事を引退できない人のための50代からのキャリア戦略」というタイトルが目について手に取ったのである。
まだ50代ではないのだけれど、仕事の引退を意識することもある中で「引退できない人のためのキャリア戦略」と言うキーワードは刺激的だ。
本を開くといきなり書いてある。
「銀行口座に8桁の金額がある人は読まなくていい。」
そんなバカな。8桁で仕事を引退できるなら苦労はないではないか。
キャッチーな言葉で読ませようとしているだけだろうと思いつつ、そのままレジに向かってしまったのは少し悔しかった。
本屋の3Fにはカフェがある。待ち合わせの時間にはまだ1時間近くもあるし、コーヒーを注文して席に着くと本を開いて読み始めた。
本の趣旨としては、給与も右肩上がりで貯蓄も少ない人たちが「会社辞めたい!」と新しいことを始める気持ちはわかるが、慎重に行動しないと後悔するぞ!と具体的(失敗)事例を踏まえて警告している内容。
50代からの転職は難しい。お金が必要なら会社にしがみつくのも手。
そもそも50代(ないし40代)から会社を辞めて新しい「何か」を始めても失敗する可能性が高い。にもかかわらず、インターネットでは成功例ばかり出てくるし、ありふれた失敗事例は見向きされずコンテンツとしても取り上げられない。
そこに目を向けていると言う意味では貴重な本かもしれない。
この本の中で唯一の成功事例にしても、「若いうちに大失敗したが、海外へ出てなんとかなった」と言うものだった。この本を手にとるような世代(40代後半から50代)が同じように挽回しようとしても手遅れなのだ。つまり無理だよと伝えたかったのだろうと受け止めた。
40代を超えてからの一面発起(転職含む)は「具体的にこういうことがしたい」を優先しがちである。その結果、休日や働く環境といった面を妥協したり、目をつぶってしまう。これまでの社会人経験がそうさせてしまう。
そんなことを考えて、本を閉じて待ち合わせ場所に向かうために席を立った。
50代からの転職は難しい。お金が必要なら会社にしがみつくのも手。
肝に銘じておこう。
