会いたい人には、こちらから会いに行く
以前、どうしても一度お会いしたいと思う先生がいました。
その方の考えに触れるうちに、文章を読むだけではなく、実際に会って話を聞いてみたいと思うようになりました。
でも、待っていても、自然に会える理由はありません。
誰かが紹介してくれるかもしれない。
いつか同じ場所に呼ばれるかもしれない。
そんな可能性もあったのかもしれません。
ただ、その「いつか」が来るかどうかは分かりません。
だから、こちらから連絡をして、会いに行くことにしました。
会いたい人には、こちらから会いに行く。
言葉にすると、簡単なことのように聞こえます。
でも、実際に動こうとすると、いくつか越えるものがあります。
連絡先を調べる。
送る文章を考える。
なぜ会いたいのかを、自分の言葉にする。
返事が来ないかもしれません。
断られることもあります。
会えることになれば、予定を合わせ、時間をつくり、その場所まで移動します。
正直に言えば、普通に面倒です。
待っている方が、ずっと楽です。
でも、そこまでして会いに行く人は、あまり多くありません。
だからこそ、こちらから会いに行くという行動には、少し希少性があるのだと思います。
肩書きがあるからでも、話がうまいからでもありません。
会うために必要なことを、自分から引き受けた。
その行動の中に、その人の意志が表れる気がしています。
もちろん、開かれたセミナーや講演へ足を運ぶことにも、価値があります。
関心を持つだけで終わらせず、時間を空け、実際にその場所へ行く。
それも、ひとつの行動です。
同じ空気の中で話を聞くことで、画面や文章だけでは受け取れなかったものに触れることがあります。
ただ、個人的に会いに行くことには、少し違う緊張があります。
自分から連絡をする。
なぜ会いたいのかを伝える。
何を聞きたいのかを考える。
相手から何かを受け取る前に、こちらの姿勢が先に表れます。
会えるかどうかは分かりません。
会えたとしても、期待していたような時間になるとは限りません。
それでも、連絡をしなければ始まらなかった関係があります。
実際に会ってみると、話の内容だけではないものが伝わってきます。
言葉の選び方。
質問を受けた時の表情。
少し考える時の間。
何を大切にしているのか。
どこを見ながら仕事をしているのか。
そういうものは、同じ場所で時間を過ごして、初めて見えてくることがあります。
文章の中では遠く感じていた人が、目の前にいる一人の人として見えてくる。
読んでいた言葉も、その人の表情や空気と一緒に受け取ることで、少し立体的になります。
会ったその日に、大きな答えが出るとは限りません。
でも、その時に感じたことが、後の判断や行動に残ることがあります。
会いに行く前には見えていなかった問いが、自分の中に生まれることもあります。
それも、人に会う意味の一つなのだと思います。
人との出会いには、偶然から始まるものもあります。
誰かが紹介してくれた。
たまたま同じ場所にいた。
仕事の流れで会うことになった。
そういう出会いも、大切です。
でも、すべてを偶然に任せなくてもいいのだと思います。
会いたいと思った理由を、まず書いてみる。
連絡先を調べてみる。
どんな話を聞きたいのか、少し考えてみる。
すぐに会いに行かなくても、その小さな行動によって、受け身だった時間が動き始めることがあります。
旅や移動は、知らない土地へ向かうことだけではありません。
まだ会ったことのない人のところへ、自分から向かうことでもあります。
会えるかどうかは、分かりません。
会って何が変わるかも、分かりません。
でも、会いに行かなければ、始まらない関係もあります。
今、あなたが一度会って話を聞いてみたい人は、誰でしょうか。
