見出し画像

OJTにおける育成対象者の感情の影響:論文レビュー

こんにちは、原田です。
今回は、「同僚間の感情が看護師の人材育成にどのような影響を与えるか」に関する論文です。

こちらは、医療現場(特にICUのようなストレスの高い環境)では、看護師間の感情的なやり取りが頻繁に発生し、それが仕事のパフォーマンスや新人看護師の成長に大きく影響する可能性があるという課題意識から取り組まれている研究です。


今日の論文

同僚間の感情に基づく望ましい人材育成の探索
人材育成研究 第12巻 第1号
藤原更博

サマリ

  • クリティカルケアに従事する看護師の同僚間の感情に基づく人材育成のあり方を探索することを目的としている

  • 看護師間での感情のやり取りやその影響を観察し、特に職場での感情の喚起がどのように職務のパフォーマンスや育成に影響するかをエスノグラフィックなアプローチで分析

方法

  • 参加観察法を用いて、研究者が直接フィールドに参入し、看護師間での感情のやり取りを記録

  • 対象は兵庫県内の病院で働く54名の看護師で、そのうち46名が研究に協力した

  • 観察は3ヶ月間にわたり、計6300分にわたって行われた​

エスノグラフィーとは:
特定の文化や社会集団の中での人々の行動や経験を深く理解するために、研究者が現地に入り込み、直接観察や参加を通じてデータを収集する質的研究手法

わかったこと:
集中治療部(ICU)に勤務する看護師たちの職場における感情の喚起とその影響

  • 集中治療部の看護師間では、上司や先輩からの厳しいフィードバックや指導により、怒りや恐怖といった陰性の感情が頻繁に喚起されていた

  • 特に新人看護師は強い不安や恐怖を感じ、仕事のパフォーマンスが低下する傾向があった

  • また、陰性の感情を隠蔽する対処行動が見られ、これが長期的に心理的健康や職場の士気に悪影響を与えることが示唆された

  • 一方で、上司や先輩からの承認やフィードバックがあると、肯定的な感情が喚起され、モチベーションや創造的な問題解決能力が向上し、チーム全体の協働作業が促進された

  • これらの結果から、看護師の健全な感情表現を促進する環境整備と、指導者による建設的なフィードバックとサポートの強化が必要であると示された

論文から得た学びと活用場面

職場の同僚関係において、強いネガティブな感情が喚起されることが多く、これにより看護師のパフォーマンスやモチベーションの低下を引き起こすことが分かりました。逆に、上司や先輩からの承認やサポートがある場合、ポジティブな感情を引き起こし、創造的で高いレベルのパフォーマンスが期待できる​結果となりました。
医療現場でのパフォーマンス向上のためには、職場内での感情のやり取りをより良く理解し、適切な感情のマネジメントが重要そうです。


いいなと思ったら応援しよう!