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人生を変えたのは、たった14日間の恋だった


「人は、たった一度の出会いで人生が変わることがある。」



恋愛なんて現実的なもので、出会って、好きになって、付き合って、別れる。

ただそれだけ。

そう思っていた。


考えてみると、わたしは、周りの友人たち
のように恋愛にどっぷりとハマるようなことが
なかった。

いつも、わたしの中に、もう1人の自分がいて
客観的にみている感じで、セーブしたり
素直になれないところがあった。


好きな人に
盲目に突っ走るって意味がわからなかった。
泣いたり怒ったり、デレデレに惚気たり、
恋愛体質な友人を、どこか、冷めた目で、いや
それほどまでに誰かのことを、好きなれることに、羨ましさという嫉妬があったのかもしれない



でも――。

バンコクで過ごした、あの2週間だけは違った。



わたしは20代前半だった。
当時、父が海外赴任をしていたため、私は休暇を利用して一人でタイのバンコクを訪れていた。

真っ青な空。
熱気を含んだ風。
街中に漂うスパイスの香り。
行き交うバイクの量にエネルギーを感じた。

日本とはまるで違う景色に胸を躍らせながら
わたしは色んな場所を観光した。


父の住むマンションは、めちゃくちゃ豪華だった
メイドさんもいて、専属の運転手付きだ。
マンションにはプールもジムもあって、
一階にはコンビニのような小さな売店もある


バンコクに来て1週間くらいたったころ、

昼間、特に予定のない私は毎日のように同じ
スターバックスへ通っていた。


窓際の席。
アイスラテ。
お気に入りだった。


スタバに行くと、いつも
決まった席に、男の人が座っていた

背が高くて、少し日焼けした肌。
優しいブルーグレーの瞳。
いつもノートパソコンを開いている。
アメリカ人かな?カッコいい人だなぁくらいで

最初は気にも留めていなかった。


ある日、わたしがメニュー見ながら
ドリンクのオーダーしていると

その男の人が隣に来て、ニコッと気さくに
何を注文したの?って話しかけてきた。
カフェラテだよ!って答えると
この前からココ、時々来てるよね?
あ、うん!とだけ答えると


慣れない英語と
急に話しかけられて、ビックリしたのとで
わたしは、自分のカフェラテを受け取ると
「バイバイ」って、そそくさと、自分のお気に入りの窓際の席へ座った


不思議だった。
ビックリして
そそくさと逃げ出したものの
はじめて会ったのに、急に話しかけられたのに
全然、嫌な感じはしなかった。
それどころか、見ず知らずの外国人なのに
なんとなく懐かしいような気持ちにさえなっていた。


そして、次の日も、その次の日も
気づけば自然と彼を探しているわたしがいた。



ある日の午後。
店内は混んでいた。

私がいつもの席に座っていると、その彼が
コーヒーを持って近づいてきた。
「ここ、座ってもいい?」

私は少し驚きながら「うん」って頷いた。
彼は微笑んだ。
その笑顔を見た瞬間だった。




ドクン。

胸が鳴った。
恋に落ちた時のような。
でも、それとは違う。
もっと深くて
もっと懐かしい感じがした。

まるで何年も会っていなかった人と
再会したような感覚。
なぜか知っている。
そんな気がした。



「君、日本人だよね?」
「うん。」
「やっぱり。」

彼は笑った。
「僕はジェイク。」
「私は……。」

わたしが名前を告げると、彼は何度も繰り返し
呼んだ。何かを確認するかのように
名前を呼んでくれた。



それから毎日会った。
約束したわけではない。
スタバに行けば会える。
自然と彼を探していた。


まるで見えない糸に引き寄せられるように。


いろんな話をした。仕事や、兄弟のこと
なんでタイに来てるの?とか

英語を教えてくれたり、写真を見せてくれたり
わたしが見せたプリクラには、真底ビックリして
たっけ。日本にはこんなのがあるの??って。


えーっ!プリクラ知らないの?高校生の頃は
プリクラ、マック、カラオケ🎤でしょー!
大量のプリクラを見せながら、
「これシールなんだよ!」って、ペタって勝手に
彼のパソコンに貼ると、めちゃくちゃ喜んで
くれて、大切にするよ!って。
たかがプリクラだよってわたしが笑う。

日本の文化を押し付けつつ、色んな話していると、同じ年だってことが判明!!
急激に、距離が縮まった。


わたしは彼のことは年上だろうなぁと思っていて
彼は、わたしのこと年下だろうなぁと思っていた


それが、まさか同じ年!
「えー見えないね!」って同時にいうと、2人で
「また、一緒!」って笑った。




一緒にチャオプラヤ川を歩いた。
ナイトマーケットではしゃいだ。
屋台で辛すぎる料理を食べて二人で笑った。
夕暮れのワット・アルンを眺めた。

何気ない時間。
全部が特別だった。





不思議だった。
話せば話すほど似ていた。

人生観。
孤独の感じ方。
大切にしたいもの。

国も文化も違うのに、
まるで同じ場所から生まれてきたみたいだった。



「変なこと言っていい?」
ある夜、彼が言った。
「なに?」
「初めて会った気がしなかった。最初から」

私は思わず笑った。
「私も。」



その瞬間。
ジェイクの表情が止まった。
そして静かに言った。
「やっぱり。」


帰り道。
私は胸が苦しくなった。

幸せなのに。
なぜか泣きたかった。



ソウルメイト
今思えば、あの日から
私の魂は目覚め始めていたのかもしれない。



そして運命の日はあまりにも早く訪れた。
日本へ帰る前日。

空港へ向かう日が近づくほどに
私は笑えなくなった。
ジェイクも同じだった。
いつも明るい彼が、どこか遠くを見ていた。




最後の夜。
二人で川沿いに座った。
街の灯りが水面に揺れていた。

わたしも彼も言葉を発さない。
言えば終わってしまう気がしたから。



やがて彼が言った。

「君に会えてよかった。」



私はうつむいた。
泣きたくなかった。
それなのに、涙は勝手に落ちた。



「たった2週間なのにね。」
私が笑うと、彼は首を振った。



「違う。」
そして胸に手を当てた。

「時間じゃない。」
ブルーグレーの瞳が真っ直ぐ私を見る。
「君は特別なんだ。」
その言葉に私は完全に泣いてしまった。





空港まで来てくれた
最後のハグ。
「元気で。」


言いたいことは山ほどあった。
好き。
寂しい。
帰りたくない。
また会いたい。
わたしのこと忘れないで。


でも何も言えなかった。



彼は泣きながら、でも笑顔で手を振った。
私は何度も振り返り、バイバイと
大きく手を振った。

そして、福岡行き直行便に乗り込んだ。
あと数時間もすれば、日本に着く…



もう20年も前の話。
まだガラケー時代。
今のようにiPhone📱もないし
SNSもない。インスタもYouTubeも
Facebookすらない。


今なら考えられない。
今は世界はもっと近くて簡単なのに
今より不便で、少し世界が遠く感じてたあの頃




だけど…
それだからこそかもしれない

たった二週間しか一緒にいなかったのに
何年経っても忘れられない。

目を閉じれば、いつだって、あの鮮やかな
毎日が蘇ってくる。

あの日のような青い空を見るたび。
心のどこかが疼く。


恋だったのか。
運命だったのか。
ソウルメイトだったのか。
答えはわからない。

だけど一つだけ確かなことがある。



人生には、
長さでは測れない出会いがある。



たった2週間。
されど2週間。
あの夏。
そう、ちょうどこの季節、6月だった。

バンコクのスターバックスで出会った
アメリカ人の彼は、私の人生の中で、

最も短く、

最も深く、

そして決して忘れることのできない恋になった。



今でも時々思う。

世界のどこかで彼は元気にしているだろうか、と。
そしてもし魂に片割れがあるのなら――

私たちはいつかまた
偶然という名の奇跡の中で
どこかの輪廻の中で再会するのかもしれない。

きっと再会するだろう。

わたしはそう信じているから。


【感想をいただきました】
ありがとうございます
🥹💞

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