見出し画像

伝説の作り方

《あらすじ》
伝説の石、
伝説のグローブ、
伝説の手鏡。

いくつもの「伝説」が静かに語られる世界で、ふとしたきっかけから、ある事実が浮かび上がる。
──伝説とは、本当に“生まれる”ものなのか?それとも、誰かが“作ってる”ものなのか。

物語の力を信じるすべての人に贈る、
ちょっと不思議で、ちょっと苦くて、でも、なんか…分かる気がする、そんな短編集。



【伝説の石】

「お母様、みてみて!とってもきれいな石を見つけたの。これ、お母様にあげるわ」

とある国の王宮の庭では、プリンセスが母である王女と穏やかな母子(おやこ)の時間を過ごしていた。

「まぁ、可愛い私のプリンセス。あなたの宝物にしなくてもいいの?」

プリンセスは、母の言葉に小首をかしげて少し考えた後「あげるわ」と返事をした。

「だって、私はいつでもきれいな石を探せるけど。お母様はいつもごこうむに忙しくて、探せないでしょ?だから、これは、お母様にあげる」

(……この子は、なんて優しい娘に育ったのかしら)

王女は、プリンセスに見えないところで、そっと涙を拭った。
それ以来、王女はその石を自分の懐に忍ばせて、公務にあたっていた。

そんなある日、この国の転覆を企む不穏分子が、王女を亡き者にしようと企んでいた。
彼は、王女の公務室に忍び込むと、部屋にいた王女めがけて剣を突き刺した。

しかし、運良くプリンセスからもらった石が盾となり、王女は大事には至らず、この事件がきっかけとなり、転覆を図った一味も一網打尽にされた。

こうして、この小さな石は“奇跡の石”として、王国の内外で語り継がれていく。エリザベータと名付けられたその名と共に。

【伝説のグローブ】

肩を壊して以来、成績が振るわず、次のシーズンで結果を出さなければ、俺は戦力外通告を受けることになっていた。

「クソッ。手術をして、リハビリも懸命にやって、誰よりも努力しているのに……。どうしてだ。どうして勝てない」

俺は、腐る気持ちを払拭するために、夜の公園に散歩に出かけた。
その時だよ。あの怪し気な露天商に出会ったのは。

「あなた…メジャーリーグで活躍中のピッチャーではなかったですか?」

露天商の前を通った時、そこの店主らしい小汚いジジイが声をかけてきたんだ。

ここから先は

2,130字

¥ 300

Amazon Payで支払うと最大2%還元のチャンス! 9/30まで

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?