猫にこんばんは
「なんで、こんなオモチャを買ったの?このオモチャの使用年齢は5才から。この子はまだ3才なのよ」
僕が買ってきたオモチャを見るなり、妻は金切り声をあげる。
「でも、この前CMを見て欲しいって言ってたし……」
僕は、口から出ないくらい小さくモゴモゴと答えた。
「あなたが欲しかったんでしょ。今この子にこれ渡しても、猫に小判だわ!」
妻は、大きなため息と共に、たたみかける。
「ママ~、ねこしゃんいるの?たいちゃんもこんばんはする」
テレビの前で遊んでいた息子が、キラキラした目で妻を見る。
「ん?太翔(たいと)。どうした?こんばんはするってどういう事だい?」
「だって…、今ママが言ったよ。“ねこにこんばんは”だわって」
太翔の返事に、僕も妻も一瞬ポカンとする。が、さっきの言い合いを思い出し、二人で「ぶっ」と吹き出した。
「そっか、そうだな。ねこにこんばんは。うんうん、ママ、今そう言ったように聞こえるよな」
「ちょっと、あなたやめて!お腹、お腹いたい」
爆笑する僕と妻の様子を見て、太翔は、ほっとした様な笑顔を見せる。
「パパとママ、仲良しになったね」
その言葉に、僕たちはハッとした。
「…陽菜に相談なくオモチャ買って悪かったな」
「ううん。私こそ、頭ごなしに文句言ってごめんなさい」
僕は、横でニコニコしてる太翔を抱っこする。
「よし、太翔。今度、みんなで猫カフェにでも行って、本当に猫にこんばんはするか!」
「うん」
息子の聞き間違いのおかげで、我が家には無事平穏が訪れた。
今回も、甘野さん主催の
#アマノ文筆クラブ
に参加させていただきましたー。
普段は、ホラーばかり書いているのでね。どうしても、思考がそっちに寄ってしまうため、猫又でも登場させようかなんて、考えていたのですが、今回は何処かにある様な日常の一コマを作品にしてみました。
珍しくほのぼのとしたショートショートを書いた私ですが、上記した通り普段はサイコロジカルホラーや少しほのぼのする(でもやっぱり)ホラー、たまに恋愛やヒューマンドラマ小説を書いています。
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