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【短編小説】私の小さな城

クローゼット奥のわずかにできた隙間。そこが、彼の束縛に耐えきれなくなった時に、少しだけ逃げ込む、私の小さなシェルターだ。ここにいる時だけ、唯一私が私でいられる。
彼と暮らし始めた頃は、毎日がジェットコースターのようで、息つく暇もないほど、あっという間に過ぎていった。それでも、時の流れと共に、不慣れで慌ただしい日々は、落ち着きを取り戻し、ようやく、2LDKのこれまでと変わらぬ我が家へと戻った。
と、思ったのだがーー。
数ヶ月経ったあたりから、彼の行動が徐々に変わり始め、最近では束縛が激しくなり、トイレに行く時ですら、その鋭い監視の目が、私を捉えて離さない。
『そんな男、とっとと別れればいい。』
それができれば、どんなにいいか……。どんなに束縛されようと、どんなに私のエリアが侵食されようと、私は彼を心から愛している。別れるなんてできない。
だから、彼がようやく眠りについた、ほんのひとときだけ、私はこのクローゼットの隙間で、私を取り戻す。
あっ!寝室で寝ていた彼の声が聞こえる。私を求め、泣き叫ぶ声が……。
そんなに叫んだら、お隣さんに聞こえちゃう!
私は、慌ててクローゼットから飛び出し彼に駆け寄った。
「シュウちゃんごめんね。ママ、ここにいるよー」

今日も、私はこの築3年の2LDKで、ワンオペ育児に精を出す。

#なんのはなしです家

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